九マイルは遠すぎる (ハヤカワ・ミステリ文庫 19-2)

  • 早川書房
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感想 : 180
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150711023

感想・レビュー・書評

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  • 好きな小説紹介系YouTuberがレビューしており、しばらく前に購入。長らく本棚に眠っていたが、久しぶりに海外ミステリが読みたくなり積読消化することに。

    表題作『九マイルは遠すぎる』は究極のアームチェア・ディテクティブ作品と謳われるだけあり、探偵役のニコラス・ウェルト(ニッキィ教授)が友人との言葉遊びから素晴らしく鮮やかな推理を展開していく。少ないページ数で見事な推理描写を見せた作者のハリイ・ケメルマンのセンスに只々脱帽するばかり…。
    他に好きな作品を1つ挙げろと言われれば、『時計を二つ持つ男』だろうか。好奇心がそそられるタイトルだけでなく、伏線の張り方とその回収の仕方が実に秀逸で、ユーモアなオチも相まって素晴らしい読後感を味わえた。

    読みやすい連作短編形式かつ、殺人事件が絡むものの生々しい描写が少ないものポイントで、海外ミステリに挑戦してみたい人にはぜひ読んでほしい作品だった。
    本作の感想とはあまり関係ないかもしれないが、海外のミステリ作品はなぜこんなにも心躍るタイトルが名づけられるのだろうか。ついつい口に出してみたくなるような本の名前である…。

  • 表題作短編「九マイルは遠すぎる」は1947年に発表、中の最終作はそれから20年後。いずれにせよ、50年以上前の安楽椅子探偵ミステリ。
    その頃のアメリカの通信手段や移動手段等、推理の前提がわからないながらも、本格推理小説としてとても楽しめました。。
    ニューイングランド州の古き良き(かつて憧れた)アメリカが感じられて、それも良き。

  • 表題作は独創的だがイメージしにくかった。梯子の上の男は完成度が高い。

  • 10〜12語でひとつの文を教えてくれれば論理的推論をそこから導き出せると豪語するニッキイウェルト教授のパズルのような推理短編集。「九マイルもの道を歩くのは容易じゃない。まして雨降りならば尚更だ」から、その日時場所から殺人事件の犯人を指摘する。あまりに有名なこの短編だが、正直何度読み返しても、なぜそこに行き着くのか理解できなかった。まあ、それはそれとして。

  • 短篇本格推理のエッセンス!と裏表紙にある。
    ミステリを読んでいるといろんなところで名前を聞く「九マイルは遠すぎる」
    これをもとに書いたとされる作品や、名前からオマージュがわかるものや、読んだ読者の感想に「○○版九マイルは遠すぎるだ!(傑作だ!)」と書かれるものなどなど。

    有栖川有栖の江神シリーズ短篇の「四分間では短すぎる」を読んで興味を持って、実際に読んでみるとなるほど!!とあちこちで言及されることにとても納得した。
    色々な作品が「九マイル」的と評されたりすることがよくあり、その共通項は分かっていたつもりだけれど、読むと、この短さならではの切れ味の鋭さ、推論の面白さ、意外な結末、どれをとっても面白い。

    短編集なので他にもたくさんの短篇があり、それぞれやはり切れ味鋭い短篇で、最初はただ謎を解決しただけのちょっと皮肉っぽい人物、でしかなかった「ニッキィ・ウェルト教授」の人となりにも、ちょっとずつ愛着がわいてきたり、毎週チェスを楽しむ「わたし」との仲の良さ、探偵と助手の関係も含めてとても楽しめた。「わたし」がだんだん成長していくのも良かった。
    実際のところ、思いつきもしないとんでもないトリックがあるとか、ものすごくグロテスクで不思議だとか、そういうものは一切なく、ただ本当に論理にも物語にも無駄がない。それでいて、単なるパズルにはならないオチがあり、とても楽しかった。小説なのだなあと思う。

    こういうミステリ短編集を読むと、子どものころ学校の図書室にあった子どもむけの「火曜クラブ」や「黒後家蜘蛛の会」みたいな海外ミステリ短編集をむさぼるように読んだのを思い出して、何となく懐かしい気持ちになった。短篇ミステリと安楽椅子探偵の組み合わせ、やっぱり最高に面白い。

    私も「九マイル」ゲームしてみたいな。でもそんなに緻密な推論を重ねていけないかな~。

  • 「9マイルは遠すぎる、まして雨の中ではなおさらだ」
    たったこれだけの言葉から生み出される鮮やかな推理と、マニアをニヤリとさせる逆説的な結末。
    まるで推理小説の楽しみを凝縮したかのような一冊。
    もしまだ読んでいないミステリファンがいるなら、今すぐ書店へ!

  • 国語教育の悪弊は「自由に書きなさい」と子どもに強いることだ。それで表現力が磨かれるのだろうか? 僕はそう思わない・・・。本書はミステリーとして編み込まれた「思考実験」である。実験であるからには初期設定が用意されており、予想通りの結果に帰着せざるをえない。つまり、撃たれるショットには制限があり、縛られた条件の中で解を導き出さなければならない。当然のようにホームズ役(ニッキイ・ウォルト)は「安楽椅子」に揺られるような動きしか許されず、ワトソン役(語り手の「私」)は誤答例を枚挙することに終始する。結果から過程を類推する態度を「現象論的」と呼ぶが、辻褄合わせのためには無駄など許されないわけで、厳然とした制限を見て取らねばならない。思考の動作チェックにはうってつけの良書。『天城一の密室犯罪学教程』と併読すればなお良し。

  • 安楽椅子探偵モノの短編集。「わらの男」が個人的に気に入った。どの作品も、人から伝え聞いた少ない情報の中から真相を暴いていく「定番」ですね。
    短編ながら、推理の過程でどんでん返しがあったりと、収録されている8編、どれも楽しませてもらいました。
    たぶん、この本は、ちょっと息抜きしながらミステリ楽しみたいときに再読すると思う。

  • 初めと最後の話が特に面白かった

    安楽椅子探偵って少し無理矢理感のある作品が多いけど、本作はそこまで飛躍した論理無いから読んでいておーっとなった
    正確に言えば多少論理の飛躍はあるけど、それを裏付ける論理が出てきてじゃあそれしかないな!と納得してしまつ

    当時の大学教授って楽しそうな仕事だなあ、、、





  • まっちゃん本!

    面白い!!!!なんだこれ!
    うわぁー!!!!なにそれ!!!!

    翻訳がちょっとわかりづらいのはあるんだけど、それすらワザとか!?と、思うくらいに惑わされる。笑

    短編なんだが、毎回覆す。
    テーブルをひっくり返すごときに。

    九マイルは遠すぎる
    っていうこの題名も、ここから発展させて、なぜこの発言に至るか?っていう推理から
    なぜか犯人に至る。

    周りの天気や、その時の流れや、場所など
    全てをヒントにして、
    犯人を見つけ出す。

    あーもう全て、圧巻。

    読みながら、くるぞーくるぞーひっくり返すぞーってニヤニヤしながら読んじゃった。

    すっごいとこからひっくり返してくるからな。ニッキー。笑

    #めちゃくちゃ面白い
    #著者は亡くなった
    #残念
    #他のも読んでみたい
    #まっちゃん本
    #いつもありがとう
    #自分じゃ絶対買わない!
    #新しい発見
    #初めての著者
    #出会えてよかったー
    #短編
    #ひっくり返すよー!!!

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