- Amazon.co.jp ・本 (948ページ)
- / ISBN・EAN: 9784151200410
感想・レビュー・書評
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まさに、不条理文学。みんながサイコパス。
物語って、なにか目的があってそれに向かって進んでいくものだけど、これはその途中でいろいろな別の目的がうまれて、結局当初の目的は果たされずに終わる。
しかもみんな話が長く、別のエピソードを勝手に語ったりするので、語り手と同じように読みながらイライラしてしまう。
でも不思議なことに、最後まで読めてしまった。すごいなカズオ•イシグロ。登場人物があまりに、予測不能なので、クスッと笑ってしまうところもあった。
結局、この世界は何だったのか。夢??
登場人物は結構、語り手と似ているところもあった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
長い…!
読んでる間ずっと不安。
読み終わってからも不安。なんか。
だけど最後まで読んでしまったよ。
そんな小説でしたよ。
主人公がぐるぐるぐるぐる、ずっとどこからも抜け出せなくって。
それに苛々苛々うーわーとか思いながら引きずられてしまう。
しんどい。どんどんすれ違って、また違う問題に絡めとられる。
非常にしんどい!うん。
それぞれの登場人物が、
主人公とところどころ重なっていくのがまたしんどかったよ。
ぐるぐるした小説でした。長くて不安な小説でした。
でも最後まできっちり読まされてしまう。 -
何かを掴もうとして走っても飛んでもあと少しで手が届きそうなのに届かない。手が届く寸前で後ろから足を引っ張られ、新たな面倒事が立ち上がり、そちらに気を取られている間に追い求めてきたものが視界からフェードアウト、結局面倒事は収まらず、疲労困憊したところにまた面倒事・・・振り回されてくたくたになりながら、結局何一つ解決しない。歩いても歩いても辿りつかない恋人の部屋。急いでいるところに追いすがってお茶でも飲んで行けと熱心に誘う幼馴染。始まらない講演会。弾けないピアノ・・・これは間違いなく悪夢の舌触り。正統派英国リアリズムを追究した「日の名残り」でブッカー賞を受賞した後の作品がこれで、イギリスの書評家諸氏は大いに戸惑ったとか。評価もくっきり二分。個人的にはこれ好きでしたけど、賞貰ったりする類のもんではないですね確かに。
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すべてが夢の中の話なのかと思うほど、空中に浮かんだように感じる文庫本900ページを超える作品。それなりに話は展開されていくのであきはしないが、もう一度読み返そうとは思えない。イシグロさんの小説の中では散漫だなと思ってしまう一冊。
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ブロツキーとは何者なのか
Audible体験、悩んだ末に分厚さ的にも内容的にも自力で読破できるか不安な本作を選んでみたけど朗読いい感じ。しょっぱなのホテルのポーターの哲学とかハンガリアンカフェとか家族関係をつらつらと綴る感じとか幼少期過ごした部屋の話とか不思議だけどなんか好き
9番⚽
ボリスを私の息子だと言い出すライダー
『2001年宇宙の旅』
度々思い出したように出てくるゾフィーへの苛立ち
ブロツキーに延々とチンポとキモい性生活の話聞かされるの嫌過ぎるんですが… -
正直に、読むのにとても疲れた一冊。
カフカの小説のような不条理感がずっと続き、時間の観念が崩され、いまどこにどれくらいいるのかわからなくなりながら、停滞しそうで停滞しない感じの物語に翻弄される。そして疲れる。
最後まで気の抜けない感じで、「よし、読むぞ!」と気合いを入れないと読み進められない感覚は久しぶり。
読後の達成感を味わいたい方は、是非。 -
一応読んだことにするが、最初の数ページで飽きた。というか自分には面白さがわからない。文学とは難しい。ページ数も多い。
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登場人物の会話が多い。脈絡のない場面転換。移動にも違和感が残る。夕べ見た夢をたくさんつなげて、言葉で表現するとこんな感じになるかも。
ボヤーッとした世界の霧の中をやっと歩み終えた。
チョット疲れた。 -
こんな本は今まで読んだことはないし、技巧も文学としてもすごいのだけど、タイトルの通りすぎて、好みで言えば好きとは言えない。。。
とにかく、卵とベーコン、ソーセージ、トマトにコールドミートや熱々のコーヒー、焼きたてのクロワッサンやロールパンと言ったたっぷりの朝ごはん食べよう、と思った。 -
<ある東欧の町にやってきた世界的ピアニスト、ライダー。
「木曜の夕べ」で演奏することが決まっている彼の元にさまざまな相談が持ちかけられる・・・。>
今作でカズオイシグロの長編制覇!!
900ページ以上の大長編にもかかわらず、なぜか上下巻に分かれておらず文庫本で一冊。
分厚い本がすきなのですが、正直文庫本でこれは重くて仕方ない・・・
ちゃんと単行本では上下巻に分かれているのに何故なの?ハヤカワ書房さん。。
さて感想。
背表紙の内容紹介を読んだ限り予想していたのは
「わたしを離さないで」や「わたしたちが孤児だったころ」のような
“どうすることもできない運命の受容”みたいな結末かと思いましたが全然違いました。
とにかく不条理な世界の連続。一つ先の扉をくぐればまた新しい不条理な世界。
そしてその扉は時間と空間を飛び越えることを可能にする。
読んでいくうちに靄のかかった不思議な世界に迷い込み、
主人公ライダーとともに、読者もどこからが本当にあったことで、どこまでが本当はなかったことなのか、
この町の迷路にまよいこみます。
とにかく全ての人間が言い訳ばかりで少しずつ、何かが欠けている=充たされざる者。
そしてそれは主人公であるライダーも同様である。
三谷幸喜曰く
「フィクションの中で、その場にいないにもかかわらず、一人称で自分が見ていないことの内容を話すことは作法に反する」と述べていたけど、この本の場合、それがさらに靄のかかった世界観を出すのに力を貸しているんだろうな・・・
しかしいかんせん長い・・・。
たぶんこの本からカズオイシグロに入ったら、他の作品読まないだろうな 苦笑