オリーヴ・キタリッジの生活 (ハヤカワepi文庫)

  • 早川書房
3.99
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本棚登録 : 902
感想 : 76
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  • Amazon.co.jp ・本 (460ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151200700

作品紹介・あらすじ

アメリカ北東部にある小さな港町クロズビー。一見何も起こらない町の暮らしだが、人々の心にはまれに嵐も吹き荒れて、いつまでも癒えない傷痕を残していく-。住人のひとりオリーヴ・キタリッジは、繊細で、気分屋で、傍若無人。その言動が生む波紋は、ときに激しく、ときにひそやかに周囲に広がっていく。人生の苦しみや喜び、後悔や希望を静かな筆致で描き上げ、ピュリッツァー賞に輝いた連作短篇集。

感想・レビュー・書評

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  • 最初は少しとっつきにくいというかオリーヴに対してあんまり良い印象を持てなかったんだけど読み進めていくうちにオリーヴの人となりが分かっていって、気難しいというか扱いにくい性格なのは変わりないけどなんだか愛おしく感じるようになった。
    歳を取ることを過剰に美化するでも逆に悲観するでもなく、歳を取るってこんなもんなんだろうなっていうリアルな描写が印象に残った。
    老いていくうちに悲しいことも嫌なことも沢山あるけど希望があればなんとなく生きていける。
    息子との関係に関してはオリーヴが少し可哀想になってしまったけど、息子視点の話はなかったからもし息子視点で色々見たら息子の側に付きたくなるのかもしれない。

  • 前評判が良すぎてちょっと期待し過ぎてしまった。

  • 老いの教科書。「人生ってそんなもん」を書いたらストラウトに並ぶ存在はないのでは…。一生大事にしたい本のひとつです。

  • 邦題と表紙絵から想像していた爽やかさは薄く、代わりに毒気がそこそこ。でも市井の人々への愛おしさを感じさせる描きぶりで、追うのが嫌にならなかった。

    閉じてから冒頭「薬局」に戻ると泣けてくる。
    またクロズビーの人たちに会いに来る、と思う。

  • あれ? 続編はつけてるのに、なんでこっちは登録してなかったんだ?
    とにかく続編の前日譚でwピュリッツァー賞に輝く傑作。
    小さな町で、頑固な変わり者のオリーヴと、周りのいろんな人たちが日常生活を送りながら出会う出来事や心の変化が淡々と描かれる短編集。何度でも読み返したい。

  • ストーリーがないような短編の羅列。なのに、すごく面白かった。素晴らしい作品だった。
    特に未亡人になっていく過程とかグッとくる。
    蓮っぱな言葉遣いがすごく好き。
    しかし、これ読むと、結婚しなくていいや、って気になるな。

  • 明確な問いや、明確な答えが与えられるわけではない。不安にもなるし希望も抱ける。最高だった。

    80
    わけのわからない、めちゃくちゃな世の中だ。こんなに彼女は生きようとする。夢中でしがみつくではないか。

    101
    まあ、人生、こんなものだろう。わかることがあるとしたら、とうに手遅れになってからわかる。

    231
    そう言う混乱状態が、また(さらに疲れてしまうのだが)かっかと怒りたくなるようなことも、若い人を待ち構えている。それを通り過ぎるまでには、さんざん人を責めて、責めて、責めまくり、それで疲れたりもする。

    269
    そう言えば、と思い出す日々がある。まだ人生の盛りだった中年の夫婦として、ヘンリーと手を繋いで帰っていった。ああいう瞬間には、静かな幸福を味わうという知恵が働いただろうか。おそらく、わかっていなかった。たいていの人間は、人生の途中では、いま生きているということがわからない。

    322
    「あの日に言われたこと忘れないわ。自分が飢えてるのをこわがってはいけない。飢えをこわがったら、そのへんのおバカさんと同じになる、って」

    447
    よくわからない。この世界は何なのだ。まだオリーブは世を去ろうとは思わない。

  • 最近、いろんなおばあちゃん小説が日本でも多く出版され、評価もされている。それらの小説が評される時、必ず「原型」として出現し比較される「オリーヴ・キタリッジの生活」。きっと読んだら大好きになる、と確信を持って満を持して読む。

    期待を裏切らなかった!

    オリーヴがどんどん母と重なってくる、と同時に自分とも重なってくる。 

    「セキュリティ」が一番好き。

    つかみかける幸せの気分はすぐにどこかに飛び立ってしまう。息子とその妻への遠慮と本音が同時にオリーヴの心にあらわれる。
    軽くあしらわれ傷ついて怒り、でも同時に自分が求められる母親ではもはやないことに諦念しているダブルバインドの鬱屈。 
    「振り返った息子がすっきりした顔をしているので、オリーヴも頑張って歩いた。実は疲れている。年を取れば、朝昼晩と、ほっつき歩いているわけにはいかなかなる。そういう時期が来るのだということが、若い人にはわからない。」p372

    いつぞやの、母と私たち家族の散歩を思い出して胸が苦しくなる。

    「あるとき虫歯の穴を詰めてもらって、医者のやわらかい手の先でそっと顎の位置を変えられたら、こんなにやさしいことがあったのかと切なくなり、うぐっと呑み込んだような声が出て、目に涙が、あふれてきた。」

    こんな孤独!いつか私にもやってくるのだろうか。

    なんと言ってもこのシーン。
    自分の胸にアイスクリームのシミを見た時のオリーヴ。そのシミを指摘しなかった息子たちへの怒りと自分の老いの自覚。

    それを物分かり良く自戒したりしないのが、オリーヴの魅力だ。いつもぷりぷり怒っている(笑)そして、怒って帰ってしまう!予定調和を裏切るのがオリーヴ。

    「川」では二代目ボンクラ共和党大統領を「知能に欠ける」と言い切って腐すオリーヴ。ステキ!

    続編もすぐに読もっと。

  • 続編にて記載

  • 偏狭な中年女性が歳を取りながら生きていく。息子に嫌われて悲しんでいるが、本人のせいもかなりあるのでは。

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