メソポタミヤの殺人 (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 12)

  • 早川書房
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感想 : 78
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  • Amazon.co.jp ・本 (426ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151300127

作品紹介・あらすじ

考古学者と再婚したルイーズの元に、死んだはずの先夫から脅迫状が舞いこんだ。さらにルイーズは寝室で奇怪な人物を目撃したと証言する。が、それらは不可思議な殺人事件への序曲にすぎなかった…。過去から襲いくる悪夢の正体をポアロは暴くことができるのか?中近東を舞台にしたクリスティー作品の最高傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 久々のアガサ・クリスティ!!
    彼女の作品自体、手にするのは約4年振り^^;

    なぜにこのタイミングでクリスティ?
    しかも本書?

    答え:ひと月ほど前に読み終えた「古代イラク: 2つの大河とともに栄えたメソポタミア文明 (ナショナルジオグラフィック 考古学の探検)」に感化され、しかも本書のことも触れられていたからです。

    そのタイミングで積読から引っ張り出してはいたんですが、結局手をつけるまでに他の本を37冊はさんだので読了がこのタイミングに^^;

    でも、やはりクリスティは面白い(=^▽^=)
    アポロシリーズなので、いわゆる犯人当てなんですが、当然わかるわけもなく^^;

    でも、だからこそクリスティ作品は世界中で愛され続けているんですよね。

    日本語訳も素晴らしいからこそなんでしょうが、読みやすい!!
    そして、Σ(゚Д゚;エーッ!

    って、感じのラスト。
    ご馳走様でした(ㅅ´ ˘ `)

    さて、クリスティの積読もいっぱいあるんですが、手をつけていない図書館本、次に読もうと思って積読の中から引っ張り出してきて積んである本たち。
    ↑それってやっぱり積読じゃん( ̄▽ ̄;)

    次にクリスティ作品はいつ読めるんだろう( ˘•ω•˘ ).。oஇ


    <あらすじ>
    エルキュール・ポアロが登場するシリーズの一つです。この物語は、イラクの遺跡発掘隊の宿舎で起こる謎多き殺人事件を描いています。

    物語は、看護師のエイミー・レザランが、神経症を患うルイーズ・ライドナーの看護を依頼されるところから始まります。ルイーズは、死んだはずの前夫フレデリック・ボスナーから脅迫状が届いており、恐怖に怯えていました。フレデリックはスパイ行為をルイーズに通報され、逮捕後に脱走し、列車事故で死亡したとされています。しかし、ルイーズが他の男性と親しくなるたびに、フレデリックの名で脅迫状が届くようになります。

    ある日、ルイーズは自室で殴打されて死亡しているのが発見されます。部屋の窓は内側から鍵がかかっており、外部からの侵入は不可能と思われました。この奇妙な状況から、犯人は発掘隊の中にいると推測されます。

    事件の調査を依頼されたポアロは、隊員たちの証言を集め、ルイーズの人間性や過去の行動に注目します。彼女は権力を好み、自分を愛する性格であり、過去にはフレデリックを裏切って情報を提供したこともありました。また、ルイーズは隊員のリチャード・ケアリーに惹かれていたことが明らかになります。

    ポアロは、ルイーズの死に関わる複数の疑問点を解明し、最終的に真犯人がルイーズの現夫であるエリック・ライドナーだと突き止めます。エリックは実はフレデリック・ボスナーであり、自分の死を偽装して新たな身分を手に入れ、ルイーズと再婚していました。彼女がケアリーに惹かれたことを知り、嫉妬から殺害に至ったのです。

    この事件の解決には、ポアロの鋭い観察力と推理が光ります。彼は、ルイーズの性格と過去の行動が事件の鍵であると見抜き、緻密な調査を通じて真実を明らかにしました。

    『メソポタミヤの殺人』は、クリスティの中近東を舞台にした作品群の中でも特に評価が高く、彼女の最高傑作の一つとされています。この物語は、複雑な人間関係と心理的な要素が絡み合うクリスティの作品の魅力を存分に味わうことができる一冊です

    <アガサ・クリスティ>
    1890年、保養地として有名なイギリスのデヴォン州トーキーに生まれる。中産階級の家庭に育つが、のちに一家の経済状況は悪化してしまい、やがてお金のかからない読書に熱中するようになる。特にコナン・ドイルのシャーロック・ホームズものを読んでミステリに夢中になる。

    1914年に24歳でイギリス航空隊のアーチボルド・クリスティーと結婚し、1920年には長篇『スタイルズ荘の怪事件』で作家デビュー。1926年には謎の失踪を遂げる。様々な憶測が飛び交うが、10日後に発見された。1928年にアーチボルドと離婚し、1930年に考古学者のマックス・マローワンに出会い、嵐のようなロマンスののち結婚した。

    1976年に亡くなるまで、長篇、短篇、戯曲など、その作品群は100以上にのぼる。現在も全世界の読者に愛読されており、その功績をたたえて大英帝国勲章が授与されている。

  • 考古学者の夫の依頼で情緒不安定な妻ルイーズの世話をするためにイラクの発掘現場に向かった看護婦のエイミー。ルイーズは、自分が裏切ったために死んだはずの元夫から脅迫状が届いたことを告白した直後、自室で頭を殴られて死んでしまう。犯人は発掘チームのメンバーの中にいると思われるが、一体誰なのか。

    物語はエイミーが事件解決後に記した手記という形をとっている。出会ってすぐにルイーズは殺されてしまうので、生きている彼女の記述はほんのわずかで、もっぱら発掘チームのメンバーによる聞き取りによって彼女の人となりを知ることになる。

    事件は近くを訪れていたポアロによって解明されるのだが、犯人が自供してくれたからよかったものの、犯行を特定する根拠は薄く、ミステリとして弱い点は否めない。それでもこの物語に引き込まれてしまう理由は、物語を通して明らかになってくるルイーズの人物像にある。
    彼女は美しくて頭のよい魅力的な女性であると同時に、自分が注目されないと気がすまない、いわゆる「サークルクラッシャー」であった。男性陣は皆その魅力にとりつかれて振り回され、女性陣は嫉妬と敵対心をあおられる。和気あいあいとした健康的な現場が緊張の張りつめた雰囲気へと変化していくが、ルイーズはそれを楽しんでいた節も見えるのである。ああ、このような女性いるなあ、というリアリティがこの物語の説得力を増している。

    ちなみに、クリスティはルイーズと同様、戦時中に結婚、離婚(別離)し、考古学者と再婚している。クリスティがサークルクラッシャーであったかどうかはわからないが(おそらく違うと思うが)、ミステリとしての完成度に関わらず、クリスティにとっては思い入れのある作品なのではないだろうか。

  • ポアロもの。 今回の舞台は中東です。

    看護師のエイミーは、ヤリミア遺跡の調査隊長で考古学者のライドナー博士の妻・ルイーズの付き添いの為、遺跡発掘現場にやってきます。
    死んだはずの夫から脅迫状が届くと、不安に駆られるルイーズ。不穏な雰囲気の中、ついに殺人が起こってしまいます。
    例によって、“偶々”シリアにいたポアロに事件解決の依頼がされて、捜査に乗り出すという展開です。
    美しく、男性を魅了してしまうルイーズを巡って、微妙な雰囲気になっている遺跡調査隊の人間模様が、看護師エイミーの視点で描かれていて、その人間観察的な部分も見どころです。因みにエイミーの“ポアロ観”も何気に面白いです。
    犯人は予測しやすいと思いますが、その“正体”と殺人の方法には無理があるかな・・・という印象です。
    あとは、怪しさ満点だった調査隊メンバーがやっぱり“訳アリ”でした。
    そして、現場を後にしたポアロは、一週間後にオリエント急行で英国に帰る途中、新たな殺人事件に巻き込まれたそうな・・。ニヤリ。

  • おもしろかったけど、犯人の動機にガッカリした&納得できなかった。

    最初、その窓を覗いていた人と神父が共犯かと思っていた。
    その後、エモットかな?ジョンソンかな?と推測したけど違っていた。

    そもそもスパイだった自分が悪いのに、逆恨みして、いつまでも前の妻を追っかけ続けて、脅迫状を送り、再婚できて妻を愛しているにも関わらず殺してしまうなんて…。
    犯人悪質でクズすぎる。重い石臼も、そんな短時間の間に落とせて、更にそれを手繰り寄せて上げられるだろうか?
    2つの殺人事件の背景には複雑な事情が絡み合っていて、その解明していく様子はおもしろかった。
    でもこのオチは…うーん。

  • 再婚相手が正体を偽った前夫なのに気づかないって、奥さん大丈夫ですか?舞台となる地域の雰囲気やしっかり者看護師さんの語りは良いのだけど…犯行時に窓の外側から人目なくできたのかな?丸見えならかなり間の抜けた構図。アクロイド殺しも反対側からアリバイ工作見えたら、悪いけど笑ってしまうかも、というのに通じる。

  •  メソポタミアの殺人
     クリスティの長編。ポアロシリーズ。
     外国旅行物、現在のイラクあたりの土地の様であり、考古学の発掘隊が舞台になる。
     余り地理感覚はないのだが、何故だかクリスティの外国旅行物はワクワクしてしまう。彼女の描写力は人物像に留まらず風景描写も素晴らしい。また、彼女自身、考古学の様々な工程に知識があり(パートナーが考古学者だったのは有名)作業工程の描写がリアルだ。こういった要素を習得しているミステリ作家は少ないと思うので、彼女の作品の差別化としても重要な要素だ。
     ストーリーの大筋は王道のフーダニットであり、また殺害のトリックがかなり個性的(現代では似たようなトリックを使った作品が幾つかある)
    であり、実際様々な問題点はあると思うが、当時の発想としてはとても面白いものだと思う。
     当然かも知れないが、第二の殺人は毒によるありきたりなものであり、犯人からすれば急遽の殺人の為矛盾は無いのだが、物足りなさを感じてしまう。第一の殺人だけでは解決にもっと時間がかかっただろう。というポアロの見立ては間違いなく、彼が屋上にて今回のトリックの着想を得るのも第二の殺人によってだった。
     登場人物が目新しくポアロは旅の途中の行程を変更し、彼等の事件に協力する事になる。語り手も事件に遭遇した看護師が勤めており、普段のシリーズと雰囲気が少し違っている。
     真相において、犯人への同情が語られているが全く不思議だ。どう考えても同情の余地は無いと思うのだが。また、十年以上前ではあるが、夫婦になった相手(しかも推理上は彼女は彼を恐れていた)について、全く思い出さないという事があるのかが疑問だ。(頻繁に話題にも上がるし、相手のさが気付かない何気ない癖などもある様に思う)被害者の性格を加味しても中々難しいと思ってしまう。全体的に面白い作品だが、少し捻くれて読んでしまった。

  • 裏表紙の説明には「考古学者と再婚したルイーズの元に、死んだはずの先夫から脅迫状が舞い込んだ」とあり、おお、一体どういうことか、何事が起こるのかと興味をそそられる。場所はチグリス川周辺の遺跡発掘現場。ルイーズの夫エリック・ライドナーは発掘隊長。恐怖におののく妻のために雇われた看護婦のエイミーの語りで物語は進む。

    発掘隊の建物の見取り図があり、隊員は7人でその他隊員の妻や医師、下働きの現地人がいる。・・脅迫は本物だった。ルイーズは殺されてしまう。外部からの人も無い中、犯人は発掘現場の人だ。またしても偶然にシリアにいたポアロが解明に乗り出す。関係者1人1人の状況があぶりだされ、しかし驚愕の真犯人は? もしや?と思っても見たが、しかし15年経ってそれほど風貌は変わるものか? 変わらないものか? 片鱗にきずかないのか? ちょっと犯人の設定に無理があるのでは? と思うがどうか。がしかし発掘現場を想像したり、恐怖からの想像とかやはりおもしろい。

    1936発表
    2003.2.15発行 2015.4.15第7刷 図書館

  • メソポタミアの異国情緒とまではいかないけど、砂漠っぽい雰囲気をイメージしながら読んでた。

    ミス・レザランの手記というスタイルの文章は親しみやすくすっと入り込めた。が、何故かポアロが出てきてからの方がちょっと失速してた感も。主体が記述者本人ではなくポアロに移ってしまったからかな…

    全体としてはライドナー夫人の描き方自体がミスリードを誘っている感じで、少しずるい感じも。それを「当事者の手記」との形態をとることで批判をかわしてるのかな?とも。

  • アガサクリスティーのポアロシリーズ。
    中近東を舞台に事件が起こる。ポアロの世界観のある、とても読みやすい一冊。それぞれの人間観察をしながら読むと面白いかも。

  •  再読。
     出来栄えは上々。キラリと光る名作。
     トリックは知ってしまえば「なあんだ」で終わってしまうかもしれない。西暦2000年をとうに過ぎた今、余りにも使い古された感のあるトリックでもある。しかし、有名なトリックというのは、思いもよらぬ「意外性」を持つから「再利用」が図られるのであり、既知だとして軽んじられるものではない。
     ストーリーも身があり、人物の思惑が交錯する様を描写する力量は、流石クリスティ。

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