マン島の黄金 (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 64)

  • 早川書房
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感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (495ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151300646

感想・レビュー・書評

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  • 新聞や雑誌等、様々な媒体に掲載されたきり埋もれていたクリスティーの作品を拾い集めてきた、短編集12話が収録されています。
    内容もバラエティに富んでいて、マン島(グレートブリテン島とアイルランド島の間に浮かぶ小さな島)の観光PRの為に書かれた表題作の「マン島の黄金」のような宝探し系の話もあれば、ポアロもの2編「クリスマスの冒険」「バグダッドの大櫃の謎」や、“謎のクィン氏”のクィン&サタースウェイトが登場する「クイン氏のティー・セット」などなど、まさに“拾遺集”というか、“お徳用詰め合わせ”といった感じです。
    個人的なお気に入りは、痛快ドッキリもの「名演技」、ほっこりロマンス「孤独な神さま」が好きでした。

  • クリスティ好きの友人との会話で出てきたので私も真似して読んでみる。
    ポアロの阿房宮のように、クリスティ死後に編まれた作品だとのこと。

    一作目でびっくり。
    ミステリではなく、怪奇小説というか、ポーやヘンリー・ジェームズみたいな雰囲気。
    ええー、ミステリより怖いやつ、と怯んだけど、読み進めるうちにいろんな作品があったのでほっとした。
    全体に三角関係男女の話が多いかな。
    クリスマスは、のちに長編になおされたやつ。
    シェイクスピアがヒントになっている話があったけど、オセロのイアーゴと、この巻に収録されたバグダッドの大櫃(スペイン櫃の原型)の犯人ややり口は似ている気がする。
    印象に残ったのは、
    崖っぷち 心理描写が怖すぎる。
    名女優 手塚治虫のマンガみたい。
    クリスマス ポアロと子供たちとのわちゃわちゃが楽しそう。
    孤独な神様 まるで昔の少女マンガ。謎は多いけど纏まりがいい。
    壁の中 ううう。すごい話。
    光が消えぬかぎり ううう。しんどい。
    クイン氏のティーセット これが見たくて読んだ。いくつかハテナが残るけど、サタースウェイトがクインに会えて本当に嬉しそうで私も嬉しくなる。これがクリスティの短編絶筆だとか。犯人の逃げ足が早い。

    表題作はストーリーは二の次だったけど、外枠が面白い。特に実際の企画謎解きは、全く物語とは違ったというのも笑った。

    細かに解説があって読むのが楽しかった。

  • 他の本に手を加えて改作して収録されているものが多い。
    「壁の中」「崖っぷち」「名演技」は好み。
    「孤独な神様」「光が消えぬかぎり」などロマンティックな
    ものも割りと好き。クリスティらしい人物描写で好きなのに
    クリスティは推理もの以外では評価が不当に低いとおもう。

  • 『夢の家』
    『名演技』
    『崖っぷち』
    『クリスマスの冒険』
    『孤独な神様』
    『バグダッドの大櫃の謎』
    『光が消えぬかぎり』
    『クィン氏のティー・セット』
    『白木蓮の花』
    『愛犬の死』
    上記10作が収録された短編集。
    『崖っぷち』の中で、丘の上の道について、「小道からはずれないようにすれば危険はまったくないのだが、うっかり小道から足を踏み外すと危険極まりなかった」と表されているのが、人の生き方そのものを表している様で、印象的だった。アガサ・クリスティーの作品には、こんな表現が時々見られる様な気がする。

  • アガサ・クリスティー没後20年を記念して編まれたという短編集。
    『謎のクイン氏』を読んで、こちらの単行本に収録されていない最後のお話があるというので、そちら目当てで図書館で借りました。
    短編集なので、読みやすいけれどよく言えばバラエティに富んでいる。悪く言えば各々の話のテイストが違っていて、戸惑うというか……こう好みが分かれる感じでした。
    クイン氏の話は星5だけど、タイトルにもなっている『マン島の黄金』は星1かなあ……なんて考えてしまう。(これに関しては、元々の企画が企画なので、小説として掲載するのには、そもそもちょっと無理がある様な気がする)

  • 表題作は本篇収録作の中で面白くなかったけれどワクワクするような冒険譚と言う感じで短編集のタイトルにはぴったり。

  • 2004年発行、早川書房のクリスティー文庫。12編。ほとんどが初期作品らしい。推理ものとか恋愛ものとか。クリン氏が出てくる『クィン氏のティー・セット』クリン氏ってこんなに事件を解決できったっけ、でも雰囲気はいいので好きである。『マン島の黄金』とポアロ物を覗けば雰囲気は似ているかな。

    掲載作:『夢の家』、『名演技』、『崖っぷち』、『クリスマスの冒険』、『孤独な神さま』、『マン島の黄金』、『壁の中』、『バグダッドの大櫃の謎』、『光が消えぬかぎり』、『クィン氏のティー・セット』、『白木蓮の花』、『愛犬の死』、まえがき:「まえがき」トニー・メダウォー(ロンドン)(1996年12月)、解説:「クリスティー女王に感謝!」(作家)藤村いずみ、他:「謝辞」、『夢の家』から『光が消えぬかぎり』までは「あとがき」あり、『マン島の黄金』には「まえがき」あり、

  • 今まで読んだことのないタイプのクリスティの短篇集だった。「クリスティの死後、新聞や雑誌等に掲載されたきりだった幻の作品群」だそう。ポワロの話が2つとクィン氏の話が1つあり。半分くらいまで時間がかかったが、後半はスイスイ読めた。特に「孤独な神さま」「クィン氏のティーセット」「愛犬の死」が気に入った。

  • クリスティーの個性あふれる短編をご賞味あれ。

    表題作はマン島の観光客誘致のために書かれた懸賞小説とのこと。当時は新しい手法だったかもしれないが現代では割とポピュラーなイベントとも取れるだろう。しかしクリスティーが参戦するとは豪華だ。ほかにもバラエティに富んだ短編が収められている。ポアロもあればクィン氏も。

    「崖っぷち」や「壁の中」にはメアリ・ウェストマコット名義の作品群に通じる静かな狂気を感じる。「愛犬の死」は愛犬家なら共感するのだろうか。「クリスマスの冒険」は若者たちとポアロの交流も微笑ましい活劇風。「名演技」は劇作家の面が強く出た作品で、ちょっと誰かに演じてもらいたくなる。

  • さまざまな味わいの短編が収録されている。

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