- Amazon.co.jp ・本 (418ページ)
- / ISBN・EAN: 9784151300790
感想・レビュー・書評
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密かな連続殺人の犯人を警視庁に知らせに行く所だという老婦人と列車で乗り合わせたルーク。その翌日婦人も轢き逃げで亡くなった事を知り現場の村に乗り込むが‥。雰囲気はマープルに近いがあまりにも軽率なルークの行動と恋にハラハラ。
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植民地帰りの元警官・ルークは、列車で同席した老婦人から奇妙な話を聞いた。彼女の住む村で密かに殺人が起こっており、その犯人を突き止めたという。警視庁へ向かったはずの彼女は、なんとひき逃げで亡くなってしまい──。
「殺人はとても容易なんですよ──だれにも疑われなければね。じつは問題の人物は、だれも疑ってみようともしないような人なのです」
老婦人・ピンカートンのこのセリフが呪いのようについて回る。ルークは作家を装い潜入調査を試みる。噂話がすぐ広まる小さな村で、くすぶり続ける謎の正体とは。
素人探偵ルークが協力を得たのは友人のいとこ・ブリジェット。村の有力者であるゴードン・ホイットフィールド卿の婚約者でもある。彼女とともに聞き取り調査を行うも、相変わらずの人物描写の巧みさに惑わされる。村人たちの言葉は真実か嘘か。人の心を覗き込むことほど難しいものはない。
冒頭のルークのモノローグが面白くて好きになる。
「イギリス!何年かぶりで帰ってきたイギリス!おれははたしてイギリスが好きになれるだろうか。」
「イギリス!灰色の空と身を切るようなきびしい風の、六月のある日のイギリス。このような日のイギリスは、人を歓迎する気配すらなかった。おまけにあのイギリス人たち!ああ、なんという民族だ。どいつもこいつも今日の空のような灰色の顔──心配疲れしたような憂鬱の顔。そしてキノコのようにそこらじゅうに生えている家々。ちっぽけで粗末で、むなくその悪くなるような家ばかりだ。この地方一帯に立ち並ぶあの気どった鶏小屋みたいな家々!」
ルークの言葉の方がイギリスの風よりも厳しくないか?と思わず笑ってしまう。そんな彼が老婦人が残した奇妙な謎を解くために奔走するのがいいよね。タイトルの意味もしっかり回収してくれてさすがの一言。
個人的に馴染みのない名前が多くて覚えるのは大変だった(ピンカートン、ハンブルビー、ホイットフィールド、エルズワージー、ウェインフリートなど)。作中で情報をまとめてくれたりするので、だいぶ助かった感じ。調査や推理を明かすのは素人探偵ならではの面白さだなと。
p.72
「ぼくはつねづね思っているのですが、人生で当面する最も不愉快な事実の一つは、だれかが死ぬと、ほかのだれかが得をするという事実です──金銭的な意味だけではなくて」 -
ノンシリーズ。
植民地帰りの元警官・ルークは、列車内で偶々同席した老婦人から彼女の住む村で連続殺人が行われていると聞かされます。翌日、その老婦人が車に引き殺され、さらに彼女が“次に殺されるかもしれない”と危惧していた医師が死亡したニュースを見たルークは、真相解明の為、件のウィッチウッド村に赴き、独自に調査を開始しますが・・・。
“THE・英国の田舎の村”といった感じの、村人同士が互いを監視し合っているような閉塞感や、村人たちのクセの強さ等、小さい村ならではの“一筋縄ではいかない感”を書かせたら達人級のクリスティーですが、いかんせん登場人物が多くて、ルークの地道な聞き込み場面では何度も巻頭の登場人物紹介ページを見直してしまいました(汗)。
そして、謎だった被害者同士を繋ぐ共通点・・所謂ミッシングリンクが明らかになったかと思いきや、巧妙なミスリードにまんまと騙されてしまい、後半のサスペンス的展開にはハラハラさせられました。
それにしても、真犯人のサイコっぷりにはゾッとするものがありますね。
因みに、クリスティー作品にちょいちょい登場するバトル警視が本書の終盤にちょっとだけ登場するのが何気に嬉しかったです。本当にちょっとだけですが(笑)。-
あやごぜさん、こんばんは。
『ゼロ時間』から気になるバトル警視、ちょこっと登場なんですね。
読みたくなりました〜!あやごぜさん、こんばんは。
『ゼロ時間』から気になるバトル警視、ちょこっと登場なんですね。
読みたくなりました〜!2022/05/17 -
111108さん。コメントありがとうございます♪
そうなんです~。『ゼロ時間』等でお馴染みの、いぶし銀キャラ・バトル警視がちょっとだけ...111108さん。コメントありがとうございます♪
そうなんです~。『ゼロ時間』等でお馴染みの、いぶし銀キャラ・バトル警視がちょっとだけ登場でございます。
一応登場人物紹介にバトル警視の名前が記載あるのですが、マジでチョイ役でした(苦笑)。
本書は所謂「英国田舎もの」で、これまたクリスティーお得意の小さい村ならではの濃密な人間関係がお楽しみ(?)頂けるかと思いますので、良かったら、読んでみてくださいませ(^^♪
111108さんは『なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?』読まれたのですね♪
こちらも、トミー&タペンスばりの冒険ミステリで面白いですよね~。
同じ時期にクリスティーのノンシリーズを読むというシンクロが嬉しいです~(^^)2022/05/18 -
あやごぜさんお返事ありがとうございます♪
バトル警視がチョイ役というのは、ある意味贅沢な使い方ですよね⁈「キャラに頼らなくても面白い物書け...あやごぜさんお返事ありがとうございます♪
バトル警視がチョイ役というのは、ある意味贅沢な使い方ですよね⁈「キャラに頼らなくても面白い物書けますけど?」みたいな(^-^)英国田舎の濃密な人間関係いいですね〜。読むの楽しみです♡
そうなんです!『なぜ、エヴァンスに〜』はトミー&タペンスにそっくりだけど、ヒロインが超お嬢様で成立する所もあるのでこれはこれで楽しいです。極悪人は出てこず必ずハッピーエンドというクリスティーあるあるで、安心してお読みいただけますよ(´∀`)2022/05/18
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クリスティの作品として、私の中ではほどほどの面白さでした。
素人探偵ルーク氏がちょっと鈍臭くてイライラしてしまいました。 -
田舎の社会における捜査のお話がメイン。何しろ死んでいる人数が多い。
バトル刑事は登場するがちょっとだけ。バトル刑事って数作品で出てくるが、いつも主人公描写出ないなぁと改めて思う。 -
☆3.7 読んで後悔はしない安心のクリスティ品質。
まあ少し登場人物が多くて混乱しやすかったのと、「医者だから○○」という因果は少々こじつけではないかという点だけ気になった。ブリジェットの心変わりも唐突に感じたかな。
ただミステリとしての構成はさすがで、フーダニットを見破ることは辛うじてできた(嬉しい)もののホワイダニットを詰めるには至らなかった。ある意味、ホワイダニットに着目すれば謎を見抜きやすいかも。間延びした箇所もなくはないが、それでも面白かったと言い切れる作品、クリスティはすごい。