- Amazon.co.jp ・本 (459ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152090461
作品紹介・あらすじ
社会の圧力か?生物学的本性か?性差など存在しないと執拗に強弁するのではなく、職場に男女格差がある原因を理解することが、男と女の双方にとってよりよい道を拓く。気鋭の女性心理学者が、最新の脳・ホルモン研究などの科学的知見に基づき、多くの「逸脱」した男女のインタビューを紹介しながら、性差をめぐるタブーに切り込む。欧米を騒然とさせた話題の書。
感想・レビュー・書評
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今の政策を進めたり組閣したりしている人たちにとりあえず最終章だけでも読んでみてもらいたい。
一部、男性女性に対して平等ではない著者の視点が気になるところはあったものの、自分のシステムエンジニアという職業からの経験で感じてきていたことや、周囲の友人たちを見ていて感じることに対して、矛盾することはなく、言語化されてスッキリしたようにも思う。女性に関する内容に関しては、自然に受け入れられた。
男性に関しては、極端な例をあげているせいもあるとは思うが、そうかな?と感じる部分もあった。
彼らは冗談やユーモアでそういう表現や考え方をしているフリをしているのだと思って生きてきたのだけれど、この本を読んでよくよく考えてみると、本気だったのかもしれない、と思い、愕然としている。
あまりに思考回路が違いすぎる。 -
女性が昇進を拒むのは能力の問題ではなく、昇進により得られるものと失うものを比較して、選択しようと思わないからである。ということか。納得。
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大学生の頃、フェミニズム論について研究したことがある。
その頃のわたしは、女性と男性は基本的に同じで、環境が女性を「女性らしく」させているということを信じていた。しかし、フェミニズムについて調べ、2本ほど論文を書くと、その偏った考え方に嫌気がさし、やめてしまった。
それでも、女性は男性と同じように仕事ができるし、女性は理系が不得意などではない。と信じて最近までやってきた。わたしの現在の仕事はITエンジニアである。
が、最近、そのことに疑問を感じ始めた。わたしの職場は、女性だからという偏見を持たれることはまずない。むしろ、女性の方が優遇されている。同じように機会を与えられる。出産や育児休暇に対してのサポートも整っている。育児中で勤務時間制限をつけているわたしに対しても、今後のキャリア育成を提示してくれる。それにもかかわらず、仕事に対して情熱を感じることがほとんどなくなった。仕事自体に興味が持てない。しかも、この状況に負けないで上へ!上へ!と後押ししようとする会社や上司に嫌気がさしている。贅沢な話しなのだけれど・・・。しかし、現在の給与と待遇、そしてなにより、社会的ステータスを捨てることができずにここにいる。
そんな悩みはわたしだけの贅沢な悩みだと思っていた。が、同じ会社には、同じように感じている女性が多くいる。上になど行きたくない。育児と家庭を両立さえできればこのままのポジションでいい、と。
この本は、わたしのこのような疑問に見事にこたえてくれた。
女性と男性は根本的に違うものである。
男性と女性では、仕事に求めるものが違う。
そして、医師、弁護士、大学教授などステータスの高い職を辞めてしまった女性の例が多く挙げられている。
理由については、まだまだ推測の域を出ないものが多い。
しかし、わたしのさまざまな感情が、わたしだけの固有のものではないことがわかって、わたしはとてもほっとした。上昇志向がなく、「怠け者」だと自分では思っていたが、もしかしたら、それは私だけではないのかもしれない。自ら好んで男性社会で生きることを選んでしまったが、それは、自分の体に合っていない用具を使ってスポーツしているようなものかもしれない。
この分野はまだまだ発展途上であり、さらにタブー視される内容を含まれるため、大きく取り上げられることがないものかもしれない。
が、私と同じように感じている女性がいたら、ぜひこの本を読んでほしいと思う。 -
自分なりのざっくりとした解釈として
女性は昇進できないのではなくてしたくないのだ!
そもそも男性と女性では脳梁の大きさなどの脳の作りや使い方が違う。
そのちがいによって女性は男性より自律性が高い傾向があり、学校でのテストの点数も平均的によい。
良い大学への進学率も高い。
ということは良い企業へも入れる。
それに比べて男性はリスクを好み、学力の良い人も悪い人も極端な偏りが出る。
そのため、突出した目立った天才かなどが男性に多く感じてしまう。
そもそも女性は男性と違って競争を好き好んでしたくはない。
それには、人間の女性が担ってきた子供を育てることに関係している。
人間の女性は多くの場合一回の出産で1人の子供しか産めない。
さらに自分の子供を1人育てるのにかなり投資(胎児のための栄養補給やその後の育児など)をしている。
それをするには他の人との協力が必要になる。
そのため、競争より協力を選びがちになる。
それとは逆に男性の戦略としては、1人の子供を作ることは女性よりもコストが少なくすむ。
そのためより多く女性との関係を求める。
それには他の男性との競争が不可欠となる。
その競争に勝った者が多くの遺伝子を残せることになる。
この違いが男性の昇進と女性の昇進を分ける。
競争好きの男性は勝つことで昇進を勝ち取り、自分の力を誇示したい。
女性は協力を得ることを好むため、競争までして昇進したくはない。
とのこと。
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女性は能力的には男性よりも平均的に高いが、内発的動機を重要視するので、報酬を主たる基準として職業を選択する男性よりも低収入になりやすい。そのためもあり、女性の方が仕事に対する満足度は高い。先進国など、機会均等が実現されているほど、この傾向は高くなる。
「バニラジェンダー」というものは無く、胎児のときに摂取するホルモン(テストステロンもしくはオキシトシン)の多寡によって性差が決まる。
進化心理学というものの学問的な確からしさは良くわからないが、論理的にはしっかりしている印象を受けた。 -
図書館で借りて、予約者がいなかったのをいいことに2〜3ヶ月延長に延長を重ねてようやく読破。
「女性は男性の別バージョンである。(男女が全く同じ条件であれば、女性は男性と全く同じ"男性的成功"を求めるはずだ)」という仮説を科学の視点から否定し、生物学的な性差があると認めた上で、男性基準で作られたシステムを変えようよ、という話。
男性より女性の方が給与や待遇が総じて低い一方で、男性と女性で働くことへの満足度を調べた結果、女性の方が仕事に満足している、という傾向があるらしい。
経営者等の男女比率の違いは機会均等的な意味合いの差別に基づくものではなく、女性も男性基準で働くことが許される環境になった結果、「男性基準で作られたシステムで競争に勝つのは求める幸せじゃないよね」と女性が思い、その競争環境から離脱した結果である。
また男性基準でシステムが作られている結果、女性が好む傾向のある看護師やソーシャルワーカーなどの職業の給与水準が、求められるスキル対比で低いのではないかとも書かれている。
ここからは感想になるが、、
労働人口が減り女性も働かなければ経済が回っていかない事実があるのであれば、男性基準ではない新しいシステムを作りあげる必要がある。
ただ、そのシステムを作るためには作成プロセスの中に女性がいなければいけなくて、その女性は男性的な働き方をしなければその場にはいられない。
そしてその場にいる「男性的な働き方ができる、ないし、したくて選んだ」という女性はもう既に男性基準で勝ち残っているので、その基準を変えるということはその人の地位やアイデンティティを崩すことになり得るのでは...根深い....
とても他力本願な感想ではあるが、すべての人が生きたい生き方を、後ろ指刺されず堂々と選べる時代になって欲しい、と思う -
男は上振れも下振れもする脆弱な存在だがうまくハマると活躍できる
女は男のように働きたいとは限らない
男女平等は必ずしも個々人の幸せを担保しない
男女は同じであるという幻想を捨て性差を考慮した社会にすべきとの指摘は頷ける -
日本では良妻賢母として未だに根付いている。特に60歳以上で女性に選択できる世界を意識して欲しい。この意識は男女問わず必要。
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2173円購入2010-02-24