かぜの科学: もっとも身近な病の生態

  • 早川書房
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感想 : 39
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  • Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152091949

作品紹介・あらすじ

病には数あれど、かぜほど厄介なものはない。これだけ長く研究されていながら、ワクチンひとつないなんて…練達のサイエンスライターが、かぜとは何なのか、かかったらどうしたらいいのか、多数の研究者に最新の知見を取材し、山とある俗信や市販薬の効果のほどを見定めつつ、自らの身を挺する罹患実験に参加までして、かぜを観察。あくまで科学の視点に立ちながら、読者の興味をそらさない絶妙の読みやすさをもって綴る、「かぜの生態学」。

感想・レビュー・書評

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  • 風邪についてはまだまだ分かっていないことがたくさんあるということが分かった。少なくとも200種の異なるウイルスが風邪の原因になることが分かっているものの、感染経路すらはっきりしないらしい。当然空気感染だと思っていたが、怪しいのは接触感染の方で、かぜの予防には手洗いが一番だそうだ。また、挨拶は、相手との接触が避けられない握手より、日本式のお辞儀の方を勧めると書いてあって、ちょっと笑ってしまった。かぜに効く薬はない。抗生物質は、ウイルスには効かないので、飲んでも害があるだけ。総合感冒薬は、薬効が確認されていないものも含めていろいろな成分が入っているので、持病があって別の薬を服用している人は、成分が重複して許容摂取量を超える危険がある。一番つらい症状に合わせて、単一成分の風邪薬を飲む方がよい。あとは、栄養のあるものを食べて、おとなしく寝ているのがよさそうだ。

  • イギリスのサイエンスライターが書いた非学術書。
    子供を育てる親としてにわかには受け入れ難いのが寒さとかぜのひきやすさには相関関係が無いという研究結果の紹介。
    研究者達がとにかく色々な実験をした結果、かぜ(特に鼻かぜ)をひく最も強力な経路はウイルス保持者との接触、または無機物に付着したウイルスが手に付き、それが鼻か目を通じて体内に侵入する事だった。
    しかしよく語られる寒さ、免疫力、疲れ等はかぜのひきやすさとは関係が認められなかったという。
    かぜのウイルスには膨大な種類があり、それを防ぐには一つ一つ抗体を作らなければならない。
    つまりかぜをひけばひく程、かぜにひきにくくなる。
    だから子供が大人よりかぜをひきやすいのは、大人よりもかぜにかかった回数が少ないからという身も蓋もない結論!

  • 無理に膨らませたような内容で読むべきところはあまりない。

    感冒症状を起こすウイルスは200種類以上もあり、全てに免疫を持つことは不可能。
    ライノウイルス自体は無害に近いウイルスだが、免疫反応が活性化されることで感冒症状が引き起こされる。免疫が弱いとかぜを引く、というのも迷信で、免疫賦活剤を服用するとかえって症状が悪化する。

    ・鼻水の色の変化も実は意味がない。子供がたれる、緑色の鼻汁は好中球の鉄含有酵素の色で、細菌感染症の証拠ではない。

    ・鼻づまりで飛行機に乗る時、子供の耳管通気法としては立った姿勢でおしゃぶりを口に含ませるかコップで何か飲ませるというのがよい。

    ・ライナス・ポーリングによってビタミンCの効果が喧伝されるようになったが、これまで一万人以上を対象に30を超える臨床試験が行われたが全く効果はない。マラソンランナーなどのように極端な状況下にある人で若干の効果が確かめられたのみ

  • 興味深く読んだ。
    ・風邪のウイルスが細菌と違うのは、細胞膜が無い事。そのため膜を溶かして細菌を破壊する抗生物質は効かない。
    ・基本空中拡散でなく、物に付いたウイルスが手→目か鼻から体内に入り、繁殖する。
    ・風邪の症状は免疫機構の過剰反応。
    ・口内にウイルスが見つかることは稀で、うがいの届かない咽喉の奥でウイルスは繁殖する。
    ・37度近い体内の温度ではウイルスは活性化しない。鼻の33度程度が適温。

  • 2015.6.9

  • 学術的に風邪を考察した良書であるが、単純に、なんて楽しい本だろうと感動した。著者も楽しみながら書いているのが伝わる。翻訳も上手い。

    新型コロナウイルスは変異する度に弱毒化し、もはや風邪だなんていう人もいる。しかし、我々は、そもそも風邪を理解できているだろうか。コロナやライノ、アデノ等のウイルスと新型の違いは。そう言えば、いつの間にか罹患して、いつの間にか治っているような、もてなしも意識もしない来客に対して不真面目な付き合いをしてはいなかったか。だから名前も知らないし、付き合い方もよく分からない。だけれど、誰もが何となく経験している事。それを言語化してくれている。

    何が楽しいか。例えば、ホテルで隔離され風邪ウイルスを与えられる人体実験の存在が語られたり、風邪に対する民間療法の意味、研究結果が披露されたり、風邪に対する格言、病床で読むのに最適な小説までオススメしてくれる。ちなみに、水を大量に飲めというのは脱水症状には有効だが、早期治癒には意味は無いし、風邪を引きながらの運動は、改善にも悪化にも効果は無い。ならば何が一番良いのか。プラシーボ効果が減ずるので、知らなければ良かった事もあるかもしれない。その点は心して読む必要がある。

  • 【目次】(「BOOK」データベースより)
    序 風邪の赤裸々な真実/第1章 風邪をもとめて/第2章 風邪はどれほどうつりやすいか/第3章 黴菌/第4章 大荒れ/第5章 土壌/第6章 殺人風邪/第7章 風邪を殺すには/第8章 ひかぬが勝ち/第9章 風邪を擁護する/付録 風邪の慰みに

  • 1

  • サイエンス
    病気

  • http://d.hatena.ne.jp/founder/20110305/1299290444本のキュレーター勉強会課題図書。風邪について、無知であることを思い知らされた。風邪を引き起こすウィルスは200種以上。万能薬がない。抗生物質、ビタミンCは効かない。寒いから、疲れているから風邪をひくといのはウソ。手を洗うことは有効。
    4月2日読書開始、4月4日読了。

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著者プロフィール

サイエンスライター。1980年、イェール大学卒業。生理学、生態学、進化生物学、環境科学など幅広い分野の記事を『ナショナル ジオグラフィック』などの著名誌に寄稿している。邦訳書には『かぜの科学』『からだの一日』(いずれも鍛原多惠子訳、早川書房)がある。

「2018年 『鳥! 驚異の知能 道具をつくり、心を読み、確率を理解する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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