- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152098559
感想・レビュー・書評
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『三つ編み』(レティシア・コロンバニ 仏)
私の嗜好性からしたら手にとる本ではないタイトル、表紙のデザインの本。
何故、これを手にしたのかは読んでいてすぐに気がついた。スマフォの読書メモに書かれていたタイトルは、そうブレイディ・みかこさんの『女たちのテロル』を読んだときにメモしたもの。
3つのストーリーを絡める構成と、抑制された繊細な文章はまさに『女たちのテロル』のリズム感を再起させてくれる。
「髪」をモチーフにして三つのストーリーまとめあげたというより、三つの支流に辿り着いたものを編み直したといったいった感覚を受けた。
昨年のアメリカ発の“Me too”の流れは、ジェンダーギャップにおいて先進国とされるフランスをとおすと、米国の中の過激な男性優位社会への抵抗というカタチから、もっと熟した女性たちの自由というものへ変換されて、日本にこだましてきていた記憶がある。
★★★★解説(高崎順子)★★★★★
現代フランスは
市民革命の基盤の上に成り立っている社会だ。1789年、絶対王政の抑圧に市民が抗ったフランス革命を刃切りに、「法の前に万人が平等である社会」を勝ち取った共和制国家である。この国では抑圧は打ち破るものであり、権利は勝ち取るもの。それはいまも市民の意識に強く刻まれている。
この国の人々は、抑圧と戦い自由を手にする人物が好きだ。
【ジェンダーギャップ指数】
フランス 12位 著者が暮らす国
カナダ 16位 サラが暮らす国
イタリア 70位 ジュリアが暮らす国
インド 108位 スミタが暮らす国
日本 110位 私たちが暮らす国
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なるほど
三つ編みだ
読み終わって妙に納得
ベストセラー作品になってることが頷ける
3人の女性の選び方
出身=母国の選び方が面白い
日本だと年を積み重ねるほど
髪の長さは短くなる
手入れがしやすく楽だから
闘い方は人それぞれ
日本の女性ももっと強くあれ
日本に生まれ育ち活かされてるということは
それだけでしあわせなことなんだから…
頑張ろう!日本 -
子供が産まれてから特に、女に生まれただけで何故こんなにも生きづらいのかを考えることが多い。
今の当たり前を疑うこと、本当の敵は誰かを見極めることができているか?
カナダ、イタリア、インドの3カ国の話。最後には『髪』で世界繋がっていく。ジェンダーギャップの観点では日本にも随所に当てはまることが多く、日本社会は女性を含め弱者に優しいふりをしていると気付かされる。
自分はそんなジェンダーにおける生きづらさを感じたことがない、と思っている時点で、もう社会に毒されていると考えるべき。
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読了記録69.
#三つ編み
#レティシアコロンバニ
本好きの友が贈ってくれた作品
地球上の全く違う場所で生きる3人の女性たち
いつしか彼女たちの人生が一つに編み込まれていく
家族の為、自分の為に強い信念と愛を持って生きる女達の物語
展開と伏線回収に心が掴まれる
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インド最下層カーストの女性、イタリアの人毛ウイッグ工場を経営する父のもとで働く女性、カナダでパートナー弁護士を目指すシングルマザーの女性。
この3人の不遇な境遇・理不尽な差別・突如降りかかる災難を通して、先の未来に見えるものが問われているかのような小説だった。
特にインドの最下層カーストの生活の描写は生々しくて読むに堪えない箇所もあり、今、自分が置かれている平穏な暮らしが申し訳なくすら思えた。同じ娘を持つ境遇が尚更そう思わせる。生きるだけで精一杯な状況。生きているだけでありがたいと思わなくてはならない状況。私なら生き延びられるだろうか、その選択を迷わず選べるだろうか。(これらは時期として、考えるほどにウクライナやガザをことを思わずにはいられない)
三つ編みをいうタイトルとどのようにマッチしていくのか最初はウイッグ工場ぐらいしか直接的なものが見えずにわからなかったけど、ハッと読み取れることが現れて、読み終えた後にはなんと秀逸な題名なんだ・・・と感動してしまった。
この本は英語でも読んでみたくて原書も入手済み。 -
様々な状況下で追い詰められている女性たち。
それぞれが狭い世界で苦しんでいるのだが、外に目を向け、踏み出すことで扉が開かれていく。
他国に依存するのはよくないという論調が強まる中で、世界がつながっているって素晴らしいと感じられる物語だった。 -
インド、イタリア、カナダ、3つの国で、年齢も立場も異なる3人の女性が、意志を貫く様子に、希望が編まれる物語。
結末の後に心配がないわけではないけど、それでも明るい未来を予感させる結びが爽快。
物語の描く、直接連帯できるだけじゃない、離れていても相手を知らなくても繋がっている可能性…本当に素敵。
解説もすごく良い。
ジェンダーギャップ指数を切り口に、作中の各国の事情や、フランスでこの物語がヒットした背景、日本が舞台になっていたら…という仮定の鋭さに、現実に目を背けない物語同様の真摯さを感じる。
解説で紹介されてたフランスの書評群がどれも詩的だ。
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インドの不可触民、イタリアの町工場の従業員、カナダのエリート弁護士という交わることのない3人の女性のそれぞれの生活が交互に描かれていく作品。淡々と物語が進みつつも、繋がるはずのない3人の人生が「髪」というキーワードで結ばれていく。途中から物語の展開は読めたけど、それぞれが置かれている環境を打破していこうとする力強さに勇気をもらえた。
先に読んだ2作目と同様にところどころにフェミニズムを感じるところがあり、(個人的によく読んでいる)韓国作家とはまた違う空気感みたいなのを感じた。 -
面白かった。
どこの誰が作ったか分からないもので勇気もらうこと、自分もあるなぁと思ったり。知らない間に誰かと繋がっていると考えたら、ロマンを感じる。