三つ編み

制作 : 髙崎 順子 
  • 早川書房
4.09
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本棚登録 : 2109
感想 : 200
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152098559

感想・レビュー・書評

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  • 想像以上に良かった。途中、読むのが辛くなる時もあったが、このままで終わるわけがない。この3人の女性たちがなんとか立ち上がるに違いないはず、と思って読み進めた。そのせいもあって、つい先へ先へと読み急ぐ傾向にあった。
    インド、イタリア、カナダ。どの国のどの女性も今の私とは程遠い感じもするし、状況は勿論違うが似ている部分もあるのか?と思いながら読んだ。インドの女性の過酷さは、小説の中だけであって欲しいと非現実的に願ってしまう。
    途中から三つ編みというタイトルの意味、3人の女性の関連が少しずつ分かってくると、面白みはより増してくる。ここからどんなふうに物語が集結するのか、一気に読み進めたくなった。
    希望で終わる小説が好きだ。3人の女性の希望と夢が繋がり、私にも夢とか希望が運ばれてくるみたいな気持ちになれた。

  • 読了記録69.
    #三つ編み
    #レティシアコロンバニ

    本好きの友が贈ってくれた作品
    地球上の全く違う場所で生きる3人の女性たち
    いつしか彼女たちの人生が一つに編み込まれていく
    家族の為、自分の為に強い信念と愛を持って生きる女達の物語
    展開と伏線回収に心が掴まれる

  • インド最下層カーストの女性、イタリアの人毛ウイッグ工場を経営する父のもとで働く女性、カナダでパートナー弁護士を目指すシングルマザーの女性。
    この3人の不遇な境遇・理不尽な差別・突如降りかかる災難を通して、先の未来に見えるものが問われているかのような小説だった。
    特にインドの最下層カーストの生活の描写は生々しくて読むに堪えない箇所もあり、今、自分が置かれている平穏な暮らしが申し訳なくすら思えた。同じ娘を持つ境遇が尚更そう思わせる。生きるだけで精一杯な状況。生きているだけでありがたいと思わなくてはならない状況。私なら生き延びられるだろうか、その選択を迷わず選べるだろうか。(これらは時期として、考えるほどにウクライナやガザをことを思わずにはいられない)

    三つ編みをいうタイトルとどのようにマッチしていくのか最初はウイッグ工場ぐらいしか直接的なものが見えずにわからなかったけど、ハッと読み取れることが現れて、読み終えた後にはなんと秀逸な題名なんだ・・・と感動してしまった。

    この本は英語でも読んでみたくて原書も入手済み。

  • 先日、ウクライナのゼレンスキー大統領が平和公園を訪問したことにより、『ちびまる子ちゃん』の放送が中止になりました。すると、『ちびまる子ちゃん見ないと日曜日が終わらない』『楽しみにしている子どもの気持ちも考えて!』なんて声がTwitterにあがったようでネットニュースになっていました。日本って平和だなー、と職場の人たちと笑い合いました。
    その後、本書を読んだのですが、ネットニュースを見て苦笑している私自身が、この物語の登場人物たちに『あなたの頭の中も平和ですね』と苦笑されてしまうだろう、と恥ずかしくなりました。
    物語の主人公はインド、イタリア、カナダの三人の女性。それぞれの生きる場所で女性であるが故に抑圧され差別されている。中でもインドの章では初めて知ることばかりが書かれていて心が震えるほどの衝撃を受けました。こんなことが同じ地球上で起こっているなんて、俄かには信じられません。
    でも、これが紛れもない現実です。恵まれた日々を送っている自分には知り得なかった現実。
    カナダの登場人物も、初めは恵まれた側の人間だったのですが、ある日を境に差別される側になります。ここが、本書の優れた点のような気がします。差別される側になることにより初めて自分が今まで知らずに差別していたことに気付く。
    そして、三人とも力強く前を向いて進んでいくことを選ぶ。
    素晴らしい本に出会えました。何よりも怖いのは知らないことです。私に様々な現実を教えてくれた本。映画化も予定されているようなので、ぜひ観たいと思っています。

  • 気になっていたコチラの作品。
    女性に圧倒的不利な社会で逆境に立ち向かう3人の女性が世界を舞台に、交互に綴られています。
    「インド」不可触民の母親
    「カナダ」毛髪加工会社で働く女性
    「カナダ」シングルマザーの女弁護士

    壮絶な現実。女性蔑視や身分制度による差別は、人の尊厳どころか命をも簡単に奪ってしまう。
    特にインドが壮絶。こんなにも人権無視で非道な行いが罷り通っているなんて…。読んでいて悔しいし怒りが渦巻いた。

    自分の置かれた境遇に抗い、自分の手で未来をつかもうと奮闘する3人の女性の姿を祈るように追い続けました。
    どんな状況であっても諦めない3人の女性が逞しい。
    「髪」で繋がる展開とラストは希望を感じられて良かった。勇気をもらえる作品。
    まずは「知ること」から。そして感じて「考えること」。
    続編「あなたの教室」も読みたい。

  • 様々な状況下で追い詰められている女性たち。
    それぞれが狭い世界で苦しんでいるのだが、外に目を向け、踏み出すことで扉が開かれていく。
    他国に依存するのはよくないという論調が強まる中で、世界がつながっているって素晴らしいと感じられる物語だった。

  • インド、イタリア、カナダに住む3人の女性の物語を三つ編みのように交互に語っていく形で進む。

    一見3者は交わらないかのように思えたけど、最後には「髪」を通じてつながっていく。

    特にインドのスミタ・ラリータのようなダリット(不可触民)の生活や現状がかなり酷く目を覆いたくなる。結婚したら全ては夫のもの、夫が死ねばその妻の人生も終わる。妻は夫の所有物。スミタの仕事は素手で糞尿をかき集め回収する仕事…など。

    カナダでは、ダブルスタンダードの男性的能力主義に追い詰められていくサラが書かれ、イタリアでは父の事業を立て直そうとするジュリアが家父長主義や女性へのバイアスにぶつかり、より自分に置き換えて共感もしやすい。

    作者のコメントで、彼女らは「男」に対してではなく、「社会」に立ち向かって闘っているというものがあって確かにと思った。現実世界では女vs男のように単純な構造ではなく、男性女性関わらず影響される固定概念に立ち向かわないといけない。


    スミタの住むインドよりも、日本の方がジェンダーギャップ指数では劣っているというのは驚き…

  • インド、イタリア、カナダ、3つの国で、年齢も立場も異なる3人の女性が、意志を貫く様子に、希望が編まれる物語。
    結末の後に心配がないわけではないけど、それでも明るい未来を予感させる結びが爽快。
    物語の描く、直接連帯できるだけじゃない、離れていても相手を知らなくても繋がっている可能性…本当に素敵。
    解説もすごく良い。
    ジェンダーギャップ指数を切り口に、作中の各国の事情や、フランスでこの物語がヒットした背景、日本が舞台になっていたら…という仮定の鋭さに、現実に目を背けない物語同様の真摯さを感じる。
    解説で紹介されてたフランスの書評群がどれも詩的だ。

  • 新著『あなたの教室(仮)』の関連作とのことで、読んでみた。

    客観的な描写にも関わらず、胸が痛くなる。
    インド、シチリア、カナダのそれぞれの女性の物語は、どれも続きが気になり、あっという間に読了。

    カナダの女性弁護士サラが、シングルで子どもがいるという側面を出さずに日夜、週末も働いて勝ち得たアソシエイトの立場。それは今の日本の女性と変わらず、わかりやすかった。癌を抱える人が職場で受ける差別も日本と変わらないと思われる。一方、治療や検査で仕事を離れればならず、案件が重要かつ長期の場合に、いかにして仕事と雇用を保っていくのか、難しい面があると思った。

    シチリアのジュリアは父の意識不明がありながらも、明るい未来を感じさせてくれた。シチリアという昔ながらの島の若い女性(ほぼ少女と言ってよい若さ)が、インドから毛髪を輸入するために、東奔西走したのであろうと思うと尊敬しかない。文中に引用されたマーク・トウェインの「不可能だとは知らなかったから、彼らは実行した」が刺さる。魅力的なカマル。ジュリアは、宗教も肌の色もやすやすと超える。カマルとジュリアの逢瀬は、三人の女性のともすればくじけそうになる物語において、生きる力、明るさを与えてくれていたと思う。

    スミタ。世界最高峰のIT技術者を抱えるインド。ヨガやアユールヴェーダなど、世界を惹きつけてやまない魅力をもつ国。そんな明るい面と反するように、女性への差別、虐待、人ならざる扱いがひどい。ここまでひどいのかと思うほどに、ひどい。世界の惨状は、「戦争」というどこからも誰からも目に留まりやすい形のみならず、見えにくい場所で、文化や歴史に絡みつき、こうも不幸な人たちがいるのかと気づかされた。

    世界が平和になり、誰にとっても暮らしやすくなってほしい。

    巻末の解説も参考になった!

  • インド、イタリア、カナダの女性たちが髪で繋がる。フェミニズム本と言えるけどお話としても面白い。気軽に読めるし勧めやすい。
    各国で女性が置かれている状況がよくわかる。東京に近いのはカナダかな。キャリアを続けるために時には命を削って食らいつくしかない。インドに比べたらマシだけど、先進国の女性も大変なんだよ。

著者プロフィール

レティシア・コロンバニ(Lætitia Colombani)
1976年、フランス・ボルドー生まれの映画監督・脚本家・作家・役者。刊行前から16言語で翻訳権が売れて話題をあつめた初の著作『三つ編み』は、2017年春に刊行されベストセラーとなり、フランスで85万部を突破、32言語で翻訳され、邦訳もされた。2019年5月15日に2作目の小説"Les Victorieuses"を刊行し、こちらも翻訳が待たれる。

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