歓喜の歌 博物館惑星3

著者 :
  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152099600

感想・レビュー・書評

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  • 『博物館惑星』の3作目。

    博物館苑惑星〈アフロディーテ〉は、創立50周年を記念するフェスティバルの準備に追われていた。
    今日もわけありの美術品や、暗躍する贋作組織など、次々にトラブルが…
    新人自警団員・兵藤健、〈アポロン〉の新人学芸員の尚美・ハシャムらの登場する連作短編。


    難しいことは言いっこなし。

    “今夜だけは、記憶させるのではなく、君に祈ろう。美しい場所の美しい魂の人を、どうか永遠に守りたまえと。”
    すっかり丸くなった孝弘の言葉は、博物館苑惑星の存在意義そのもの。
    音楽と美、命の奇跡、それらに包まれる歓びを、この星の上に生きるすべての人とともに分かちあえたら…
    そんなことを想像して、胸がいっぱいになった。

  • シリーズ3作目。
    前作の続きの連作短編集。
    新人警備員の成長記録と共に個性的な周りのキャラクター達も好きだし、大体の人たちが良い人たちで本当安心して読めた。
    伏線も回収されたし、良い最後でした。

  • シリーズ3作目、今回も壮大で素晴らしい博物館惑星ワールドであった。
    新人自警団員の健は相変わらず青臭くて危なっかしいけど、そのまっすぐな正義感が彼のいいところか。今回も様々ないわくつきの芸術品や芸術家に振り回される彼や学芸員の面々だが、ある謎がページをめくるごとに不穏な動きを見せてくる。いやこれ…どう風呂敷を畳むつもりかとハラハラさせられるが、そこは菅浩江さん!圧巻の最終章は、フィナーレにふさわしい華やかさとカタルシス!歓喜の歌の旋律がダイナミックに鳴り響いているのがページから感じられ、読む側もボルテージが上がってくる。懐かしい名前もちょこちょこ現れ、色々な思いが溢れて、ちょっと泣きそうになった。芸術の魅力を「SF」という形で我々に伝えてきた菅さんに、大きな拍手を贈りたい気持ち。
    またいつか、是非、番外編で再会できますように。

  • 大団円、という言葉がぴったりのシリーズ最新作。これで完結か。
    博物館惑星に勤める警備員の健の働きを軸としたストーリー。
    美の下で集う人々がみな幸せになれるといい。

  • SFマガジン2019年6月号一寸の虫にも、8月号にせもの、12月号笑顔の写真、2020年2月号笑顔のゆくえ、4月号遥かな花、6月号歓喜の歌、の6つの連作短編を2020年8月早川書房から刊行。シリーズ3作目。博物館惑星の学芸員達の事件記録。連作を通じて盗難、贋作組織への対応も描かれ、アクションシーンもあり楽しめる。シリーズ1作目から引き継がれる世界観が興味深く、面白い。

  • 前作がなんとなく不完全燃焼気味だったんだけれど、その伏線も色々回収されて最後はとてもよかった。
    前作と合わせて健と<ダイク>の成長の物語でもあったのだなあ、と納得。いまいちロマンチスト度が足りないと思っていた健だけど、読み返すと、前作のわりと初期の方でもロマンチスト発言をして<ダイク>にばっさり切り捨てられていることに気がついた…

    繰り返し出てくる「触れ合い」というテーマ。
    言葉にできないものが、触れることで伝わる。
    本物に触れられなくても、よすがとなるモノに触れて、そのひとを感じる。そのときを想う。

    よすがとなるモノ、に関してはすごくよく分かる。いまの気軽に本物(ひとであれ、ものであれ、コンテンツであれ)に触れに行くことができない状況ではなおさら、だと思う。
    ただ、ひととの触れ合い、に関しては、ちょっと自分が苦手なぶん、いや分からなくてもなんとかなるよダイク…という気持ちになったことは否めない。
    言葉を尽くすことを諦めたくないとも思う。
    もちろん、それをふまえた上での「触れ合い」なのだろうけど。

    アフロディーテって、地球から行くとお値段どのくらいなんだろう…行きやすい値段設定だといいなあ。

  • これも愛の物語。そして、芸術への賛歌であり、コロナ禍への大いなるテーゼ。

  • 前作を受けて見事に着地。今作は前作より"人の物語"になっていて、雰囲気は1作目に近い。1作目に登場した懐かしい名前がチラチラと出てきたのも嬉しい。「笑顔のゆくえ(承前)」がよかったので、写真家やはぐれAIのことが最後できちんと語られたのも嬉しかった。学芸員や警備員らの直接接続と芸術を纏わる問題解決に視点がいっていたけど、作者がここまで"美"にこだわっていたのは正直意外だった。健の叔父丈次のことも最後のエピソードと対になる見事な構成。前作からの経験と健からの学習で〈ダイク〉は十分に人間の心を学んでいた。"歓喜の歌"自体も役割を持つ。
    正直DBが人間の心を学んでHAL9000のようなことが起こらないかと心配したけど杞憂だった。

  • シリーズ三作め。
    そしてフィナーレっぽい。
    いつまでも、幸せに、って願いを。

  • 色んな伏線も回収され、1巻を読んだ時の芸術の星ならではの壮大な情景が浮かぶ感覚もあった。ここに繋がって2巻の少し物足りなかった印象も変わった。

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著者プロフィール

1963年生まれ。SF作家。2015年、『放課後のプレアデス みなとの宇宙』のノベライズを上梓。他の著作に『おまかせハウスの人々』『プリズムの瞳』など。本作がはじめてのビジュアルブックとなる。

「2016年 『GEAR [ギア] Another Day 五色の輪舞』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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