地球の未来のため僕が決断したこと

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152100436

感想・レビュー・書評

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  • p80 人間の活動によって輩出される温室効果ガスの量
    ものをつくる(セメント、鋼鉄、プラスティック) 13%
    電気を使う(電気) 27%
    ものを育てる(植物、動物) 19%
    移動する(飛行機、トラック、貨物船) 16%
    冷やしたり暖めたりする(暖房、冷房、冷蔵) 7%

    p168 ハーバーボッシュ法 合成肥料 食物生産量増加

  • NYTのポッドキャストで、私たちが今排出している温室効果ガスを0にできても今後30年は気候変動は抑えられないというニュースを聞いてハッとした。何となく、本気で取り組めば何とかできるくらいに思っていた気候変動はそんな生易しいものではないと実感したからだ。この本では排出量の内訳から(製造や物を育てることがこんなに多くの%を占めているのも初めて知った)、解決の具体案まで細かくわかりやすく紹介してある。発展を諦めるのではなく、今以上に電気を使い社会を発展させ続けながら気候変動を止めるというのがいかにも著者らしい

  • いま世の中ではCO2削減が目標とされているけど、この本はCO2ゼロを目指さなくていけないと書かれており、削減とゼロはやり方も考え方も違う。ゼロを目指さないとダメだなと改めて思った。
    本書では沢山の情報が書かれていて一度では覚えられないので、また読みたい。

  • すごく面白かった。温室効果ガスの排出を510億から0にしなければならない理由、現状の問題の細分化が簡潔にまとめられていた印象。
    具体的な行動も第11章以降で述べられている。

    第11章 ゼロ達成に向けた計画
    イノベーションの供給を増やす
    [1] これからの10年で、クリーン・エネルギーと気候関係の研究開発予算を五倍にする。
    必要な技術
    炭素を排出せずに生産される水素
    フルシーズンもつグリッドスケールの電力貯蔵
    電気燃料
    次世代バイオ燃料
    炭素ゼロのセメント
    炭素ゼロの鋼鉄
    植物由来や細胞由来の肉や乳製品
    炭素ゼロの肥料
    次世代核分裂
    Fガスを含まない冷媒
    核融合
    炭素回収(直接空気回収と局所的な回収)
    地下送電
    炭素ゼロのプラスティック
    地熱エネルギー
    揚水発電
    蓄熱
    干魃や洪水に強い食用作物
    炭素ゼロのパーム油の代替物
    [2] 高リスク高リターンの研究開発プロジェクトに、より多くの資金を投じる。
    [3] 研究開発を最大のニーズとマッチさせる。
    [4] はじめから産業界と協働する。
    イノベーションの需要に弾みをつける
    購買力を行使する。
    コストを下げてリスクを減らすインセンティブをつくる。
    新技術を市場の送るインフラをつくる。
    新技術がほかと競合できるようにルールを変える。
    炭素に値段をつけるカーボン・プライシング。
    グリーン電力基準。
    グリーン燃料基準。
    クリーン製品基準。
    古いものを追い出す。

  • ビルゲイツが気候変動に対してとても勉強して、活動していることがわかった。技術の知識がバックグラウンドにあるので、数値やファクトに基づく記述が多くとても分かりやすかった。年間の温室効果ガス排出量を510億トンと明記し、排出元を割合で示していたのは、目標達成に向けたイメージが湧き良かった。グリーンプレミアムという、環境に配慮した製品とそうでない製品の価格の差をどう埋めるかに、技術革新や政策、市場の変化が大切と考えるなど、技術革新だけでなく、政策や市場といった社会の仕組みのイノベーションも大切だと改めて思った。政策や市場のイノベーションをどのように起こすか、ファクトから課題を探し、どのような解決策があるか考えていきたい。

  • 新型コロナで経済活動が落ち込んでも、CO2排出量はわずかしか減らなかった。

    温室効果ガスは年間510億トン。どのくらいの割合になるのか計算する。1%年間5億トンを超える技術に投資する。
    鉄鋼とセメントの製造は全排出量の10%を占める。発電は27%。
    電気量は、1メガワットで小さな町、5000ギガワットで全世界。
    空間が必要=太陽光、風力、水力、だけでは賄えない。エネルギー空間密度が低い。
    費用はいくらかかるのか=グリーンプレミアム。これが高すぎると誘導するのは無理。マイナスなら自然とそちらを選択するはず。

    DACで吸収するのは年間5.1兆ドルかかる。最も費用がかかる方法。
    グリーンプレミアムが低い電気を作って、エネルギーを電気に依存することが近道。

    水力発電は、土壌の炭素がメタンに変わり放出される。逆効果になる。
    経済発展には安いエネルギーが必要。中国は石炭火力を75%下げて経済発展した。

    太陽光や風力、水力がただなのにグリーンプレミアムがかかるのは、化石燃料が非常に安いから。
    場所によっては再生可能エネルギーが利用できない=送電にお金がかかる。
    安定供給のために化石燃料が求められる。バッテリーでは対応できない。原子力は必要。

    クリーンなエネルギーは、今後さらに必要になる。人口増加、経済発展のため。現在の発電量の3倍以上必要になる。
    電気が占める割合が多くなると送電網のスマート化が必要になる。
    原子力以外にはない。発電設備の資材量も最も少ない。太陽光が一番多い。テラパワーの原子炉。
    核融合はいまだに実験炉段階。プラズマを発生させるための電力が、発電よりも多い。
    養生風力は有望。

    バッテリー、揚水発電、蓄熱、安価な水素。燃料電池のための水素を得るために電気を使うと持ち運べるが、エネルギー効率は落ちる。
    炭素回収=コンクリートの中に埋め込む。
    電力使用量を平準化、または減らす。

    ヒートポンプによる熱源にする。
    セメントは製造過程で二酸化炭素が出る。エネルギーの問題ではない。
    製鉄は電炉で解決可能。
    プラスティックは、炭素を使って製造する。閉じ込めて置ける。
    結局、可能な限り電化し、脱炭素した電力網から獲得する。残った排出は炭素回収、資材をもっと効率的に利用する、という方法がよい。

    食用に動物を育てることは大きな要因。牛のゲップにはメタンが含まれる。
    ボーロッグは(
    (緑の革命の引き金)、茎を短くした小麦を開発した。トウモロコシと米も同様のものができた。半矮性の小麦。肉食の方が餌のカロリーを使う。
    肉の代わりに植物由来の肉をつくる。細胞肉、培養肉をつくる。食材の無駄をなくす。
    ハーバーボッシュ法で合成肥料ができるようになって農業革命が起きた。肥料のおかげで、微生物が窒素を作らなくなった。製造に二酸化炭素を排出させる。
    亜酸化窒素は回収できない。
    森林破壊は人口増加のための食料と燃料を作るために起きる。森林破壊を補う植林はできない。
    ガソリンほど安く密度が高いエネルギーはない。輸送のためのエネルギーは排出量の16%しかない。
    電機自動車は、グリーンプレミアムはほぼゼロに近づいている。しかし、ガソリンが安ければバッテリーが高くてそうはならない。充電に時間がかかる。
    代替え燃料には第二世代のバイオ燃料がある。食用ではない植物から作られたエネルギー。空気中の二酸化炭素を回収して炭素エネルギーを作る電気燃料。
    バッテリーはガソリンの35倍の重さになる。
    長距離の大型トラックは実用的ではない。
    船と飛行機は、必要な動力が多いので電化できない。バンカー重油はとても安い。
    小型のものは電気、船は原子力で。飛行機は代替燃料。
    電気の飛行機は、二人乗りで3時間まで。
    電気自動車が広く使われるとガソリン税の収入が減る=見かけよりもガソリンのコストが安い証拠。

    冷暖房は電気のほうがすでに安い。ヒートポンプで熱を賄えばグリーンプレミアムはマイナスになる。=電化、電気を脱酸素化、省エネを進める。

    収入が上がるほど炭素を排出するようになる。
    最貧国では電気自動車よりワクチンのほうが重要。
    マングローブは、防波堤より安くつき、浸水の被害を防ぐ。
    ティッピングポイントに達して、海底のメタンガスが放出されるようになると取り返しがつかない状態になる。
    ジオエンジニアリング=大気を一時的に変化させて気温を下げる=1%太陽光を減らせばよい=雲を白くする。
    安上がりだが、世界的な合意が必要。

    電気はクリーンでもそうでなくても同じ使い勝手。義務付けなければ安いものが売れるだけ。
    アメリカはガソリンの10%がバイオ燃料になっている。
    次世代バイオ燃料の研究が進まないのは、市場があることを確信できないから。
    太陽光や風力を普及させたのは買取制度や補助があったから。技術開発によってグリーンプレミアムは少なく、またはマイナスになる。

    2030年までに削減、と2050年までにゼロを達成、は同じ方向ではない。技術開発の目標が違う。
    炭素に値段をつけるカーボンプライシング=温室効果ガスの排出は高くつくことを市場に示す必要gあある。
    グリーンプレミアムを下げることは慈善事業ではない。これが新しいイノベーションのチャンスである、と捉えるべき。

  • ニュースや新聞で脱炭素を目にすることが多々あるが、その必要性と困難さが少しだけ理解できた。

  • 第三章の5つの問いと、グリープレミアムの考えは非常に有用。
    輸送でも電力でもなんでも脱炭素のためにはテクノロジーの発達が必須ということがわかる。
    短期的に二酸化炭素排出を少なくするのではなく、長期的にゼロにする必要があることがわかった。

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50260792

    気候変動という最も深刻かつ大きな課題のもとで再編成されていく、グローバル経済を生き抜くための入門書 (生命融合科学分野 大塚正人先生推薦)

  • ビルゲイツって凄く真面目で勉強熱心なことを知った。

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著者プロフィール

1955年、シアトル生まれ。13歳のときにプログラミングを始める。1973年、ハーバード大学に入学。在学中にポール・アレンと共にマイクロソフト社を創業。MS-DOS、Windows の開発により、同社は世界的ソフトウェアメーカーに。2008年以降は慈善事業に専念するため同社の仕事から徐々に離れる。『フォーブス』の2015年世界長者番付1位。

「2015年 『[生声CD&電子書籍版付き]対訳 セレブたちの卒業式スピーチ ――次世代に贈る言葉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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