夜中に犬に起こった奇妙な事件 (ハリネズミの本箱)

  • 早川書房
3.51
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感想 : 32
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  • Amazon.co.jp ・本 (373ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152500090

作品紹介・あらすじ

数学や物理では天才なのに、他人とうまくつきあえない自閉症の少年クリストファー。ある夜、近所の飼い犬が殺された。彼は探偵となって犯人を捜しながら、事細かに記録を取る。やがて驚くべき事実が明らかになり…事件を通して成長していく少年の心を描いた、『アルジャーノンに花束を』をしのぐ感動作。

感想・レビュー・書評

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  • アスペルガー症候群のクリストファーの一人称で描かれる本書で自閉症を疑似体験した様な感覚。好きか嫌いかにかかわらず、読むべき本。

  • ずっとずっと探していた本。タイトルだけ覚えていて実物を見たこともなかったので「ほんとは出版されていないのか、極僅かしか売られてないのでは?」なんて諦めてた。
    クリストファーが理解できない言葉や表現は使われていないところが私にもとても読み易かった。正直なところたくさんの本を読んでいても「???」な表現はたくさんある。確かに「解る人には解れば良い。解らないなら解らなくてよい」的な文章を混ぜた方が玄人ウケするのかも知れないけど、伝わらなくちゃ文じゃないってことを改めて感じた。

    また、情報の取捨選択が苦手なクリストファーはたくさんの情報が溢れている場所を嫌うとあるけど、ノーマルと言われている私たちは本当に取捨選択を正確に行えているのだろうか?今見えているもの、今聞いていることが必要な全てなんだろうか?必要以上の情報を撒き散らしているのも、言葉や動作だけでは伝わらない情報も全て人間が作り出したもので、それらを発信している人でさえその情報の真意を間違えたり持て余したりしているのでは?
    情報を得るためだけに必要以上のエネルギーを使用することになった私たちの方こそノーマルから遠ざかっているんじゃないかと思った。

  • V6の森田剛さんが舞台に出演、その原作、というきっかけで読む。

    父親と二人で暮らしている、自閉症の少年、クリストファー。
    ある日、近所の犬が死んでいるところを見つける。
    殺したのは誰なんだ?
    過程を本にまとめながら犯人を見つけるための冒険が始まった。

    自閉症ながら数学などの問題に関しては天才的な才能を持つ少年、クリストファー。
    とても、純粋な彼の冒険。
    犬を殺した犯人を見つけるべく奔走する。
    父親はそれに対して良い顔をしない、そういった障害もありつつ、真相に迫っていくクリストファー。
    それとあわせて、家族の問題に関する真相にも迫ってしまう。
    クリストファーの父親も母親もとっても彼のことを愛している、それが伝わる描写には胸が熱くなりました。
    自閉症の彼は抱きしめられることが嫌。
    だから代わりに掌を合わせる、それが彼ら家族のハグ。
    クリストファーの視点で進む物語はいつもの自分の視点とは少し違う感じが興味深い。
    彼の方が色々と思慮深い。
    たくさんのことを目まぐるしく考えている。
    彼が一生懸命つかんだ答え、物語の終着。
    一緒にハラハラし、勝手に心配し…読み終わって、ふぅと満足のため息が出る。

  • アスペルガー症候群の症状や患者の内面を知るのに役立つ本。障害を持った人の内面が、障害者が身近にいない人にも想像出来るよう、わかりやすく描写されている。ミステリーの要素がなく肩透かしだったが、最後まで読めてしまった。

  • 20160224

  • 自閉症のクリストファーの視点から見た様々なことが書かれているのが印象的だった。久しぶりに翻訳小説を読んでみたが、児童書の括りというのもあり、スラスラと読めてしまった。クリストファーは、数学や物理の分野は才能を発揮するが、人の気持ちが読めないのもあり、人付き合いがうまくできない苦悩、クリストファーが自分の個性と付き合いながら、成長していく中で生きづらさを自分なりの方法で埋めていく。ミステリー要素よりも自閉症の子どもを持つ親の思いを感じ取れ、自閉症の人たちの苦悩、生きづらさが感じ取れ、読めて良かった作品。

  • 主人公の男の子の心情や頭の中て起きてることが詳しく分かりやすく書いてあり、ある種の教科書にもなり得そうな一冊。

  • 奇妙な~本でした。

    主人公は15歳の男の子クリストファー・ジョン・フランシス・ブーン
    母は2年前に心臓発作で亡くなり、父と二人暮らし。
    シボーン先生が担当する自閉症児。

    先生に本を書くことをすすめられているところに、事件が起こる。

    自宅から左に二軒目のミセスシアーズのプードル犬ウエリントンが夜中十二時七分過ぎに、シアーズ家の前の芝生の真ん中で庭仕事用のフォークで刺されて死んでいたのだ
    第一発見者のクリストファーは犬を殺したと誤解され、警察に捕まる。

    この部分からもう目が離せず、そのまま一気に最後まで読ませる。
    クリストファーは自閉症の特徴のまま、物事を受け取り、判断し、行動する。
    父親はそれを理解しつつも、対応しきれず、真実を隠そうとしたことから、新たな嘘が暴かれてしまう。

    まず、どうしたらこれを舞台にできるのか!?
    もう不思議でたまらなくてyoutube検索してみると以下の通りにいろいろな映像がありました。
    この小説を読んで舞台化しよう!と思ったなんて~すごい!と別のところんいたく感動してしまった。

    https://www.youtube.com/watch?v=O704ld5WQnk
    https://www.youtube.com/watch?v=RYDFdY3IZBM
    https://www.youtube.com/watch?v=6gMH285LvbM

    また、娘が中学のときに学校ですでにこれを読んでいて知っていたことにも驚く。環境がなせるわざに驚く。

    http://moarh.hatenablog.jp/entry/2014/04/25/110812

  • 自閉症児が書いた設定、わかりやすい。
    だけどやっぱり親は辛いよな〜と思う。
    これを両親が読んで、理解しあえればいいけど。
    なんか父親が辛いわ。
    アルジャーノンを読んだことないけど、
    それをしのぐ感動作ってあおりは⁇
    感動するとこあったかな⁇

  • もう、読み始めた途端に「アルジャーノン!」って感じの小尾芙佐訳。だから、裏表紙に「『アルジャーノン』をしのぐ感動作」と入れる早川の気持ちもよくわかる。
    近所の犬を殺した犯人を見つけようとする自閉症の少年の話なので、推理小説的なところもあるのかな、と思ったが、それはなかった。
    自閉症(正確にはアスペルガー症候群)の少年の一人称で語られるので、そういう障害を持った人の内面が良く描けているという評価が高いのだろう。
    これ読んだら、アスペルガーの人って嫌いじゃないな、と思うもの。見知らぬ場所や人が苦手で叫び出したり、うずくまったりするのは困るけど、暗喩(直喩は大丈夫)が苦手で、人の表情が読めず、言われたことをそのまま受け取るって清々しい気がする。やたら空気読めと言ったり、優しい言葉で嫌味を言ったりする人よりずっと人間として上だと感じた。
    アスペルガーの人が好きになったので、いい本だと思う。
    でも小説としては、特別いいというほどでもない。
    犯人もすぐに想像がついちゃうしね・・・。

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