翡翠城市(ひすいじょうし) (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ 5045)
- 早川書房 (2019年10月17日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (608ページ)
- / ISBN・EAN: 9784153350458
作品紹介・あらすじ
選ばれし者が翡翠から力を引き出し、互いに戦い、支配すべく日々しのぎを削る激烈なる島、ケコン島。ヒロたちコール家のファミリー〈無峰会〉は、島を仕切り、血と硝煙に彩られた世界を生き抜いていたが――。21世紀版『ゴッドファーザー』×異能ファンタジイ
感想・レビュー・書評
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面白かった!
翡翠を身に付けた戦士たちの異能バトルは読んでいてアクションが目に見えるようだった。
無峰会、コール一族の人間模様も最高だった。 -
やー、面白かった!つかみもいい、設定もいい、キャラもいい、だいたいタイトルがいいよね。
これゴッドファーザーじゃないの?!と思いながら読んだら、解説にやはり「21世紀版ゴッドファーザー×魔術」と。でもゴッドファーザーとの大きな違いは、闘う女性キャラたち。ジェイはもちろん、ウェンも、敵ながらアイトも、弱さを孕みながらの強さがカッコいい。
エピローグ読みながら、続きそうだなーこれ、と思っていたら、やはり続いているらしい、本国ではもう出ているらしい。続きも期待出来そう。邦訳を待つ。 -
世界幻想文学大賞受賞作。
非常に面白かったのだが、あからさまに『つづく』というラストだった。次作の邦訳……出るのかなぁ。兎に角、続きが気になるので、邦訳が途切れないことを願う……。 -
香港ノワール映画「男たちの挽歌」「インファイナル・アフェア」を見ているような世界観の“ファンタジー”小説
架空の島国ケコンで、かつては一つの組織として民族独立の原動力となった“グリーンボーン(翡翠使い)”たちは、その中心となったコール家の無峰会とアイト家の山岳会の二つの組織に分裂し、敵対していた。そんな抗争のなか、コール家の若き指導者たちはさまざまな葛藤を抱きながら組織のために戦う……。
翡翠による特殊能力と架空の場所や国でなければ、ファンタジーという言葉の響きからはひどくかけ離れている。
人はなぜ”石“に意味を持たせようとするのか。
たしかに多くの工業製品にその特性を生かした鉱石が用いられているが、石自体が自覚していることではない。
無機質なゆえ理解不能、且つ直接「地球」であること。
そんなところから神秘的なイメージを抱くのかも。
この物語では、感知、シャネリング、鋼鉄、怪力、敏捷など、翡翠による特殊な力(架空)と人体への影響を、功罪交えて描く(その様子は、アヘンと覚せい剤を交互に使用する中毒のよう)。
マーヴェルの主人公たちがアジアで「男たちの挽歌」を演じている、といった具合。
もともと香港ノワールは好きなので、問題なく楽しむことができた。 -
アジアン・ゴッドファーザーとも呼べるようなSF超大作。
翻訳モノにも関わらずスラスラ読み進めることができた。
約600ページ(それも二段組)という超長編だったので、読み終えるのに時間がかかったけれど、最後まで飽きずに読むことができた。
圧倒的なスケールと濃厚な物語。
続編もあるということで続きが楽しみ過ぎる! -
すごく続きが気になる
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特殊な翡翠の力を操る「グリーンボーン」たちの集団即ち翡翠マフィアの抗争の物語。舞台のモデルは香港か、或いは台湾か?猥雑な雰囲気は香港ぽいのだが島ということで台湾の匂いもする。なんせ翡翠パワーが鍵なんで、どうしても故宮博物院のあの「白菜」を思い浮かべてしまうので。
登場するのはなにやらザビ家の兄弟(ガルマ抜き)を若干というか無理矢理想起させる3人と、それこそアムロか碇シンジくんタイプの不安定な天才少年だ。この中で、やはり北米好みだとセクシーな行動派の次男が主人公になるのだろうが、仮に作者が日本人ならば恐らく繊細な人格者の長男に焦点を当てるんじゃないかな?と感じた。或いは時代の求めに応じてクレバーな戦略家の妹が…ということもあるか。
本作で完結しておらず、既に原書は続編も刊行されているのだが、最高とはいえないまでもなかなか楽しませてもらえたということで、間をおかずに翻訳をお願いしたい。 -
翡翠-身に付けると超常的パワーが手に入る-を身に纏った男たちのノワール物。
舞台となる架空のケコン島は、台湾とベトナムを足して2で割ったか、台湾に対外戦争という意味でベトナム歴史を振りかけた感じ。祖父達が戦った独立戦争の余韻がありつつ、米ソを彷彿とさせる世界情勢が取り巻いている。
そんな中で無峰会と山岳会という二大組織(ぶっちゃけ青幇)の争いを描いている。
香港ノワール風味なのでカンフー映画的アクションもあるが、それよりも家族の絆と葛藤、武力だけではどうにもならない策謀、政治的駆け引きがしっかり描かれているので、読み応えがある。
以下ネタバレ
もう少し悲劇的な最後になるかと思ったが、一応落ち着いた最後だった。続刊があるらしいのでそれにも期待。