生きる

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 103
感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163206806

作品紹介・あらすじ

苦境に人の心を支えるもの。山本周五郎賞受賞作家が描く感動の時代小説三篇。

感想・レビュー・書評

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  • 渋い!武士として、人として生きる上での本音と建前を鋭く突いた物語3編。どれも味わい深い。

  • このような人生があって、幾度かの戦争があって日本の男たちは、生きることを選んだ。

  • まだ途中。ブログにレビュー書きました。
    http://mariko0202.hatenadiary.jp/archive/category/%E6%9C%AC2019

  • 山や谷のあまり無い静かに穏やかに ただ朴訥な武士の暮らしぶりが淡々と物語られていく。直木賞の「生きる」も良いけど「安穏河原」は余韻が残り「早梅記」は白梅のように元家政婦が凛としている。取り立てて凄い技も腕も才覚もない男たちだけど、ひたすらに無骨に生きることしか出来ない彼らにも ささやかな幸せらしきものがもたらされる みたい。物悲しくて哀れな男たちだけど不器用に生きることにも何かしら意味があるのだと感じさせてくれる三つの物語です。

  • 中編3編
    追腹をテーマにした「生きる」,娘を女郎に売った父と娘の矜持を描いた「安穏河原」,「早梅記」.武士というもののつまらない誇りのありようを,それぞれ形を変えて見せているようだ.それにしても女性たちの潔さ,清々しさは哀しくもある..

  • 4-16-320680-9 234p 2002・3・10 4刷

  • 図書館で借りた本。
    読み終えてすぐは、え、こういう終わり?と納得がいかなかったです。
    もちろん、よい本だということは感じたけれど、何がそこまで素晴らしいのか私には理解できなかったと思いました。
    でも、気がつくとずっとこの本のことを考えていて、どうして生きなければならないのかということに対して、生まれてはじめてその糸口が見えたような気がしたのです。
    今まで、生きることをあきらめてはいけないと、ロビンソン漂流記に強烈な刷り込みをされていたのだけれど、「生きる」を読んでさらに強くなったような気がします。
    それから余談ですが…けんの放った「ちくしょう」という台詞がものすごく怖ろしかった!

    2話目はもう、涙なしには読めない程。
    こんなに泣いたのは何年ぶりだろうというくらい。

    もっと早く読みたかったし、例えば去年までに読めていたら今、こんなことにはなっていなかったのでは、なんて感じる程、素晴らしい作品だと思いました。

  • 乙川優三郎さんの直木賞授賞作品である時代小説『生きる』を読了。3編が収められている短編小説集で読みやすいが生き方を考えされられる物語が収められている。『生きる』では組織を守る為に密かに命じられた約束を守り通すが故につらいお勤めの日々を過ごす男、『安穏河原』では武士としての矜持を守ろうとそれに固執し零落してしまった男、「早梅記」では出世の為にそれまでに世話になり懇ろであった女性をそでにし家柄のよい妻をめとりそれなりに功をなすが過去に未練をもっている男など、ある意味今の時代ではいかんというか駄目な男が描かれているが昭和生まれの自分には他人の話とは簡単に割り切れず考えさせられる部分も少なくなかった。やはりいつの時代でも『生きる』のは難しい。

  • 表題作が直木賞。追腹禁止の命を受けて非難や嫌がらせに耐えながら生きる姿は悲しくて。娘にさえ憎まれ真意を理解してもらえないどころか、娘自身の気が触れるという。彼にとってこの世に神も仏も無かったのでしょう。ラストは少しだけ希望が見えるかな?二作目は自分の短慮から娘を売り、その苦境から救うために自ら切腹するも、その娘は…とやはり切なすぎる話。親の勝手に振り回される娘が哀れで、でもそうしなきゃ生きていけなかった…。ラストは私的に男のエゴ満載のお話に思えて好きにはなれず。しみじみ生きるという強さを感じる作品でした。

  • いつの世も男は情けないなあとか感想を抱きながら、作家ってのは見てもないような江戸の頃の話を書いてこうまで思わせるんだから、こいつは大した嘘つきだわ、と感心した次第。静かでじわっとくる中編集。ブックオフで買ったんだけど何にも重要でもない箇所に蛍光マーカー引いてあって興醒めした。

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著者プロフィール

1953年 東京都生れ。96年「藪燕」でオール讀物新人賞を受賞。97年「霧の橋」で時代小説大賞、2001年「五年の梅」で山本周五郎賞、02年「生きる」で直木三十五賞、04年「武家用心集」で中山義秀文学賞、13年「脊梁山脈」で大佛次郎賞、16年「太陽は気を失う」で芸術選奨文部科学大臣賞、17年「ロゴスの市」で島清恋愛文学賞を受賞。

「2022年 『地先』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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