- Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163215709
作品紹介・あらすじ
士族出身の上流家庭・花村家にやってきた若い女性運転手。令嬢の"わたし"は『虚栄の市』のヒロインにちなんで、彼女をひそかに"ベッキーさん"と呼ぶ。そして不思議な事件が…。待望の新シリーズ。昭和七年"時代"という馬が駆け過ぎる。
感想・レビュー・書評
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読み始めてベッキーさんが出てきてすぐに昔読んだ本であることを思い出した、、、。
しかもシリーズ全部読んでいる、、、。
ただ、幸か不幸かあらすじは全く覚えてなかったので「なんて面白い話なんだ!」と思いながら読めた!(←アホ)
それにしても前回読んだのは10年以上前で、その頃は無知だったので千疋屋という存在も知らなかったし文化的に昭和初期の雰囲気が興味深いとも思わなかった。
上流階級のお上品な方々の話ではあるのだけど、著者北村薫が描くとこんなに鼻につかないのがすごいと思う。
いい暮らしや贅沢な描写がたくさんあるけど反発心や反感が全然沸いてこないのは、主人公達の人物(性格)に気取った所がまるでなくて、ごくごく等身大だからだろう。
その分ミステリ的な所や物語に集中できる。
著者のすごさを再確認出来た。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
昭和初期の財閥令嬢と女性運転手が遭遇するミステリー。掛け値なしのバリバリのお嬢様だけれど、聡明で嫌味なところがなく上流階級の暮らしを素直に楽しんで読むことができる。お嬢様も聡明であれば、運転手のベッキーさんもまた素晴らしい。プラス謎解きの面白さや当時の時代描写も興味深く、一冊にいろんな魅力がつまっている。
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ベッキーさんという人物の妙。
このキャラ造形に、しっかりとした時代考証が物語に厚みと説得力を与える。
時代は激動であり、不穏な未来へと突き進んでいるのだが、切り取ったような少女たち、女性たちの生きている瞬間が、生きていることのきらめきと諦観を感じさせてくれる。
巻末の解説がとてもいい。 -
パーフェクトウーマン、ベッキーさん。多くを語らずして英子さんをほんのり導くところが特にスゴイ。
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2016.4.29読了。
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(収録作品)街の灯/虚栄の市/銀座八丁
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なるほどな。そんな結末もありだよな。酸いも甘いも噛み分けたっていうの?ことさらに騒ぎ立てることをしない選択。庶民的って訳にはいかないけど爽やかさを感じたことも確か。
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スペシャルインタビュー、著作リスト、田中博氏による北村薫論付。
口絵・イラスト / 謡口 早苗
目次・章扉デザイン / 大久保 明子
初出 / 『別册文藝春秋』2002年1月号・5月号・7月号・9月号・11月号。