街の灯 (HONKAKU mystery masters)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 478
感想 : 88
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  • Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163215709

作品紹介・あらすじ

士族出身の上流家庭・花村家にやってきた若い女性運転手。令嬢の"わたし"は『虚栄の市』のヒロインにちなんで、彼女をひそかに"ベッキーさん"と呼ぶ。そして不思議な事件が…。待望の新シリーズ。昭和七年"時代"という馬が駆け過ぎる。

感想・レビュー・書評

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  • 読み始めてベッキーさんが出てきてすぐに昔読んだ本であることを思い出した、、、。
    しかもシリーズ全部読んでいる、、、。
    ただ、幸か不幸かあらすじは全く覚えてなかったので「なんて面白い話なんだ!」と思いながら読めた!(←アホ)

    それにしても前回読んだのは10年以上前で、その頃は無知だったので千疋屋という存在も知らなかったし文化的に昭和初期の雰囲気が興味深いとも思わなかった。

    上流階級のお上品な方々の話ではあるのだけど、著者北村薫が描くとこんなに鼻につかないのがすごいと思う。
    いい暮らしや贅沢な描写がたくさんあるけど反発心や反感が全然沸いてこないのは、主人公達の人物(性格)に気取った所がまるでなくて、ごくごく等身大だからだろう。
    その分ミステリ的な所や物語に集中できる。

    著者のすごさを再確認出来た。

  • 昭和初期の財閥令嬢と女性運転手が遭遇するミステリー。掛け値なしのバリバリのお嬢様だけれど、聡明で嫌味なところがなく上流階級の暮らしを素直に楽しんで読むことができる。お嬢様も聡明であれば、運転手のベッキーさんもまた素晴らしい。プラス謎解きの面白さや当時の時代描写も興味深く、一冊にいろんな魅力がつまっている。

  • ベッキーさんシリーズの一作目。雰囲気が素晴らしく、華族の文化や、昭和前半の銀座のリアルな空気感などが伝わってくる。逆流して読んでしまったのだが、本作は人も死ぬし、ミステリらしさが多少感じられる。
    街の灯で、登場人物の1人がチャップリンの街の灯の結末を見て自分なりの解釈を語る場面が、兎に角素晴らしい。ミステリ的には動機の解明になるのかな。

  • ベッキーさんという人物の妙。
    このキャラ造形に、しっかりとした時代考証が物語に厚みと説得力を与える。

    時代は激動であり、不穏な未来へと突き進んでいるのだが、切り取ったような少女たち、女性たちの生きている瞬間が、生きていることのきらめきと諦観を感じさせてくれる。

    巻末の解説がとてもいい。

  • パーフェクトウーマン、ベッキーさん。多くを語らずして英子さんをほんのり導くところが特にスゴイ。

  • 2016.4.29読了。

  • ミステリ。昭和初期。上流階級。シリーズ。お嬢様の生活に凛とした運転手。オルゴールって自鳴琴っていうんだ!巻末にある北村薫さんのインタビューも読めてよかった。

  • (収録作品)街の灯/虚栄の市/銀座八丁

  • なるほどな。そんな結末もありだよな。酸いも甘いも噛み分けたっていうの?ことさらに騒ぎ立てることをしない選択。庶民的って訳にはいかないけど爽やかさを感じたことも確か。

  • スペシャルインタビュー、著作リスト、田中博氏による北村薫論付。

    口絵・イラスト / 謡口 早苗
    目次・章扉デザイン / 大久保 明子
    初出 / 『別册文藝春秋』2002年1月号・5月号・7月号・9月号・11月号。

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著者プロフィール

1949年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。大学時代はミステリ・クラブに所属。母校埼玉県立春日部高校で国語を教えるかたわら、89年、「覆面作家」として『空飛ぶ馬』でデビュー。91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞を受賞。著作に『ニッポン硬貨の謎』(本格ミステリ大賞評論・研究部門受賞)『鷺と雪』(直木三十五賞受賞)などがある。読書家として知られ、評論やエッセイ、アンソロジーなど幅広い分野で活躍を続けている。2016年日本ミステリー文学大賞受賞。

「2021年 『盤上の敵 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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