輪違屋糸里 下

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163229607

作品紹介・あらすじ

九月十八日の雨の夜、何が起こったのか。罪と闇が溶ける、男と女の匂い。暗い闇にただよう死の静けさ。浅田版新選組。

感想・レビュー・書評

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  • 「壬生浪士組」は、会津藩由来の「新選組」という名前を賜るも、傍若無人で隊風を乱す芹沢鴨一派の粛清の刻...時代の嵐が吹きすさぶ運命の糸に操られた男と女たち...文久3年(1863) 9月18日、島原遊郭での酒宴のあと、壬生の八木邸に戻った芹沢は、愛妾お梅と共に酔身を横たえた...京都守護職よりの密命をおびた近藤、土方らは、八木邸を襲撃。芹沢と平山五郎を惨殺!・・・「芹沢さん、あたしら、毀れちまいましょうよ」・・・浅田節 “女たちの新選組” に感極まる。

  • 芹沢暗殺、神も仏もない人生を歩んできたお梅や吉栄の最期の願いが、大切な人と共に死ぬこと。平山の死に際の「おゆき」に涙腺崩壊。残された者へ何か伝えようとする死に際の笑顔。平山と吉栄も、時代が違えば当たり前に夫婦、家族になれたのかもしれない。
    新選組をとりまく女性目線からの物語であるからか、立ち回りの迫力よりも、人間ドラマが切なく迫る芹沢暗殺。暗殺される側の気持ちなんて新選組ものを読んで深く考えたことがなかったが、浅田次郎にかかれば、物語が自分の心に寄り添ってきて最深部まで感情移入してしまう。歴史的に見れば多くの暗殺の一つに過ぎないが、殺める側にも、また殺められる側にも物語はある。当たり前のことに今更気づく。
    浅田次郎の新選組はしっとりとして一味ちがう。壬生義士伝も読み返したくなった。

  • 仕上げが作りすぎかな・・・極濃の浅田節ですね。
    もちっとあっさりしてたほうが、泣けたんだけどなぁ。
    「おしん」を抜け出していないよね~。

  • 芹沢鴨の愛人お梅、平山五郎の恋人吉栄、新選組の屯所、八木・前川両家の女房たちは、それぞれの立場から、新選組内部で深まる対立と陰諜を感じ取っていた。愛する土方のため、芹沢暗殺の企みに乗った糸里の最後の決意とは?息を飲むクライマックスと感動のラスト。
    (2004年)

  • ↑前編同様、3.5かな……

    誰も幸せにならないだろうと覚悟していたので、きっちゃん(吉栄)とその子だけが幸せになり本当に安堵した。その幸せは糸里が命賭けたからなのだけども。。覚悟と凛とした美しさが目に見えるようだったな~。
    芹沢暗殺に加担するように言われた時から、最後まで覚悟してたわけか。松平容保に直訴してきっちゃんを救う場面がものすごくかっこ良かった。

    しかしこの土方は好き嫌い分かれそうだな…
    私はこの小説で一番良かったのは女たちの生きざま(おまさ、お勝、お梅、糸里、きっちゃん)だと思っておりますので、土方の態度や言動に
    ムカムカしながら読みました。苦笑
    暗殺に巻き込んどいて殺そうともするし、殺さんかったら殺さんかったで最後まで一緒に暮らそうとか言うし、正直( ^ω^)ナグリテェ…… と思ってたのは胸のうちに秘めておこう、ええ
    いやわかるんですよ、色恋沙汰だけで生きてるわけじゃないし、捨てきれぬ百姓としてのスタンスとかね、そんな事情もわかるんだがそれでも腹が立つよな。
    (違う内容だけど、百姓と武士の踏み絵で、武士を選びたいならここで殺すなと啖呵を切った糸里もかっこ良かったな。あと筋の通し方の描き方が良かった)

    浅田作品といえば壬生義士伝がやはり有名ですが
    その土方もこんなんなんですか?汗
    比較するためにもう1冊くらいは読みたいかな…

  • ※2004.7.10読書のすすめから到着
     2007.9.17売却済み、後日文庫本購入

  • 輪違屋糸里 下

  • 114:芸事のため、男のため、愛のため。想いは違えどまっすぐに凛と生きる女たちの潔さと、ままならない男の不自由さの対比がいじらしく、それゆえのすれ違いが哀しい。やはり、史実をもう少し知っていたら、もっともっと理解できたろうにと悔しく思います。新撰組に関する知識が「るろ剣」で得たレベルって……(黙)。登場人物たちがそれぞれに矜持を抱き、流れ揺さぶられつつも筋を通そうとする様が格好良くて。ラストでは涙が止まりませんでした。「ご恩だけ、胸に刻め」。成程と頷かせる筆致とやわらかいお国言葉が印象的。

  • これまで読んだ新撰組の小説では芹沢鴨は悪人のような描かれ方が多かったけど、この本を読んで芹沢鴨のイメージが変わった。
    糸里の太夫初道中は泣けます

  • やっぱり、浅田次郎さんの本は面白い。

    それぞれに善い面、悪い面があって、それぞれの考え・人生に考えさせられる。

    糸里、吉栄、お梅、お勝、おまさ・・・、それぞれの想いや家、お店を守ろうと、周りの男に翻弄されながらも、一生懸命生きている様に共感できた。

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著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。

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