- Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163229607
感想・レビュー・書評
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もっと早く読んでいればよかった。
内容(「BOOK」データベースより)
九月十八日の雨の夜、何が起こったのか。罪と闇が溶ける、男と女の匂い。暗い闇にただよう死の静けさ。浅田版新選組詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
浅田×新撰組といえば壬生義士伝が超有名ですが、こういうのもあったんだね。タイトルからはまさか新撰組ものだとは思わなかった。輪違屋糸里はとある芸妓の名であり、土方の女であり。新撰組の話、とくに新撰組が京に上がってから芹沢一味を闇討ちし近藤一派の一枚岩になるまでの時期、に、新撰組の面々に関った女たちの物語。というかんじかなー。糸里、吉栄、お梅、お勝、おまさ、、いろんな立場の女のしんどさに、女だからよけい身に染みて重くなっちゃってね、すごくそそられるテーマなのになかなか先が読めず、半月かかってようやく読了。泣けるし、女として強く生きようというきもちにはなる、なるけれど、つらい棘が胸に残る話です。どちらかというと悪人として描かれがちな芹沢には好意的に書かれ、ファンの多い歴史のヒーロー土方は…これはもう、なんだろう、完全に女の敵ですな。惚れてしまうのはわかるけど、こういう男に身をささげたら不幸まっしぐらだ。自分の力で命をつないだ糸里の後半の言動はほんとに胸がすく思い。日本の歴史の表舞台に名を残すのはいつも大半男ばかりだけれど、太古の昔からその陰には理不尽に身を捧げ、男のために命を削って戦った女たちが必ずいるんだよね。土方ファンにはブーイングかもしれないけど、新撰組ものがすきな人はぜひ読んでほしい。私にとっては、これはまた何度も読み返したい名作。斉藤一が永倉の喉に剣を寸止めするシーンなんて脳裏から離れない。この激動の時代に翻弄された男たち女たち、それぞれの強さや愚かさを見ることで、自分に足りないなにかひとつに必ず学びがある一冊。
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女性の視点を交えた新撰組の話。
手に取ったときは新撰組が題材になってるとは思わなかったのでちょっとびっくりした。
武士であるということ、武士であろうということ、武士になろうということの間にう横たわる暗い淵、その深さを目の当たりにしては呆然とする人々。
馬鹿げているとは思う、思うけれども、身分や立場に縛られるとはこのようなことなのかと切ない。
糸里の最後の選択が美しく潔かった。 -
きっちゃあああん!以前読んだときはあまり記憶に残らなかったけれど、今回はなぜかきっちゃんがアツいです。ええなあ。はんなりしてはるなあ。(?)あんじょうって響きがええなあ。
壬生義士伝:輪違屋糸里=男:女、という構図がすごい。 -
島原の芸妓・糸里は土方歳三に密かに思いを寄せていた。 二人の仲を裂こうとする芹沢鴨には、近藤派の粛清の白刃が迫りつつあった……
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下巻では主に芹沢鴨を中心とした構成になっているようです。
最後まで読んで思ったことは、とにかく女性が強い、ということ。
さらりと読める文体で、登場人物の台詞回しも小気味いい音ですんなり入り込めると思います。 -
12月7日読了。糸里・吉栄・梅・お勝らの「ウーマンパワー」が強調された下巻。沖田の視点も交え、芹沢鴨暗殺のクライマックスと何故そこに生き残り・目撃者がいたのか?が語られる。歴史をベースにした小説というのは、自由に人物を動かせないというデメリットはあれど、その不自由さの中人間性を描ききれたときに、「ヤッタ!」という満足感が書き手にも読み手にも得られるものだな。読後感もさわやか。
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初版本
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新撰組と島原の花魁の話。というか女達の話。面白い。それぞれの背景と思惑。プライドとしがらみ。男ってのはなんて仕方の無い生き物なのか。糸里の幼さ、甘さに時々苛々する。芹沢もひどい男だが、土方も大概・・・。それだけに梅の気性の荒さ、終盤の糸里の啖呵やらは気持ち良い。おまさとお勝もいいよなぁ。強い。日々の生活に根付いた、したたかさがある。男どもは足元が見えない感じ。最後の方にいきなり沖田君視点があって、ちょっと他に比べて異質だが、好き。表面明るくて内面どす黒いのって好きだ(笑)。永倉新八はかなり愚鈍に描かれてるなぁ。まっすぐだけど、お前空気読めよ、みたいな。
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テレビドラマを見た後で原作を読んでみたら、本を読みながらにして映像が蘇り、二倍楽しめる事が解った。原作と違った脚本に落胆するか思いきや、なぜこの脚本にしたのかと逆に興味が湧いて面白くさえ思えてくる。ドラマと原作本、どちらが先かと悩んだ末、「やっぱ、原作本が先」と思ったけど、天邪鬼な意見を試してみたら以外とこちらが正解。頭で考えただけでは解らない事がまた一つ見つかった。