風味絶佳

著者 :
  • 文藝春秋
3.39
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  • (48)
  • (12)
本棚登録 : 2005
感想 : 393
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  • / ISBN・EAN: 9784163239309

感想・レビュー・書評

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  • 2015/10/16 読了

  • 読んでよかった山田詠美。

    やっぱり面白い。
    「山田詠美ー!!」って感じの本でした。
    (レビューになりませんね・・・)

    なんというか、装丁からして好き!
    どっかで見たことある箱!なぜか懐かしい!
    (そりゃ、森永ミルクキャラメルだもの)
    遊び心も忘れずに。

    この前に読んだ山田詠美の本の『PAY DAY!!!』があんまり濃くなかった気がしたので、読後の満足感は凄まじかったです。

    やっぱり、山田詠美の本には匂いと味と触感がある。
    ほかに作家とは比べられないくらい濃密な空気が。
    生々しい。

    短編集なんですが、1番好きなのは『海の庭』かなー。
    『アトリエ』も、あの後味の悪さがたまらないよなー。(変な楽しみ方)
    いろいろ考えました。
    が、書くのはちょっと恥ずかしいので心にしまっときます。

  • 己の欲望に正直な
    淫らで甘やかな感性と
    独特な言葉のリズム、
    そして美しくほろ苦い
    読後の切なさ。


    若い頃に山田さんにハマった時より
    ストンと腑に落ちるこの感覚。


    やはり彼女の小説は
    様々な経験を経て初めて
    味わいが増すし、
    理解できる質のものなんだなぁ〜と
    改めて思い知りました(^_^;)




    鳶職の男の三角関係と
    ミステリアスな友人との不思議な日々を描いた
    「間食」、


    料理で男の胃袋を掴むことにすべてを懸ける元主婦と
    ゴミ収集の作業員の恋を描いた
    「夕餉」、


    キャラメルが恋人だというお婆ちゃんと
    GSで働く孫とその恋人たち
    「風味絶佳」、


    離婚した母娘と
    引越し屋さんの触れ合い
    「海の庭」、


    汚水槽の作業員と
    スナックのホステスの
    濃密で変態チックな関係がコワい
    「アトリエ」、


    好きな女を
    火葬場で働く親父に取られた
    息子の葛藤を描いた
    「春眠」、


    などどれも
    ガテン系の仕事をする男たちの恋愛話だけに
    同じ職種の自分としては
    共感しやすかったです。



    そして、
    ミラノ風カツレツ、
    黄色い箱の
    森永ミルクキャラメル、
    出汁の染みた高野豆腐、
    バスキン・ロビンスのアイスクリーム、
    甘くてとろとろしたシュークリームなどなど、
    食べ物の描写が
    ゴクリと喉を鳴らすほどに
    美味しそうなのも
    特筆すべき点かな。



    個人的には
    大人の淫靡さで
    もう一度初恋をやり直そうとする男女を
    娘の視点から描いた、
    『海の庭』に
    酔わせてもらいました。


    サガンの「悲しみよこんにちは」を彷彿とさせる、
    思春期の少女の心の揺れが
    絶妙な塩梅(笑)



    それにしても
    「たったひとりにだけ、
    嫌といいは
    同じ意味になるんだよ」は
    心の名言集に
    しかと刻まれましたよ(笑)(^_^)v



    滋養豊富、風味絶佳な
    6つの短編集。


    甘くとろけて
    香り立つ、
    極上の後引く味わいです。

    • さちろーさん
      初めまして、円軌道の外さん!

      私は、外さんのレビューの大ファンです。
      なぜ、そんなに言葉の使い方が上手なのでしょう。

      心惹かれ...
      初めまして、円軌道の外さん!

      私は、外さんのレビューの大ファンです。
      なぜ、そんなに言葉の使い方が上手なのでしょう。

      心惹かれて早速、この小説を購入しました。
      私もガテン系の男性に弱いので、読み進めるのが楽しみです。少しずつ極上の甘さを味わいたいと思っています。
      2013/02/24
    • 円軌道の外さん

      さちろーさん、
      コメントありがとうございます!

      いやいやいやいや、
      ファンやなんて
      そんな恐縮です(^_^;)

      自...

      さちろーさん、
      コメントありがとうございます!

      いやいやいやいや、
      ファンやなんて
      そんな恐縮です(^_^;)

      自分のレビューは
      基本読んだものすべてではなく
      好きなものしか書いてないんで(笑)、
      (好きなものしか書けないんで)

      好きだからこそ
      感じたことを素直に書けるっていうのは、
      もしかしたらあるかもしれへんですね。

      あと自分はメモ書きではなく
      始めから誰かに伝えるためにレビュー書いてるんで、
      あったかい言葉
      ホンマ嬉しいです☆



      おおーっ!
      この小説手に入れられたんですね♪


      山田さんの小説は
      合わない人には合わないんやけど(汗)
      コレは映画化もされたし
      まだ読みやすい方だと思うし、
      またレビュー楽しみにしてますね(^_^)v


      2013/04/08
  • 久々のamy作品です。

    山田詠美も作品って
    「何が言いたいのか」がいつもハッキリしていて
    でも説教臭くなくて好き。

    「じゃあ、何が伝わったのか言ってみろよ」って
    言われたら、それはうまく言葉にできないのだけど。
    メンタルな部分のことだから。

    だから、それができちゃう山田詠美さんの文章力は
    すごいと思うのです。

    「風味絶佳」タイトルがまた良い。

    映画みたくなったなー。

    主題歌oasisだしね。

  • 詠美さんの書く文章ってなんでこんなにも芳しいのでしょ!本人も描写欲と表してる、この感じたことを文字にする才能は凄い。分かる分かる!ってポイントが沢山。好きだわあ♡

  • 6つの短編集。なんだか、ただの恋愛小説とは少し違って、とても官能的。お気に入りは本の表題と同じ、「風味絶佳」というお話。

    恋愛は、甘いだけででもなく、辛いだけでもなく、さまざまな味がするもの。総じて言えるのは、「おいしい」ということでしょうか?

  • 甘くとろけるもんは女の子だけじゃないんだから―
    肉体の技術をなりわいとする男と、それに惹かれる女の心境を綴った短編6篇。


    山田詠美の描く女性はとても柔らかい。そしてイヤラシイ。
    触れるとぐにゃりとカタチを変えてしまう、とてもとても脆いものに感じる。

    二人の恋人と、職場の同僚との間を泳ぐ鳶職の男。
    「間食」

    清掃職員に料理という手段で最大の愛情と感謝を注ぐ女。
    「夕餉」

    同僚への恋心と、70過ぎても現役の祖母を持つガソリンスタンドで働く男。
    「風味絶佳」

    初恋をやり直す引越し作業員と母親とを見守る娘。
    「海の庭」

    スナックで働く女と出会い、結婚する汚水処理作業員の男。
    「アトリエ」

    葬儀場で働く父親と、大学時代の想い人との結婚に戸惑う男と、その妹。
    「春眠」


    どれもが、ゆったりとした時間の中で語られ、普遍的で、ドラマティックだ。
    「」(カギ括弧)の外で、語り手の主観で節々に綴られている自分や相手の言葉が、その場の空気にピッタリと吸いつくように存在し、そしてそれは絶大な表現力で、時には相手の女性の匂いさえもが漂ってくるような錯覚を与える。

    甘ったるくて、寄り添い、抱き合う感触。
    ピリッとして、突き放つ、痛々しい刺激。

    女の子はまさにシュガーとスパイス。
    そのどちらもが効き過ぎる。

    省みる景色は風味絶佳。そしてきっとこれからも。


    山田詠美、その他の著書

    ・放課後の音符
    ・トラッシュ
    ・ぼくは勉強ができない

    などなど。

  • 恋愛モノは苦手だけど、これはすごく良い!完璧です。+★★
    料理欲のストーリーには共感。私もダーリンに手の込んだ料理を毎日食べさせてあげたい!(妄想)
    こりゃあ、女性向きだなと思って読んでたけど、読み終わったあとに主人公全部男なのに気づいてびっくり。
    女の強さが最大限に出ていて(少なくとも私はそう感じた)鼻が高い気分。

  • 作家人生20年を記念した、短編集。
    1つ1つが、味わい深い作品。

  • 一番好きな本。

    そうだよな、そうなんだよな。と思うことがいっぱい。
    強制された食べ物は食べる気がしないこととか、うきうきわくわくする時には犬のようにしっぽをぶんぶんする感じがするとか。
    何回読んでもおもしろい。
    30

著者プロフィール

1959年東京生まれ。85年『ベッドタイムアイズ』で文藝賞受賞。87年『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で直木賞、89年『風葬の教室』で平林たい子文学賞、91年『トラッシュ』で女流文学賞、96年『アニマル・ロジック』で泉鏡花文学賞、2000年『A2Z』で読売文学賞、05年『風味絶佳』で谷崎潤一郎賞、12年『ジェントルマン』で野間文芸賞、16年「生鮮てるてる坊主」で川端康成文学賞を受賞。他の著書『ぼくは勉強ができない』『姫君』『学問』『つみびと』『ファースト クラッシュ』『血も涙もある』他多数。



「2022年 『私のことだま漂流記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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