少しだけ欠けた月 季節風 秋

著者 :
  • 文藝春秋
3.63
  • (25)
  • (56)
  • (77)
  • (1)
  • (2)
本棚登録 : 345
感想 : 62
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (356ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163273907

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 優しい短編集

  • 重松清作品 17作品目。
    短篇集「季節風」シリーズの秋。秋を感じる12篇。

    秋は、白秋。収穫の秋、味覚の秋、残暑から台風、そして冬への準備の季節。人生でいれば、定年退職から老後に該当するか。充実していればよいが、不安があれば切ないのも、秋。

    『風速四十米』、『キンモクセイ』:老いた親を見舞う物語と、妹家族と同居するために引っ越す物語。決して明るいものではなく、辛く切ない。そして、圧倒的に敗北感しかない。一行ごとに気持ちが溢れてきて、切なすぎて、読み進めませんでした。きっと、田舎を飛び出してきた者は、後悔と無力感に圧し潰される。「ありがとう」と「ごめんな」という言葉と共に。
    「勉強ができる子は、故郷の田舎町を出ていってしまう。優秀であればあるほど、進路は故郷から遠ざかってしまう」が、痛い。

    『水飲み鳥、羽ばたく』:部下のミスに謝る上司の姿。只管、コップの水を飲み続ける(謝り続ける)水飲み鳥。いつか、大空に羽ばたく日が来ることを一緒に祈っていた。

  • しとしとと、降り続く秋雨のように、涙がこぼれ続ける。
    静かな時の移ろいを感じさせてくれる作品。
    秋の夜長にぴったりな、体の中から温めてくれるような物語たち。

  • 感動

  • 友人からおすすめされて読みました。
    どれも切なくて、でも胸が温かくなりました。
    心にこみあげてくる話ばかり。
    「少しだけ欠けた月」と「田中さんの休日」には泣かされました。このシリーズいいな。他のも読みたいです。

  • 重松清の四季を題材にした短編集・最終巻の「秋」
    四季ごとに、情感が異なる。秋は、暖かさと、冷たさの間。その流れに私たちが馴れるために必要な、ゆるやかな期間が秋。私はそんな風に捉えています。
    秋は、今までを振り返り、次に進む為の英気を養う。

    この重松清の秋の短編集の中でお気に入りなのは、「ヨコヅナ大ちゃん」と表題になっている「少しだけ欠けた月」
    二つは思春期の男の子を題材にしています。
    自分を振り返ったとき、こういうことがあったな。と、心情面で訴えかけられます。

  • 紅葉がまだ見頃を迎えきっていないこの時期に何だかぴったりくる。じわーっと暖かく、少し切ない短篇たち。季節に合わせて、読む本を選んだのは初めてな気がするけど、いいもんだな〜と感じました。

  • 40代男性と家族を書いたらピカイチな重松さん。
    でもこれを愛読する40代男性いるかな?みんなこっそり読んで、そうそう、そうなんだよ、たぶん。
    なんて思ってるのかな?
    そんな夫を支えるのは明るく優しい妻。なれるかな?

  • 秋にちなんだ12編。同窓生と友だちの壁、昔の思い出と今の状況、言えない・聞けない言葉などなど。同じような感性に安心して肯きながら、取り戻すことのできない寂しさの中にもどこか希望を感じることができた。
    12-63

  • 短編集ですが、主人公が だいたい同年代で、
    直面していることも 感じていることも
    だいたい 同じようなことなので、
    かなり 入り込んで読んでしまいます。

著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

重松清の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×