華族夫人の忘れもの 新・御宿かわせみ

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163274904

感想・レビュー・書評

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  • いまいち

  • 10月1日~10月3日

    内容(「BOOK」データベースより)

    「かわせみ」に逗留する華族夫人・蝶子は思いのほか気さくな人柄だが、築地居留地で賭事に興じて千春を心配させる。果たしてその正体は?表題作ほか、千春が麻太郎の出生の秘密を知る「西洋宿館の亡霊」など全六篇。

  • 新・御宿かわせみリーズ・第2巻。
    華族夫人の忘れもの・士族の娘・牛鍋屋あんじゅ・麻太郎の休日・春風の殺人・西洋宿館の亡霊。
    時は経てど出会った頃から変わっていない実直さが良かっただろうと思う「華族夫人の忘れもの」、時代が変わっても人間の軸となる思想の軽くないことが重い「士族の娘」、悪事はいずれ明るみに出る世間の狭さが妙の「牛鍋屋あんじゅ」、千春の仰天ぶりと行方不明の東吾の名が出てくる驚きの「西洋宿館の亡霊」など。
    前シリーズほど色っぽくないのが無理もないとはいえ物足りないが、千春が麻太郎と父が同じ兄妹と知る衝撃が読者の心痛を呼ぶ。未だ行方不明の東吾と麻太郎が瓜二つな描写が出てくるたびにるいの心情を思うと、これも切ない。麻生宗太郎があまり歳を感じさせないでちょい役で出てくるのがおいしい。

  •  

  • 御宿かわせみ明治編2作目。麻太郎と千春の関係が公けになったのに安堵。前作の違和感が薄れ、かなり状況に慣れて安定した感じ。それでも内容的には、6短篇で特に好きな作品はない。結局は、源太郎と千春、麻太郎と花世の組み合わせになるんだろうなぁ~、時代背景を生かして、これからに期待します。

  • 浮かれ黄蝶の少女が華族夫人の蝶子として再登場してくる表題作。麻太郎の出生の秘密が千春にわかってしまう「西洋宿館の亡霊」。明治の設定に慣れ少しずつおもしろくなってきた。

  • 平岩弓枝さん原作で、昭和48年から続いている。
    江戸の情緒を見事に描いた作品に、ファンも多い、またファンの年代も幅広い。

    タイトルに新と銘打つ作品から時代は明治へと移る。
    江戸の頃のお話しで活躍した面々の子供らが、様々な事件を解決する。

    「御宿かわせみ」の昔っからの主人公「神林東吾」は、現在行方不明中である。

    明治に入る前に殆どの主要人物を、読者のあずかり知らぬ部分で殺してしまい、その子供達の活躍をツラ~と書いている「新・御宿かわせみ」であるが…どうせなら神林東吾も行方不明なぞと宙ぶらりんな状態ではなく、はっきりと死んだのなら死んだと明記して欲しいなっと思ってしまう(笑)

    それとも、沈没した船から見事脱出し記憶を失い新たな家庭でも築いていて、ある日ひょっこりと現れるつもりなのだろうか?
    それとも、沈没船唯一の生き残りが現れ、東吾の最後の雄姿を語り遺品でも持ってくるのであろうか? それとも…このままウヤムヤ状態で話は進み、そして…終わるのであろうか?
    どちらに転ぶか解らぬヤジロベイのように、落ち着かない設定に読者も、登場人物たちも振り回されている感が拭えない。

    さて、今回この「華族夫人の忘れ物」では、あまりにもアッサリと「神林麻太郎」の出生の秘密が暴露されてしまった(アハハハハ)
    麻太郎は、東吾が酒に酔った勢いで出来てしまった子である。その後、妻の「るい」との間に娘の「千春」が生まれる。よって麻太郎と千春は異母兄弟である。
    麻太郎の母親が亡くなってしまったので、彼を東吾の兄夫婦が引き取り嫡男とした。戸籍上は麻太郎と千春は従兄弟であるが、千春は自分と麻太郎には血の繋がりが無いと思い、淡いがそれでもハッキリと麻太郎へ恋心を抱いておった。

    知らぬは「千春」ただ一人ってな状況であった。あまりにも切ない。
    千春は取るものもとりあえず家を出るのだが…そこで事件に巻き込まれる。結局、兄の麻太郎、その友人の畝源太郎に助けられ大団円となる。
    千春の心は晴れぬまま、お話しだけが終わってしまった。

    これである。今までの「御宿かわせみ」で流れていた爽やかな風が凪いでいる。風が吹かないので思いだけが滞り、重苦しく溜まっているのだ。読んでいても気持ちが悪い(笑)

    本当は、作者の平岩氏は何も書かずに「御宿かわせみ」を終わらせたかったのではないだろうか?

    昔のお話しです。そりゃ登場人物の皆さんは既に鬼籍の人です。誰だって死んでしまうんです。それでもどうなったか知りたいと皆さんおっしゃる。だから書きました。
    悩みの半分以上は解決なんぞしません。そりゃ、作家は本の世界では神様です。何でも出来ます。東吾を生き返らせることだって、何だって。でも、それをしちゃ、御宿かわせみじゃありません。皆さんだってそう思っているはず。違いますか?

    そんな感覚をヒシヒシと感じてしまった。
    読者に媚びない作家の本を読むと、正直疲れる。でも、それだからこそ、御宿かわせみだとも言えよう。なら…最後まで付き合おうか・・私も好きモノじゃの~(笑)

  • 東吾、るいたちのお話だったのが、代替わりしてその子供たちがメインになっていた。

  • かわせみの舞台も明治時代に移り、主人公達も2代目に。
    江戸時代のかわせみも良かったですが、だんだん明治時代のかわせみも興味深くなりました。
    ラストには麻太郎と千春が兄妹だった事が判明しますが
    この先の話に影響してくるのかな?と…

  • 明治編第二作。
    増々続きが読みたくなる展開に、巧いなあと感心してしまう。

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本女子大学国文科卒業。戸川幸夫の知遇を得、その推薦で長谷川伸の門下となる。1959年『鏨師』(たがねし)で第41回直木賞を受賞。1991年『花影の花』により、第25回吉川英治文学賞を受賞。また、これまでの業績により、1997年紫綬褒章を、1998年第46回菊池寛賞を受賞。2004年文化功労者に選ばれ、2016年文化勲章を受章した。著書に南町奉行所内与力・隼新八郎がさまざまな事件を解く「はやぶさ新八御用帳」「はやぶさ新八御用旅」シリーズや「御宿かわせみ」シリーズなどがある。

「2019年 『新装版 はやぶさ新八御用帳(十) 幽霊屋敷の女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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