- Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163277004
感想・レビュー・書評
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ちょっと怖くて、でもすごく力のある景色。
電車の中から眺めた四万十川を思い出した。
雨の中、たまに人気のない駅に止まったあの景色。
すごくすごく四国に行きたくなってしまった。
四国を舞台にした5つのお話が収められているけれど、全部なんとなく景色を眺めたという程度で理解は出来ていないと思う。
代々語り継がれてきた昔話を聞くのに似ているかもしれない。
理解出来ないことも、不思議なことも、怖いことも、全部そのままを受け入れるしかない。
中でも最後の「藍」が好きだと思った。
そもそも藍が逃げるというのがとても不思議。
どう決着をつけるのかと思ったら、想像以上に鮮やかなラストだった。
四国に行きたいな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
久しぶりに、いしいしんじさんの小説を読んだ。
最初はなかなか読み進められなかったのだけど、いつのまにかはまっている。
よくわからないけれど、独特なこの世界にずぶずぶと。
四国という場所に宿る、土着的なものから生まれるものがたり。 -
タイトルと、装丁が素敵で何度か借りてみて、漸く読んだ。
不思議な雰囲気。嫌いじゃない。 -
八十八ケ所巡礼、うどん、塩作り、鳴門の渦潮、正岡子規、高校野球など、四国の特産、風俗、名勝、慣習を、旅しながら、異世界四国を語る。児童文学の時と違って、文章が読みにくかった。若い娘となった藍が可愛かった。未読のポーの大渦の話を読みたくなった。
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鯨そのものが小説に似ているのかもしれない。あるいは夢や、空間の穴に見える巡礼路の様子、「なつかしさ」といったようなものに。
(P.108) -
よくわからなかったけれど、夢をみているような、なんだか土臭いような世界に連れていかれるような感触は、楽しめました。
「藍」では、“逃げ出した藍”が妙にリアルで生々しく、藍の独特のにおいが思い出されて、息苦しくなるようでした。 -
『ぶらんこ乗り』で好きになった、
いしいしんじさん。
『四とそれ以上の国』というタイトルを見て、
不思議なタイトルだと思い、
何かおとぎ話のような小説かな、と思って手に取ったら、
四国を舞台にした、不思議な短編集でした。
たしかに、どれも不思議でちょっとこわいお話たちは、
『四とそれ以上の国』という感じ。
四国は超越してる。
ちょっと純文学のフレーバーも漂っていました。
読点が少なくて、内容もファンタジー混じりだから、
よくよく丁寧に読まないと置いていかれそうだったな。
二番目の短編『峠』が、
個人的には好きでした。 -
色や空気、雰囲気は伝わる。
解釈しようとか、理解しようとか、そういう話ではないかな。
ただ、全体的に性的なものと血の臭いがして、個人的には落ち着かない話ではある。
かぜひいて、ぼんやりした頭で読むのには最適ですな。 -
トラック運転手をしている男は野球について考える。
もし野球が南半球で発明されていたら
ランナーは右まわりに走っていたのだろうか。
入院中の弟に聞くと右利きの人間は
左足の方がふんばりやすいからだと答える。
実は名ピッチャーである男は今日も渦潮を見に行く。
「渦」ほか全5編。
装丁・装画:池田進吾(67)
難解です。奇想天外な発想がぼんぼん出てきて
それなのに突飛ではなく昔話のように聞こえる。
藍とか渦潮とか遍路とかうどんとか、四国名物集。
徳島懐かしいわぁーかずら橋も出して欲しかった。 -
2009年12月8日読了。
四国を舞台にした民話風な短編集。
みずうみで形成されたいしいしんじの新しい世界と、今までの作品にある虚構と現実の世界観が混ざり合ったような作品だった。
今までよりは現実味が若干うすれたものの、どれも幻想的だった。
童話なんかを読む時と同様、考えて読もうとすると頭が痛くなる。
考えるよりも、雰囲気や匂いを感じる方が作品を楽しめた。