• 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (159ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163278209

作品紹介・あらすじ

日本のロリコン文化を批評する、新しいファザコン小説がここに誕生。『人のセックスを笑うな』『カツラ美容室別室』の人気作家山崎ナオコーラがスタイリッシュな文体で綴る快作。表題作ほか3作を併録。

感想・レビュー・書評

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  • 明日からも雨みたいじゃな…。

    ってな事で、山崎ナオコーラの『手』


    笑うお姫さま
    わけもなく走りたくなる
    お父さん大好き

    の4つからなる短編集。

    どの作品も何とも言えない虚無感が漂ってますw

    中身が無いと言うか、日常過ぎるのか…。

    生きてるだけで素晴らしい

    2015年52冊目

  • 四本を含む短編集、実際に入手したのは他の収録作品「お父さん大好き」に改題された後の電子版にて。

    きっかけはJapan Societyにて開催された2023年度JAPAN CUTS映画祭にて上映された「手」(2022) の鑑賞がその発端。日活ロマンポルノレーベルの生誕50周年を記念して制作された三作の内の1本ということで、もちろんその往年の撮影基本ルールである「低予算」、「定期的な性行為シーン」といったものには沿って撮られた作品となっているわけであるのだが、その最後のルールである「他は作り手の意匠に任せる」といった部分が往々にして名作を生み出していることがあることは、同会場であるJapan Societyにおいても数本の秀作の紹介を通して教育を受けていたので、その上映時にもただのポルノ映画と受け止めて鑑賞を開始したわけでは当然なく、その裏に透けているものをきちんとつかめるかという意気込みを抱いて上映に臨んでいた。

    果たしてその衝撃は十分なものであり、しかも原作は短編であったという事実も加勢した結果、映画祭も終わらぬうちに本書を手に取るまでに至った次第。映像としてながめたイメージとは裏腹に、性描写は非常にあっさりと綴られており、この作品を絶妙なバランスの「ロマポル」に変換しつつその文学性を失わせない制作者側の力量に改めて感服させられてしまった。

    原典に寄りたいと望んだ理由のひとつは主人公サワコが彼女の脳内や声帯を通して発する「オッサン論」がガシガシとオッサン側の立場である自分の脳に響いてきたからであって、普段注視しないように努めている自身の中のなにかきたないところをあばかれたような感覚を活字を通して復唱しなければという義務感に駆られたことが理由だったように思われる。誰だって自分を少しは聖人的に扱いたいと思うのだが同時に認めたくない外道な一面を(もしくは二面も三面も)持ち合わせているのだよという事実を突然身近な誰かに指摘されて崩れ落ちるより、できれば事前に予習をしておきたい…、そんなオジサンには課題図書的な作品であったかと。自身の慢心が鼻についたりしたら山崎ナオコーラ著作にまた手を伸ばしたい。

    映画脚本との印象の違いについてはいつか映画側のレビューにでも書き記してみたい。

  • 図書館で題名に惹かれて手に取りました。著者の短編集を何冊か読んだ事があり表題作の"手"主人公の女性は通ずる世界観があるなと感じました。マイノリティな趣味とか?そんな人が周りにいたらおもしれと思いながらもさらっと読める文章が肌に合うようです。

  • 表題作『手』について

    サワコにはいつだって年上の男友だちがいた。三十一歳年上、四十四歳年上、五十二歳年上。セックスはしないけど、デートはする。
    会社で働くサワコ、おじさんとデートするサワコ、そしてサワコにはもう一つの側面がある。「ハッピーおじさんコレクション」というホームページをひとりで運営しているのだ。
    盗撮したおじさんの写真や文章を載せている。サワコはおじさんが大好き。

    自分の父親とは仲の良くないサワコ。同僚だった森さんと何度もセックスするサワコ。年上の男友だちとの別れ方を知っているサワコ。生きていても小説を読むぐらいしかすることがないと考えるサワコ。父親の耳の調子を心配するサワコ。

    ---------------------------------------

    人にはいろんな顔がある。仕事をしているときと、デートしているときでは別の顔だ。
    おじさんを愛でるホームページ運営に精を出すサワコの顔は、誰も見たことがないだろう。他の人には見せない顔、というのもあるのだ。

    顔がいくつもあればいいと思う。もし仕事でつらいことがあったとしても、別の場所で別の顔になれば切り替えられる。

    昨日、カフェレストランで受け取った直後のお茶を倒してしまった。すぐにテーブルと床を拭き、店員さんにも謝ったのだけど、店内にいる人全員が自分を見ているようでとても恥ずかしかった。すぐに気持ちを切り替えられなかった。
    いつまでも感情を引きずらない。そんなふうに過ごせたらいいのにな。

  • タイトルが漢字1文字なのに惹かれて読んでみました。ちょっとエッチな描写が多く、恥ずかしくなってしまうこともありました(笑)ですが、登場人物は「こういう人がいたら面白いなあ」という人ばかりでしたよ。

  • 手は、おじさんへの嫌悪、フェチ。世の中への生き方?の逸れ方。主張する場所が、ああそこ、そこにいくか、と、感心させられた。
    ナオコーラさんなので森さんとの会話の掛け合いや感じたこととか恋愛ものとしての面白さもあった。
    ほか2編

  • 久しぶりに福岡に行って、グラムに行って、福岡を満喫したら、
    山崎ナオコーラさんの本が読みたくなって読んでみた。

    この人の文章好きです。
    それに、おもしろい。人間臭さがある。

    「手」

    愛情とは、広がるものでは決してなく、移行するものなのだ。

    という文章。確かになーっと思う反面、
    この人間のこころの流れに笑えたりもしました。
    おじさんが好きな若い女性。
    本当は、ただ何かの知識を得るだけじゃなくて、
    お父さんと同じ世代のひとたちを、遠回りして何かを感じたかったのかなーっと思った。
    菩薩のシーンがすき。

    「お父さん大好き」

    人間は何故、他人のものを、拾うのか。
    繋がるためではないだろうか。落ち込んでる人に、優しさを分け与えるためではないだろうか。
    私は他人を受け入れますよ、と伝えるためではないだろか。
    世界は寛容でできている。

    この文章を読んだとき、すごく感動して、
    こんなふうに世界を見れる目線に羨ましくも思った。
    でも、いっときしてこの文章を読むと、
    ちょっと大げさに考え過ぎじゃない?と思う自分がいて、びっくりした。

    なんか地元帰って来てから、
    自分の気持ちが長持ちしないこと、気持ちがどんどん移り変わる早さを感じて、
    自分が信用出来なくなることがある。
    冷めた目でみることもある。
    もう何も考えたくないから、ひたすら寝る。笑
    でも、夢を毎回見るから、夢と現実の区別がつかなくなったりする。
    そのときは整理して、また現実に自然と戻っていく。
    犬って、毎日初めてかのように、楽しそうにする、おかえりなさいって迎えてくれる。
    私は犬みたいになりたいのです。
    初めてを忘れたくないです。
    でも、何度か重ねたから気づける感情も出てくるはず。
    自分の欲望に答えれる人間になって、自分、どんどん成長したいです。

    あ。
    山崎ナオコーラさんの作品って、登場人物の一人一人の個性をだしてくれてて、
    そんな世界を読んでる、私自身の私の何かを気づかせてくれてるって思いました。
    ありがとうございます。

  • 最後の短編がしっくりと胸に入った。
    交情しあいたい、人間という生き物。

  • 「美人じゃなくても、笑っていれば可愛いんだ」(p19)
    いやー、マジそうかも。あたしはできていないけれど……。
    こんな人がおじさんキラーになるのか? なにがいいのか、おじさんコレクションをしてるから狙ってるんだけどね〜。ここまで割り切った考え方の女性なら、不倫で問題も起こさないのか? いやいや、不倫はナシでしょう。

  • 初めての山崎ナオコーラ。
    うん、いい。上手く言えないけど、このさらっとした感じと少し不思議な感じは私好み。他のも読んでみたい。

    表題作の手と、笑うお姫さまが好きやな。
    男や自分の色恋を客観視してるところがつぼ。
    おじさんに興味わくのはわかる。
    あとまさかの竜オチ。

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著者プロフィール

1978年生まれ。「人のセックスを笑うな」で2004年にデビュー。著書に『カツラ美容室別室』(河出書房新社)、『論理と感性は相反しない』(講談社)、『長い終わりが始まる』(講談社)、『この世は二人組ではできあがらない』(新潮社)、『昼田とハッコウ』(講談社)などがある。

「2019年 『ベランダ園芸で考えたこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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