- Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163292304
感想・レビュー・書評
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もともとは、バージニア・リー・バートンの「ちいさいおうち」が大好きで、興味を持った本。
おばあちゃんの、ほっこり思い出ストーリーかと思いきや、
最終章はミステリちっく。
解釈は色々だと思います。 -
昭和初期から戦争が終わる頃まで、東北の出身の女性が東京の山の手家庭で女中さんとして暮らした日々を、おばあさんになってから思い出して手記を書いている(という体の小説)。
モダンな昭和初期の東京の様子が良いです。
戦争中も人々の普段の生活はこんな感じだったら(悲惨一色よりも)嬉しい。
不思議なお話。
タキちゃんは本当はどちらが好きだったのかな。
どこまでが思い出したこと、どこからが願望だったのかな。
私も一時の感情で動くタイプですが、後々の後悔というのがこんなに辛いものならば、自分の為に考え直さなきゃいけない、と思いました。 -
後輩に読んでいてわからないところがあったので
ぜひ読んでと言われてやっと読みました。
私もわからない部分が笑
けっきょく本当に会ったのか、会っていなかったのか。
これって解釈次第?
全体的にはすごく好きな1冊でした。
昭和初期の暮らしぶりがすごくリアルに感じられる。
私はもうこの頃のことを年表や事件のイメージで想像するしかできないけれど、私たちの「毎日」だっていずれは「歴史のイメージ」の一部になるんだなぁと思うとおもしろいです。
日本は戦争しているはずなのに
一般人の暮らしにその影がおちてくるまでは
時間差があって。
少しずつ少しずつ「毎日」がなくなっていく様が
リアルで静かにこわいと思いました。 -
昭和6年から昭和19年頃のストーリーで、赤い家に住む若く美しい時子奥様と過ごした女中奉公タキの記録。
奥様との出会いからはじまる穏やかな家庭生活や、切ない恋の物語。
読み始めたらとまらないお話です。
ぜひ読んでみて下さい。
【中村学園大学】ペンネーム:Y.O -
先日「連合艦隊・山本五十六」を観たが、
たまたまなのか、時代背景の解釈がとても似ていて、
思いがけず途中までまったく予期せぬ視点から、
甥と同じような目線で読み進めていたりしました。
(小さい頃からのすりこみからか、わたしが知っている「戦争」って、敗戦までのほんの1~2年で、そこに至るまでの時代背景や庶民の感情って、実は案外わかってないのかなと思わされるほど、その描写があまりにも2作品共似ていて、このタイミングでこの作品を読むのも、なにかの縁だな、と)
とはいえ、この作品は戦争小説ではないし、むしろその頃をあくまで時代背景に生きた、主人公の生きた時間の中で、出会った人とのかかわりやつながりの中で、やはり最後まで心の中に残ってしまった思いが、甥を通じて最後に繋がっていく・・・みたいな。
淡々と、しかしながら奥深く、今まで読んだことのないタイプの作品で、
わたしはけっこう好きでした。
余韻が残る作品。 -
女中タキの語り口が、優しくてとても素敵。
劇的な出来事があるわけではないが、日々の営みが丁寧に語られていく。
昭和の美しい東京が感じられる。
不思議な味わいのある作品だった。
http://koroppy.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/post-23ce.html -
同名の絵本が大好きだったので手に取ったが、久しく読んだ事のない文学タイプの小説だった。直木賞受賞作とか?納得。戦時中のイメージに新しい風を送ってくれた1作。