テティスの逆鱗

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163297309

作品紹介・あらすじ

女優、OL、キャバクラ嬢、資産家令嬢-年齢も職業も異なる四人が耽溺する、美容整形の世界。次第に彼女たちは「触れてはいけない何か」に近づいてゆき…。女性の欲望を極限まで描く、美と恐怖の異色作。

感想・レビュー・書評

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  • 恐い本でした。
    恐いだけでなく痛い。
    読んでる時思わず顔を触ったり、顔がゆがんだり、思わず「うっ」と声が出ました。

    美容整形にとりつかれた女性たちの物語。
    女優の條子は、年齢によるあせりと今のポジションを維持できるのかという不安を抱えている。
    主婦の多岐江は、夫に女として見られなくなり、若い恋人を幻滅させたくないという思いを抱えている。
    キャバクラ嬢の莉子は、容姿のことでイジメを受けた過去を抱えている。
    お嬢様育ちの涼香は、父親の裏切りにより醜く死んで行った母親を側で見ていたというトラウマを抱えている。

    彼女たちはそれぞれ美容整形に頼らないといけないという事情を抱えている。
    そして彼女たちの整形を担当するのは評判の整形外科医、晶子。
    彼女は自分の施術により女たちを幸せにしたいと願っていたのに、全く違う方に現実は進んで行くことに苦悩する。

    美容整形・・・。
    今は手軽に施術できて「プチ整形」なんて言葉もあるけど、どんなものであれ、顔や体にメスを入れたり注射をしたりするわけだから恐ろしい・・・。
    何にでも100%大丈夫なんてことないから。
    だけど1度それを乗り越えて、あまりに簡単に美を手に入ててしまうと「もっと、もっと」となるのかも知れない。
    掃除をしていた時、ここだけと綺麗にしたら他の汚れが今までよりも気になってしまうように・・・・。

    恐いけど、読みやすいし面白い。
    あっという間に読めました。

  • 恐い。女性のすごい生き方の例が、たくさん載っている。
    主人公ごとそれぞれに一つの小説になるかもしれない。

    條子、多岐江、莉子、涼香、晶世
    美容整形外科の医師が、主たる主人公。
    それぞれの主人公に脇役が2人づついる。

    途中で何度も、本を閉じた。
    これ以上読み進められない。

    なぜ、こんな惨い物語を描くんだろう。
    たしかに、悲惨な人生もあるのかもしれない。

    それでも、そこに人間性を描写しようとしている著者の思いがあるのかもしれない。
    現代社会への警告か? もしれない。

    男性作家では書き切れない作品。

  • 一日で読了。
    美にはまる女達が美容整形外科の晶世のところへ様々な部分を直しにやってくる。
    普通の兼業主婦、美のカリスマを目指す女優、キャバクラ嬢、病的に美容整形にハマりもはや人間離れしてしまった元お嬢様など。。
    最後は皆不幸になってしまうのだが。。。
    女だから分かる年齢による身体の衰えに共感する一方で、やはり空恐ろしい雰囲気漂うお話でした。

  • 最近(でもないけど)、この形式の小説多いなぁ
    複数の人間の人生をそれぞれの視点から繋げて輪環を描く。
    読みやすくて面白いけどね。


    題材そのものは目新しくないけれど、
    整形どうこうではなく一つの価値観に執着するその執着心に恐怖する。

    単純にエンターテイメントとして、面白かった。

  •  腕が良く、女性達の望みを多く叶えてきた美容外科医の多田村晶世。彼女のクリニックには女優、キャバ嬢、OL、資産家の令嬢などが通い詰めていたが、彼女達の「綺麗になりたい」という思いはどこまでも貪欲で、いつからか晶世の手にも負えなくなってきていた。

     こういうのは一度やりはじめると歯止めが効かなくなるのではないかという心配がそのまま物語になっている。4人の女達はどの人物も真剣なのだが、傍から見ると、なぜそこまでいっていて気付かないのかとあきれたり、そこに恐怖に感じたり。自分も女ではあるので、全部が理解できないわけではないけれど。しかし誰もが皆、最後には、何にも手を入れていない受付嬢の自然な鎖骨だったり膝だったりを羨ましく思っているのが皮肉。

  • 美容整形沼にハマるとほんとやばそう。
    ここまでなるのは一部だろうけど。
    でもキレイな方が得するのは確か。
    心の病で整形するのは絶対に幸せになれない。
    満たされない心を埋める方法ではない。
    欲が深い。
    テティスは先生なのか患者なのか。

  • おそらく、全ての女性が気にせずにはいられない容姿の美醜。

    プチ整形という言葉が指すように整形にかつてほどの抵抗感や罪悪感が薄れてきた現代において、美容整形は手軽に自分をグレードアップできる手段となった…

    貪欲に美を求めるあまり、
    誰もに平等に訪れる老いを拒絶する女優、
    出産前の自分を取り戻して恋をしようとする主婦、
    かつて自分を苛めた相手を憎み、美しくなり、玉の輿を狙うキャバクラ嬢、
    母と似た部分を切り捨て、独自の美を追い求めて異形となり果てる資産家令嬢、

    彼女らをはじめ、あらゆる患者の欲求を飲み続けることに憂んだ美容整形外科の女医。

    最後は怖い…

  • 美容整形は1度するとクセになると聞くけど…、
    美容整形することしか見えなくなると世間の常識からどんどんはみ出して恐ろしい思考に…。ゾッとしたわ。

  • 超おもしろかった!
    サスペンス物のレディースコミックみたい(←読んだことないけど・・)
    コワおもしろい、って感じね。

  • 怖いもの見たさってとこが大きかった。私は整形を否定しない、むしろ肯定している。でも自分ではやりたいと思ったことはない。
    でもこんな普通の主婦がそのことに突き進んで行くのに原因はとてもつまらないことだ。すべてに男の人の目がつきまとうんだな〜とあらためて感じた。でもそれがなくなったらドリよしないのかもしれない。

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