心臓を貫かれて

  • 文藝春秋
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本棚登録 : 443
感想 : 74
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  • Amazon.co.jp ・本 (614ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163521206

作品紹介・あらすじ

自ら望んで銃殺刑に処せられた殺人犯の実弟…。兄と家族の血ぬられた歴史、残酷な秘密を探り、哀しくも濃密な血の絆を語り尽くす。全米批評家協会賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 自ら望んで死刑になったゲイリーギルモア。その弟が書いた、モルモン教から続く流血の歴史をまとめた作品。あまりにも不幸まみれで憂鬱な気持ちになること請け合い。昨年読んだ本の中で最も面白かった。

  • 自分の人生がどこでどうなって今に至ったのか。誰でも考えることだけど、「これだ」と言える一つのターニングポイントを見つけ出す(選び出す)まで徹底する人はいない。『心臓貫かれて』は、自分の人生がなぜDVとか殺人とか血塗られたものになってしまったのか、それを生まれる前まで遡ってターニングポイントを探す話。結局、見つからずじまいなんだけど、捨てられた子犬のように過去にすがりつく姿が、痛々しかった。未来に希望を抱くことって、口で言うほどたやすくない。こういう人達が、日々同じ列車に乗って同じ空気を吸っていることを、心のどこかで憶えていたい。

  • 辛い本だった。
    でも、できればもう一度読み返したい。

  • 村上春樹がエッセイで『心臓を貫かれて』を是非読んで欲しいと書いていたので、本屋で見つけて即購入した。この本はノンフィクション。殺人を犯したゲイリー・ギルモアとその家族の話である。

    −−−ギルモア一家にとりついた死霊の系譜が語られていく。でも、本当に怖いのはむしろ生きている人間である。−−−

     ゲイリー・ギルモアは二人の青年を射殺。弁護士を通じて死刑を要求し全米から注目されるなか執行される。当時、死刑の廃止の潮流にあったアメリカの流れを変えるきっかけになった。

     この本はゲイリーの実の弟マイケルが書いた本。

     母ベッシーは
    『奴らはゲイリー1人を殺せば、それで満足なんだ。アメリカで処刑される人間は、もうこの先出てこないよ。あのろくでもないモルモンどもは、私が憎いから、かわりにゲイリーを殺したのさ。あいつらがお前の弟の心臓を打って、地面に落としたんだ。』と兄フランクに叫び、苦しんだ。

     村上春樹はあとがきで「トラウマのクロニクル」(心的外傷の年代記)と表している。ゲイリー自身も父親から傷つけられたり、犯罪を犯して刑務所に入り、残虐的な生活を送っている。

     何度も刑務所に入るゲイリー。家族は保釈金を積み立て、ゲイリーに希望を託したが無惨にも裏切られた。更正の道は無い。

     家族の繋がりの強さを感じた。マイケルは何度もギルモア家から逃げようとする。しかし、逃げられない。そして心の底では兄ゲイリーのことを深く愛している。

  • 3.9/419
    内容(「MARC」データベースより)
    『自ら望んで銃殺刑に処せられた殺人犯、ゲイリー・ギルモアの実弟が描いたノンフィクション作品。兄と家族の血ぬられた歴史、残酷な秘密を探り、哀しくも濃密な血の絆を語り尽くす。全米批評家協会賞受賞作品。』

    原書名:『Shot in the Heart』
    著者:マイケル・ギルモア (Mikal Gilmore)
    訳者:村上 春樹
    出版社 ‏: ‎文藝春秋
    単行本 ‏: ‎614ページ
    受賞:全米批評家協会賞

  • 書き手と翻訳の才能があふれてる。

  • 心臓を貫かれて

  • まさに心臓というか、心を貫かれたような作品でした。

    アメリカの暗い側面が残る地域で暮らす家族の物語から始まり、家族の中で起きてしまう、諍い、暴力、そして犯罪。

    決定的な犯罪を行ってしまった家族の一員によって、残された家族は様々なトラウマと重い贖いを抱え続ける。

    そんな中にも愛情は生まれ、そして喪失されていく。その喪失は落差による反動でとても大きなものになる。

    家族、兄弟、生きること、死ぬこと、それらに自分はどう向き合っているか?そんな深いことを考えさせる作品でした。






  • ☆兄が殺人で銃殺刑。モルモン教徒しての歴史、家族の歴史、父のことなど。

  • モルモン教がどういう宗教か、というところが肝。
    家族に伝わる、悪の神話の告白。
    作者は書くことによって救われたのか、否か。
    そして読む者は?

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