- Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163769202
感想・レビュー・書評
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「怖い絵」シリーズでおなじみの著者が書いた今回の本。テーマは、「陰謀の歴史」とあるだけに、絵画に隠されたドロドロした世界を垣間見ることになる。
今年、「パベルの塔」などの絵で知られる16世紀ネーデルランドの画家、ピーテル・ブリューゲルの展覧会が上野の東京都美術館で4月18日から7月2日まで開催される。そのブリューゲルの絵、「死の勝利」が取り上げられている。このタイトル自体は後世になって付けられたものだ。著者も述べているが、中世ヨーロッパでは、戦争、天災、ペストが蔓延していた時代に生きた人々の死に対するイメージを垣間見ることができる。
ドロドロしたというイメージにぴったりで、今の時代に生きていたらゴシップ雑誌や新聞に書き立てられて騒がれると言えば、ローマ教皇レオ十世。本名は、ジョバンニ・デ・メディチ。そうあのメディチ家出身。この人は、ぜいたく大好きであのイメルダ・マルコス真っ青の浪費家だった。金欠状態になってしまい、免税符で穴埋めを思ったはいいが、マルティン・ルターにかみつかれて大変なことになった。ラファエロ・サンティによる「レオ十世と二人の枢機卿」で、レオ十世の顔を拝むことができる。
その他にも絵画とその背景に関する説明がなされている。下世話に部分もあるが背景を知ってみるとまた一味違った絵画鑑賞になって楽しい。
「怖い絵」であるが、「怖い絵展 その闇を知ったとき、名画は違う顔を見せる。」として今年の7月22日から9月18日まで兵庫県美術館、そして、10月7日から12月17日まで上野の森美術館で開催される。
怖い絵展
http://kowaie.com/
ボイマンス美術館所蔵ブリューゲル「バベルの塔」展
http://babel2017.jp/ -
H28/7/19
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陰謀の歴史編、というだけあって世界史上重要な人物に関わる絵画がいくつも収められている。カール5世、エリザベス1世、ルター、ゲーテ、ナポレオン、などなど…。
肖像画だけでなく産業革命や宗教改革、郵便制度や選挙戦の様子、疫病の流行といった当時の社会や生活をうかがえるものも。
歴史はもともと好きだったけど、高校時代にこの本があったら世界史の勉強にもっと役に立ったのにな。現役高校生にぜひおすすめしたい。
最近読んだサルトルの『嘔吐』の表紙がデューラーの『メレンコリアⅠ』だったのだが、灰色の薄い印刷で細部がよく見えず。その後この本を手に取ったらたまたまこの絵が載っていたのでちょうどよかった。が、よく見ると顔が怖い。表紙を薄めの色にしたのはわざとなのかも、と思った。
『エリザベス一世』の肖像画が戦勝記念に描かれたというのは初めて知った。世界史の教科書には絶対載っていて誰もが見たことのある絵だと思うけど、一枚の肖像画にも「顔」だけじゃなくいろんなものが描かれているんだなぁ。
この本を読んだ後に小説『薔薇の名前』を読んだのだが、その中にフランチェスコ会の修道士が登場する。『荒野の聖フランチェスコ』の絵を見たばかりだったのでイメージが湧きやすかった。
私の中で今回『嘔吐』と『メレンコリアⅠ』、『薔薇の名前』と『荒野の聖フランチェスコ』が結びついたように、絵を見ると本が読みたくなったり、本を読むと絵が見たくなったり、絵画と文学がリンクすると楽しさが倍増する。面白い。 -
やっぱり面白い。
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松阪ブックオフ
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どんどん読み進めている中野京子。
説明はいつも通り面白いですが、今回は選ばれている絵が…おじさんの肖像が多くて(前半)画面的に華やかじゃないというか。その分エピソードは濃いよという感じ。 -
「名画が語る西洋史」という元のタイトルの方が良かった気がする。「名画の謎」というのには及ばず(あまり謎でない)。ただ「怖い絵」よりは面白かった。
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面白かった。
こうやって絵を読み解くと
それは名画でなくとも
いろんな世界が見えてくる。
中野さんの知識の深さに感謝。
絵が見得にくいのは残念。