光あれ

著者 :
  • 文藝春秋
3.24
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本棚登録 : 153
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163807805

感想・レビュー・書評

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  • #読了。
    敦賀原発で警備員として働く相原徹。彼の10代から30代にかけての目を通し、過疎化が進む中での原発ムラを描く。
    様々な意見があろうが、読んでいて切なくなるような作品。女性に対してはあまりにも身勝手な気がしなくもないが、その相手の女性もすがるものを探している。暗さが漂う中でのタイトルなのだろうが、子供には・・・ということなのだろうか。

  • 書かれたのは3.11以前であろうに、原子力発電所に懐疑的なところがさすがなのか、アンチ原発は3.11以前のある程度の多数意見だったのか。地方が廃れていく様は、シャッター街という言葉にもあるように、紛れもない事実。衰退する地方、そこで生きる主人公たちが失って(衰退して)いく様も同時に描かれていた。

  • 敦賀の街を舞台にだんだん寂れて行く街や、歳をとっていく主人公が妙にリアルで、自分の人生にリンクして行きそうな内容でした。

  •  ますますもともとの馳星周イメージから離れている。

     作者名にマスクをしたら、これが誰の作品なのだかわからないだろう。 ハードボイルドでもないし、ノワールでもない。同窓会を起点にした青春回顧小説(つまり中年小説)という無理矢理のジャンル付けをするしかないだろう。鳴海章の『凍夜』という作品に類する。『凍夜』は帯広に戻ってきてクラス会に出て青春のあれこれをつなぎ合わせる物語だ。それに類するが、どちらかといえば、ぼくは鳴海章の『凍夜』や『風花』ほどには、馳の本書は長く心に残らないだろうなとの読後感がある。

     馳星周が、なぜ原発のある街をテーマに書いたのか、あるいはなぜ北海道の泊ではなく、敦賀を舞台にしたのか、作家と題材の繋がりの希薄さを感じざるを得ない。そしてただただ重く、暗く、そこに何らかの処方も施されていないばかりか、なぜそれが書かれなければならないかがわからないし、テーマもモチーフもわからないし、さらに言えば、あまり面白くはない。

     人生の達人が人生の重たさを粛々と語り紡ぐ嘆き節のような一冊であり、そこに『光あれ』というタイトルは、最低限の作家の譲歩と言える救いなのかな。どの登場人物も幸福にほど遠いように思われ、その中で恋愛も死も、連作短編という形だからこそ中途半端で語り切れていない居心地の悪さを感じる。

     いろいろな制限があったとするならば、また何度でも脱馳ノワールへの果敢なトライを続けてほしいし、そうした新ジャンルでの成功を願う。

  • 原発の話が出てくるがこの話の肝ではない。恋愛小説に近い。
    恋愛といっても浮気話ばかりなので主人公にはうんざりしてきてしまいました。
    主人公はきっとあの先も同じことを続けていき娘が泣いている姿しか思い浮かばない。というのがこの本を読んだ感想。

  • ノワールでもエロでもない馳星周=退屈。飛ばし読みで一時間足らずで読了。
    (以下ネタバレあり)

    「敦賀は死にかけてる。そやけど、おれは敦賀で生きていく。どこかに行こうなんて思わへん。おれは敦賀の人間や。敦賀で生きて、敦賀で死ぬんや」

    311以前に書かれた作品らしいけど、敦賀を日本に置き換えると、震災以降「絆」にすがりアクションを起こせない日本人の姿が浮かび上がってくる。

    リーガルハイの古美門先生に怒られちゃうよ。

  • 原発の町、という設定。どこの原発の地域もこんな感じなのだろうか?
    主人公徹が曖昧過ぎてどうにも後味が悪い。
    何が書きたかったのかもよくわからない。

  • 敦賀で生まれ育った徹の少年時代から中年期までを描く。幼さ友達の交通事故死、再三の浮気により妻に追い出され大阪に住む昔の女の元へ。錆びれつつある敦賀の街とともに必死で生きようとする。出会いと別れ、人生の葛藤の中で生きる。敦賀も原電とともに生きている。敦賀ってそんなに寂れてんかな思ったけど。

  • 田舎の生活ってこんな感じなんではないだろうか?
    特に会う人が変わるわけでもなく。
    変化のある生活を求めるなら物足りなさを感じてしまうだろうなぁ。それが浮気にはしるというのは理解出来ないけれど。相手に夢中になってしまう年頃というものがあるのかもしれない!?

  • いつもの馳星周ではなくて、人は殺しません。
    が、主人公の煮え切らない感じや心に闇を持っている感はいつも通り、性描写は薬が無い分普通でしょうか?
    原発といっても福島ではなく敦賀が舞台である。
    タイムリーといえばタイムリーだが、原発についてはそんなに書かれていない。
    おそらく主人公は自分と同世代なので、ある意味感情移入をしてしまうが、意外とスケコマシである(羨ましい面もある)。
    連作なのでサクサクを通り越してツルツル読めてしまった。
    286ページあるけどあっという間に読めます。

著者プロフィール

1965年北海道生まれ。横浜市立大学卒業。出版社勤務を経てフリーライターになる。96年『不夜城』で小説家としてデビュー。翌年に同作品で第18回吉川英治文学新人賞、98年に『鎮魂歌(レクイエム)不夜城2』で第51回日本推理作家協会賞、99年に『漂流街』で第1回大藪春彦賞を受賞。2020年、『少年と犬』で第163回直木賞受賞した。著者多数。

「2022年 『煉獄の使徒 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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