二十五の瞳

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163814407

感想・レビュー・書評

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  • 樋口毅宏は文学にヒップホップの方法論持ち込む。
    言うなればタランティーノが映画でやっていることを小説でやっているのだ。

    今回は壺井栄『二十四の瞳』、高峰秀子『私の渡世日記』という大ネタ勝負といったところだろうか。

    平成、昭和、大正、明治、四つの時代を四話に渡って描くが、微妙に文体のグルーヴを変えてきている。
    まるでジャズDJが年代がバラバラで音質にも隔たりがある音源をスムーズに混ぜるかのようにそれらは繋がっていく。

  • 二十四の瞳を軸として小豆島を舞台とした短編が四つ平成から明治にかけて時代をさかのぼって収められています。

    特に尾崎放哉を描いた第三話「酔漢が最後にみたもの」は夢中に読むことができました。
    尾崎放哉の自由律俳句における知名度は種田山頭火と肩を並べる印象ですが、その生涯を追って残された作品を味わうと、これが一人の男の人生かと疑うほど波瀾に満ち、そしてその激烈な人生だからこそ今も多くの人を魅了する作品が生まれたのだと思いました。

    第四話にいくと、著者の独特な表現で空海と大石先生と小豆島と原発事故を繋ぎ、皮肉な内容としては面白いのですが、やはりボクは尾崎放哉に惹かれました。

    小豆島の歴史的な背景や縁のある人物など予備知識なく読みましたが、意外な人物や地理上の特異さからドラマが生まれやすい風土なのだと感じました。

  • 中原昌也をマイルドにした感じになってきた〜

    エピローグの自分語りてきなところ
    いらなくない?

  • 小豆島に行きたくなりました。
    フィクションに思えないフィクションなのが好き。

  • 自分が書いたものを読むような気恥ずかしさがあった。だからこそ一気に読んでしまった。

  • ■小豆島が舞台の「二十四の瞳」ならぬ「二十五の瞳」で瞳がひとつ多いのは...。(笑)

    ■読み始めたら面白くてグリグリとストーリに引き込まれてしまい、「お、これは当たりかも?」と思った途端にあっけない幕切れ。「えー、それはないでしょー」って声に出しちゃったぐらい。

    ■そこで初めてこの作品がオムニバスなことに気付く。どの短編?も面白くて、1日で読んでしまったんだけど、共通項が「小豆島」しかないので、全体を通すとっ散らかった感があるのが惜しかった。(まして1日で一気読みしたのでなおさらだったかも。

    ■それがなければ★★★★だったんだけど。(笑

  • 摂津 王貞治 レディオヘッド OKコンピュータ マーク・ザッカーバーク スティーブ・ジョブズ ビル・ゲイツ アイリッシュ系 スコットランド系 ビートルズ 蛍の光 滝廉太郎 小豆島しょうどしま 空海 お遍路 阿部総裁 オバマ ブッシュ 原子力 石油 オリーブオイル ナベツネ 宗 お局 毒殺 浜田省吾 ニジコ 秘薬薯 黒澤明 いきる 蜘蛛の巣城 マクベス シェークスピア 小林多喜二 一生子供でいても怒られることのない社会 マタギ 悪いやつほどよく眠るまあだだよ 所ジョージ トラトラトラ 白痴 どですかでん 影武者 キャメラ シャシン "夢は必ず叶う"…?そんな言葉が声高に叫ばれるほうが、いくら物質に囲まれていても、ずっと絶望が深い
    小豆島(しょうどしま)は、瀬戸内海・播磨灘にある島。香川県に属する。素麺、醤油、佃煮、胡麻油、オリーブなどの生産が盛んであり、いずれも日本有数の生産地となっている。特にオリーブは国内栽培の発祥地として広く知られる。壺井栄の小説『二十四の瞳』の舞台であり、島をロケ地として二度映画化されている。
    尾崎放哉 インフラ 朝鮮 大石 田中正造 足尾銅山 緑色 二十五 ニジコ 水母銃 三つ目が通る 民宿雪国 離婚届 高峰秀子 木下恵介 町山智浩 リンプ・ビズキット 小沢健二

  •  往年の名作『二十四の瞳』へのオマージュ作品。
     ノスタルジックな小豆島を舞台に、虚実入り交じった不思議な因縁話が4編展開される。ただ、著者の私的な出来事と、原作への思い入れが強すぎるのか、いつものハードさもバイオレンスも抑え気味で、時代を斜めから切り取る視線もピントが合っていない気がした。対象が好きすぎて周りが見えなくなっている状態。

  • 小豆島には、ある言い伝えがある。
    「ニジコ」という化け物を目撃した人は、愛する人と別れるという。
    けれども「ニジコ」は、自分が認めたカップルは、助けてくれるらしい。

    2010年、小豆島出身のキャスター大石久子は、小豆島を買収した
    中国人実業家、宋永漢の単独インタビューを任された。
    実は、宋と久子は10年前は恋人同士で、小豆島は二人にとって
    想い出の地だった。
    現在、世界を駆けめぐる実業家になった宋と、トップキャスターになった
    久子は、それぞれ口外できない重い役割を背負っていた。
    再び出会った二人に、あの「ニジコ」の言い伝えがよみがえる。

    小豆島とその伝説をめぐる短編が、他に3編。
    一編づつ過去にさかのぼり、「ニジコ」の謎が解ける。

  • 著者は近代の映画史・文学史・音楽史に豊富な知識をもっているのだろう。
    随所にそうした知識に基づく遊び心があって、虚実織り交ぜた話となっており、「本当にそうだったけ?」と読みながらネットで小豆島や二十四の瞳などについて検索してしまった。
    あとがきには高峰秀子や木下恵介などの自分が好きな人たちを再評価してほしかったとある。
    興味をもったという意味では、うまくはめられた~という感じ。

    あまりに虚実入り乱れているので、離婚も本当かどうかわからないのだが、別れ話をいろいろ書いて、奥さんとの別れを消化しているような印象。

著者プロフィール

東京都豊島区雑司ヶ谷生まれ。出版社に勤務したのち、2009年『さらば雑司ヶ谷』で小説家デビュー。11年『民宿雪国』が山本周五郎賞と山田風太郎賞の候補作となり話題に。著書に『日本のセックス』『テロルのすべて』『二十五の瞳』『タモリ論』『ドルフィン・ソングを救え!』などがある。

「2023年 『無法の世界 Dear Mom, Fuck You』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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