月下上海

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 783
感想 : 131
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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163823508

感想・レビュー・書評

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  • 戦中の上海を舞台に意志の強い女性を描いた作品。
    ある意味「烈女」といえるか。
    新興財閥の娘で、華族で音楽家の夫、自身は気鋭の画家。
    満たされているようで常に飢えているような。
    気が強いようでどこか儚げな。相反する感情が渦巻いている。
    狂言自殺をしてまで夫の浮気に鉄槌を下しながら、憲兵から向けられる復讐の念には、憎みながら諦めも感じた。
    戦争の終わりとともに、夫とも、民族活動家とも、憲兵とも別れを迎えて、何もないまま日本に戻る。財閥に残された最後の貨客船が物悲しく思えた。

  • 2017.6.10(図書館)

  • 映像的でもあり、少女漫画的でもある。
    そして…
    昼ドラ的でもある。
    だって、アナタ、文藝春秋ですよ菊池寛ですよ。
    (どうして出てきたのだろう?)
    タイトルに『夫人』がついていてもおかしくないかもです。

    結局、多江子は、夏とだけは、関係を持たなかったわけです。
    彼女の中では、彼だけは特別だったのでしょうか。
    夏に惹かれていった過程が、少しわからない気もしましたが…
    状況がそうさせたのか、槙に対する反発がそういう感情を招いたのか…

    天使のようなダメ男・瑠偉との場面は、やはり美しい。
    落魄して、ただの容姿端麗な四十男になっても…
    いや、むしろその方が魅力的でさえある。

  • (2013.10.26読了)
    第20回松本清張賞受賞!
    失礼な言い方ですが「食堂のおばちゃんが受賞!?」ということで話題になったので読んでみました。
    私には今一つかなぁ。

  • 第20回松本清張賞受賞作。
    面白かった。
    勝てない戦争へと突き進む、日本の危うさと、上海の華やかさのコントラスト。
    時代の空気感と、雰囲気が魅力的。
    表紙が作品にぴったり。
    育ちのよさと、美貌と、ファッション。
    綺麗ごとだけではない生き方の多江子だが、腹黒くは見えず、むしろしたたかにたくましく生き抜く姿に、清々しさがある。

  • 戦時下の女スパイ…情熱のシーラを思いだしながら、一気に読んだ。
    満州での読み物はたくさんあるけど、上海が舞台なのは初めてだ。
    悲惨な場面も少なくあまり重苦しくなく読めた。
    ただ、文章の構成でひとつのブロックの中に回顧的に時系列が、しかも誰の主観なのか迷ってる部分が多くあり、??が度々あって。そこのところが惜しい。

  • 読んで良かった。

  • 松本清張賞受賞の「食堂のおばちゃん」作家で話題になり、ご本人のドキュメンタリーや、TVのコメンテーターで見る表情になかなかキャラがあり、かつ、割と好印象を持ったので、遅ればせながら読んでみました。
    戦時中の上海の租界を舞台にした、財閥令嬢画家の波乱に満ちた愛憎劇で、作者には大変失礼ながら、それなりに面白かった、という印象でした。

    本の見返しに、主人公が出会う4人の男たちとの運命の歯車が回り始めるーとあり、わくわくしながら読み進めましたが、それぞれにドラマがありそうながらも、なんとなく薄っぺらい印象でとても残念でした。
    山崎豊子先生張りの上下巻の超大作ならいざしらず、限られたページ数では、駆け足にならざるのかもしれません。

    2時間ドラマのプロットを多数作成されているとのことで、まさに2時間ドラマ的物足りなさを感じた1冊でした。

    ネガティブなレビューになりましたが、けして物語としてつまらなかったというより、私の期待が大きかったのでしょう。
    冬に実家に帰って特にすることもなく、本棚にある本をたまたま読んだら、、というシチュエーションなら、、はまった1冊!

  • 松本清張賞を受賞したと言うが、あまりサンスペンスを感じなかった。どちらかと言うと和製ハーレクインロマンスと言ったところか。上海の描写が緻密で美しい街並みを連想させる。古き良き時代の上海にタイムスリップしたかのようだ。この小説は活字と読んでも楽しめるが、映画化した方がより楽しめるのではないかと思う。是非、美しい映像で上海の街と、その街に翻弄されるヒロインを見てみたいと思った。

  • 第二次世界大戦前後の上海、日本人租界辺りが舞台。お金持ちの訳有り煌びやかなマダムが主人公。周りを取り囲む男たちの愛憎、期待には添いかねるレディスコミック的な展開。帯にある松本清張賞はなぜ?目まぐるしく変わる女心と男ごころ、読んでいても感情移入できないのは私が大人じゃないから?な、わけないか。
    もっとスパイの活躍や、人と人国と国が戦時下で駆け引きするようなシーンがあるのだと思って期待していた。後半、なぜ急に安っぽくなっていったんだか、もったいない気がした。

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著者プロフィール

1958年、東京都江戸川区生まれ。早稲田大学文学部卒業。松竹シナリオ研究所で学び、脚本家を目指し、プロットライターとして活動。その後、丸の内新聞事業協同組合の社員食堂に勤務しながら、小説の執筆に取り組む。2007年、『邪剣始末』で作家デビュー。2013年、『月下上海』で第20回松本清張賞を受賞。その他の著書に「婚活食堂」「食堂のおばちゃん」「ゆうれい居酒屋」シリーズや、『風待心中』『ゆうれい居酒屋』『恋形見』『いつでも母と』、共著に『猿と猿回し』などがある。

「2023年 『婚活食堂9』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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