- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163900742
作品紹介・あらすじ
村上春樹9年ぶりの短編集「ドライブ・マイ・カー」「イエスタデイ」「独立器官」「シェエラザード」「木野」「女のいない男たち」。表題作は書き下ろし。
感想・レビュー・書評
-
映画「ドライブ・マイ・カー」が米アカデミー賞の国際長編映画賞を受賞したので、遅ればせながらミーハー心から原作を手に取ってみた。ちなみに映画は観ていないが(笑
映画をきっかけに原作である本書もベストセラーになっているというから僕と同じくミーハーにわか村上ファンは多いんだろう。
村上氏の短編を読むのは最新作「一人称単数」以来、2作目だ。言わずとしれた世界的に評価の高い作家で長編の人気作品のイメージが大きいのだが、実は短編の名手でもある。
村上文学の謎めいた世界やいかようにも解釈できるようなストーリーは読む人の想像力をかきたてる。ご多分に漏れず僕も想像力かきたてまくりだ。
全編をも通じて感じたのは、上手く言葉にするのは難しいが一見して対立していそうな事柄が実は同じような解釈にもなりうるんだということ。
余談だが「ドライブ・マイ・カー」の家福と高槻が「木野」の舞台になっているバー木野で飲んでいたり、「イエスタデイ」の文筆家谷村が「独立器官」の語り手谷村であったりして、無関係な短編集と思いきや実は微妙に関連してそうなのも興味深い。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
こちらも、読みやすいほうのハルキ。
短篇のほうが好きだなぁ -
久しぶりの春樹作品、これに題材を得た映画が騒がしいので読んでみました。
「ドライブ マイ カー」「イエスタデイ」「独立器官」「シェエラザード」「木野」「女のいない男たち」6篇の短編。相変わらず酒と音楽とsexふんだんにありますが例によって読み手に様々を投げてくる暗喩スタイル、作中に出ているアート テイタムのピアノJAZZを聴きながら読了。
映像になったドライブマイカーはかなりの長尺だと言うけど、監督の感性に余程響いたのでしょうね! 中で面白かったのは「木野」でした。 -
不覚にも図書館の予約に出遅れてしまいずいぶんと待った。
図書館の職員さんに「○○さん、今回はどうしたかなと思ってたんですよ」などと言われてしまったくらい。
おねえさん、名前覚えてくれてありがとう(笑)
それはさておき。
どの短編にも既視感があって、初めてなのに懐かしい。
こんなモチーフ前にもあったんじゃないかとか、これはノルウェイの森の焼き直しかとか。
でも新鮮味はないにしても春樹の持つ世界観は読むたびに衝撃を与える。
圧倒的な普遍性と言えばいいかな。
これほどまでに褪せない作家は春樹以外見当たらない。
デビュー作で終わってしまう作家ももちろんいるし、年齢とともに円熟味を増していく作家もいる。
たいていは年齢とともに時代とともに作品が変わっていくものだと思う。
しかし、村上春樹はどうだろう。
いくつになっても若者の悩みを書き続けているではないか。
これは私の一番印象に残った「イエスタデイ」の一節。
―自分が二十歳だった頃を振り返ってみると、思い出せるのは、僕がどこまでもひとりぼっちだっちで孤独だったということだけだ。僕には身体や心を温めてくれる恋人もいなかったし、心を割って話せる友達もいなかった。日々何をすればいいのかもわからず、思い描ける将来のビジョンもなかった。
これを読んで足元がぐらぐらしてくる。
あのころの淋しさと、心もとなさと、圧倒的な孤独。
家族を持ち忙しさにかまけてすっかり孤独とは無縁になっていた。
いや、無縁になっているような気がしていた。
果たして今の自分はあのころと変わったのだろうか。
この短編のテーマは全然別のところにあるのかもしれない。
出てくるのは(簡単に?)男たちを裏切る女たちばかりだし。
どの男たちもあくまで受動的で嘆き悲しんだり、時には自殺してしまったり。
でも裏切る女たちにも裏切られる男たちにも孤独がまとわりついているように思えた。
初めて春樹を読んだ頃の自分に一気に戻ってしまったような、そんな作品。
ひそやかな柳の木と、しなやかな猫たちに思いをはせながら。-
だいさん、こんばんは!
隔週で通っているのですが、予約がきっと早いせいなんでしょうね。
ちなみにお姉さんの名前がわかりません・・・。...だいさん、こんばんは!
隔週で通っているのですが、予約がきっと早いせいなんでしょうね。
ちなみにお姉さんの名前がわかりません・・・。
私も覚えないといけませんね(^^;)2014/08/15 -
vilureefさん、お久しぶりです!
実は住み慣れた大阪を離れて
このたび、ついに花の都、大東京へと上京したので
まぁ、なん...
vilureefさん、お久しぶりです!
実は住み慣れた大阪を離れて
このたび、ついに花の都、大東京へと上京したので
まぁ、なんやかんやバタバタとしておった次第です( >_<)
まだまだ暑かったり寒かったり
変な気候だけど、
vilureefさんはお変わりないですか?
それにしても、vilureefさんの村上春樹論を読んでると
同世代だからなのか、
感覚が似てるからなのか、
確かに周りが変わっただけで
村上春樹自体は今も昔も
同じように喪失感を描き続けてるし、
何一つ変わってなんかないのかなって
なんか腑に落ちました(^^)
最近の作品を読むより
初期作品をまた読み返す日々が続いてたけど、
ひさしぶりに新作読んでみたくなりました(^o^)
また読んだらレビュー書きますね(笑)
あと、遅くなりましたが、
wood job!のコメントありがとうございました!
返事書いてるので
また良かったら見てみてくださいね~(笑)
2014/09/07 -
円軌道の外さん、お久しぶりです!
お元気そうで~(*^_^*)
そうですが、お引っ越しされていたのですね。
都会から都会へと。
田...円軌道の外さん、お久しぶりです!
お元気そうで~(*^_^*)
そうですが、お引っ越しされていたのですね。
都会から都会へと。
田舎に引っ込んでいる私としてはすごい!の一言です(笑)
「ねじまき鳥・・・」あたりから社会的な要素も加わって作品が変わってきたとも言われていますが、根底に流れているものは変わらないと思うんですよね。
それとも原点回帰なのかな!?
ファンとしてはどちらでもありなのですが。
春樹の短編てやはりいいなと再認識いたしました。
円軌道の外さんのレビューもまた楽しみにしていますね(^_-)-☆2014/09/08
-
-
でもどれだけ理解し合っているはずの相手であれ、どれだけ愛している相手であれ、他人の心をそっくり覗き込むなんて、それはできない相談です。そんなことを求めても、自分がつらくなるだけです。しかしそれが自分自身の心であれば、努力しさえすれば、努力しただけしっかり覗き込むことはできるはずです。ですから結局のところ僕らがやらなくちゃならないのは、自分の心と上手に正直に折り合いをつけていくことじゃないでしょうか。本当に他人を見たいと望むのなら、自分自身を深くまっすぐ見つめるしかないんです。(P.54)
「彼女より容貌の優れた女性や、彼女より見事な身体を持った女性や、彼女より趣味の良い女性や、彼女より頭の切れる女性とつきあったことは何度かあります。でもそんな比較は何の意味も持ちません。なぜなら彼女は私にとって特別な存在だからです。総合的な存在とでも言えばいいのでしょうか。彼女の持っているすべての資質が、ひとつの中心に向けてぎゅっと繋がっているんです。そのひとつひとつを抜き出して、これは誰より劣っているとか、勝っているとか、計測したり分析したりすることはできません。そしてその中心にあるものが私を強く惹きつけるのです。強力な磁石のように。それは理屈を超えたものです」(P.137)
あなたは淡い色合いのペルシャ絨毯であり、孤独とはおちることのないボルドー・ワインの染みなのだ。そのように孤独はフランスから運ばれ、傷の痛みは中東からもたらされる。女のいない男たちにとって、世界は広大で痛切な混合であり、そっくりそのまま月の裏側なのだ。(P.280)
村上春樹ワールドが広がっていた。話題になっているドライブ・マイカーのストーリーも知ることができ、満足( ¯﹀¯ )1回読んで、理解出来ずに、繰り返し同じところを読む。この感覚は村上春樹の本でしか体験できない。この、意味のわからなさがなんか、好き。 -
☆ ドライブ・マイ・カー
☆ イエスタデイ
☆独立器官
☆シェエラザード
☆ 木野
☆ 女のいない男たち
6つの短編集
始めの「ドライブ・マイ・カー」が映画化すると知って読んでみる。思っていたよりは、読みやすかった。西島秀俊さんを想いながら読んだからかな(^^;
「イエスタデイ」「独立器官」「シェエラザード」それぞれ、面白かった。特に、「独立器官」は考えさせられた。読みおわった後
胸が苦しく感じた。
「木野」「女のいない男たち」はなんとか読めたが、理解できない部分が多々あった。これが、村上春樹ワールド? 表現が、まどろっこしいし、多分ファンの人にしか理解出来ないだろうなと思う。
昔々読んだ「ノルウェイの森」も理解出来なかった。
全体的に思ったのは、男性が書く小説だなぁと。重い感じがした。
それが、良さなのかもしれないけど、今後春樹さんの小説は、読まないと思う。
村上春樹ワールドには、浸れませんでした。 -
映画、ドライブマイカーをみたので読んでみた。村上春樹の作品自体、はじめて読んだのだが、ことば遊びが多くて個人的にはあまり好みではなかった。映画のあのシーンの元ネタがこれか、という見方でのおもしろさは多少あったが、読後の心情としては、やっと読みおわった、が正直なところ。
-
男性は女性よりセックスする相手の許容範囲が広いわりに、セックスで相手と強く結ばれたと思い込むのは実は男の方?女は永遠に男の手の届かないところに。村上春樹の作品で衣食住と並ぶくらい軽やかに使用される「セックス」という語について読書会で語るのも一興。この短編集では男がさみしい。
-
もともと好きな作品で、村上春樹のサイン本も持っている。何度か読み直したことあるけど、この度アカデミー賞にノミネートされ話題となっている映画を鑑賞したから、また読んでみた。やっぱり原作の方が好きだな〜。
初めて当書を読んだのは、若かりし頃職場の先輩と大恋愛・大喧嘩をして、結婚を諦めて仕事を辞め、その地をも去った直後だった。私は女性だけど登場人物と(若しくは去った女の方と)重なるところがあって、自分の中で特別な作品になった気がした。
いま落ち着いたサーになって再読すると、また違った気持ちで受け止められた。 -
男女の様々な思惑が錯綜していた。やはり短編は苦手だ。