- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163901312
作品紹介・あらすじ
過去と現在の間に立ち現れる存在「都」と「陵」はきょうだいとして育った。だが、今のふたりの生活のこの甘美さ!
「ママ」は死に、人生の時間は過ぎるのであった。
感想・レビュー・書評
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素敵な装丁に惹かれて。
時間がいったりきたりだけど、視点は主人公のままなのでわかりやすい。
テーマに対して、さらさらと綺麗な表現。
「人間は、人間であるかぎり、それほど違っちゃいないよ」 -
静かに空気が流れて、時間はいつのまにか過ぎていく。
母の影響がやはり強いのかな。背徳の正当化。 -
時間を見失ってしまったかのような家で、都は時々の記憶を行きつ戻りつする。従姉の奈穂子と弟の陵と三人で一緒に過ごした子供の頃の記憶。母が生きていて、父と母と弟と四人でこの家で暮らしていた頃の記憶。
思い出と夢と現在がモザイクみたいに並べられて結ぶ像は、一つ一つの細部が意味を有しながら、全体として漠たる何かを語ろうとしてくる。
現在を押し流してしまいそうに重ねられる思い出と、何でもない小さな一コマとして差し入れられている、実際に起こった幾つかの記憶に残る事件。取り返しがつかないと思えるどんな出来事も、全て行き過ぎてただ現在へと流れ込んでいる、とでも告げるかのように。
静かな語り口の筈なのに、センシティヴな文章に密かな胸苦しささえ覚えながら、この物語は何処へ流れ着くのだろう、そんな焦燥感を抱いて読み進んだ。 -
死と背徳。
でもどうして、こんなに淡々としていられるんだろう。 -
こういう作品は感想が難しいです。
流れるような言葉、文章。繋ぎ目。
淡々とした日常、一生。
主人公の独り言を聞きながら彼女の日々を感じ、自分の過去と死んだ大切な人たちを感じ、読みながら別のことを思い巡らせました。ストーリーは二の次のような印象です。
よくよく考えるとかなりショッキングな内容なのに、そういう感じが全くしないのが川上さんのすごいところなんだと思います。それから、装丁画は駒井哲郎さんの銅版画です。駒井さんを好きな私としては、駒井さんの作品が伝える空気感を期待したのですが、装画から受けるイメージと小説のイメージはかなり違いました。 -
姉と弟。そしてふたりの母親。
母と娘の関係。
死の「呼び声」
時間軸があっちこっち動くのに、はちゃめちゃにならない。
むしろそのせいで歪んだ家族関係が徐々に見えてくる。 -
あわない