ナイルパーチの女子会

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163902296

感想・レビュー・書評

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  • 終始、読むにつれて、なんやこれ?!となっていく展開。ページ数も多いので先の展開が読めないボリューミーな一冊
    リアルな人間関係に身をつまされるという類の評価と言うよりなんや?この関係…どんな人達なの?みんなぶっ飛んでるなぁと思わずに居られない
    それでいて、ブロガー主婦 おひょうの中の人翔子の父親像に限ってはどこかにあって苛立ちやおぞましさ、人によっては時代による普遍性があるかもしれないと思えた。
    ただ、女友達という化学反応を女子会と言うならばグループになりドロドロと啀み合う様を想像するような人達もいるけど、新たな展開を用意し切り開く1冊になっていると思う

  • 自分には関係ないと俯瞰して読み進められない怖さがあった
    おかしい登場人物何人もいるけど、自分がその人たちじゃないって言い切れないっていう恐怖
    結構消耗するけど、最後は後味良く終えられる
    友達って難しいよなー、学生の頃仲良かった友達と、ちょっと境遇が変わったら疎遠になるってこといっぱいあるし
    でもそういうのの積み重ねが社会で生きるってことなんだろうなと思った
    butterの時も思ったけど、ランチのアッコちゃんと同じ人が書いてるとは思えん…

  • これまで何冊か読んだ柚木麻子の本の中で相当怖く、そして面白かった。女友達ができたことがない主人公の話。
    ここまで相手の気持ちが分からず人付き合いが苦手でも仕事はできるというのが不思議だけど、あり得るとは思った。物語中盤では相手の弱みを握ることで名ばかりの親友を得るけど、それで満足している主人公の様子がもはや笑えた。本当の親友であればやたらと自分たちが仲が良いことをいちいち確認しないので、親友を強調する様子が主人公の不安を表していて面白かった。この主人公は女友達がどうこう以前に、普通にモラハラ束縛気質なんだと思う。
    友達はいつでも切ることができる気軽さが良いところでもあるので、深入りしないのが長続きするコツだと思った。

  • 女同士のナイルパーチのごときドロドロマウンティングバトルかと思ったら人間の脆く儚く変わっていく絆の話だった。面白い

  • おひょうというハンドルネームの主婦ブロガーの翔子、商社で働くエリートOLの栄利子。ブログの熱狂的ファンだった栄利子は翔子が近くに住んでいることを突き止め、出会うことに成功する。栄利子はエリートだが、友達がいない。何もかも持っているのに、どうして友達ができないのか?翔子なら分かってくれると付きまとい始める。距離を置こうとする翔子もまた、歪んだ家庭で育ち他人との距離感がつかめず、夫以外に落ち着ける相手がいない。翔子を追い詰める栄利子。同僚の杉下との過ちや、その彼女で派遣で働いている真織との関係。なりふり構わなくなる栄利子はどうなっていくのか?と、とにかくドロドロ。常に自分が優位でいたい。何もかも自分の思い通りにしたい。与えられるのが当たり前のまま育つとこうなるの? 柚木さん初めて読んだけど、上手いなー。面白かったです。女って怖いわー。

  • 怖い怖い。
    中高一貫の女子校出身と言うと、
    独特だねーだの分かるだのーだと言われる。
    わからんでもないがわかる。

    女子校とは気楽なのだ。
    異性の目がない分、本当に自由に過ごせる。
    少なくとも私は。
    あの多感な時期、煩わしい視点が一つ欠けるというのは、ずいぶんと気楽なことだった。
    物足りないものは外に飛び出すし、
    大学新卒とまだまだ取り返す機会もある。
    自由気ままに、自分が好きなものや、友達に夢中になれる時間というのは、何物にも変え難かった、と振り返って感謝する。

    話もどって、うまく女同士でやれない女たちの話。
    こんな思考でいるひといる?ってなる。
    恵まれてきたにしても、実際はうまくいってないにしても、
    すべきとか絶対という単語を日常に持ち込む思考は避けないと不幸になる、と学ぶことができた。
    押し付けるな。
    幻想をいだくな。
    期待するな。
    他人なんて一生わからない。
    割り切れれば簡単なのに。
    求めすぎて得るものって、何ひとつないよね、ぜったい。

  • 共感できないことで大きな何かを失ってしまうのはしごく当たり前なのだと思う。栄利子や翔子はさすがに極端な例だけれど、誰しもが2人のような一面を持ち合わせているのではないだろうか。安全圏から女を見下すことで優位に立とうとする杉下やそんな彼を迎合しているように見せかけて信念の揺るがない真織などリアルで繊細なキャラクターが描かれていて、実際に存在するのではないかと錯覚させた。女同士の友情は決して強い輝きでも泥沼でもなく、空間と時間を共有することで得られる心地良さや安らぎに価値があるのだと感じた。

  • とにかく嫌な本。でも柚木さんの女性の嫌な描き方、読んじゃう。嫌いじゃない。お嬢様育ちの狂気を増していく栄利子に嫌悪を抱きつつ、ストーキングされる主婦ブロガー翔子のもどかしさにもイラつく。一方で同様の澱んだ醜さが私自身の無意識の中にもあるのでは、と不安が掻き立てられる。柚木さんのいくつものセリフが刃物のように、私の心にささる。女性は確かに共感に重きを置き、成熟しつくした今の日本では他者からの評価が偏重される。ジェンダー、機能不全家族、介護、偏った強迫的な価値観等々、ちょっとてんこ盛りだけど、凄い作品。

  • 女性のドロドロ。ストカーみたいになってしまう人、いそうで怖いなあ。人間関係の苦労のお話。これも現状の一部分を描いているのかな。

  • 2015/10/26

    こわいこわいこわい!
    友達がいない故、惹かれるものに固執してしまう栄利子の暴走が怖くてたまらない。
    怖いもの見たさで急かされるように読み切った。
    社交辞令に期待してしまったり、無意識に自分の主張を押し通したり、「周りから見える自分像」を意識しすぎたり...笑い飛ばせないのは自分に思い当たる点があるからなのかなって。

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著者プロフィール

1981年生まれ。大学を卒業したあと、お菓子をつくる会社で働きながら、小説を書きはじめる。2008年に「フォーゲットミー、ノットブルー」でオール讀物新人賞を受賞してデビュー。以後、女性同士の友情や関係性をテーマにした作品を書きつづける。2015年『ナイルパーチの女子会』で山本周五郎賞と、高校生が選ぶ高校生直木賞を受賞。ほかの小説に、「ランチのアッコちゃん」シリーズ(双葉文庫)、『本屋さんのダイアナ』『BUTTER』(どちらも新潮文庫)、『らんたん』(小学館)など。エッセイに『とりあえずお湯わかせ』(NHK出版)など。本書がはじめての児童小説。

「2023年 『マリはすてきじゃない魔女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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