陰陽師 鼻の上人

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (95ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163903118

作品紹介・あらすじ

陰陽師、記念すべき100作品目は絵物語で刊行芥川の「鼻」にインスパイアされた「陰陽師」の100本目は、村上豊さんとの絵物語に。美しい文と絵でぜひお楽しみ下さい。

感想・レビュー・書評

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  • 『陰陽師』シリーズ最新作。本作は記念すべき100作目でもあるらしい。
    絵物語として出る単行本は、村上豊氏の絵も魅力。味のある線と落ち着いた色使いは『陰陽師』の世界にぴったりで、これ以上の組み合わせは最早考えつかない……。

  • 図書館で、手に取った本である。
    読み始めて、芥川龍之介の「鼻」のイメージと重なってしまった。

    表紙の村上豊氏の独特な画風が、好きである。
    裏表紙の女の子の童も愛らしい。

    表だけで無く、この陰陽師の話、100話とか……
    道理で、百のつく言葉が多い。

    善智内供の長い鼻から 99匹の虫。
    100匹に後1匹は???
    最後に、7年前の話に、……無子訶も、元の場所に。

    あとがきを読みながら、村上豊氏の筆さばきもさることながら、30年の歳月をかけて、100プラス2冊書ける夢枕獏氏も凄い!と思いながら、本を閉じた。

    まだまだ、200冊まで、書いて欲しいと、願っている。

  • (Ⅰ)贅沢でゆったり心地よくなれる本です。
    (Ⅱ)大きすぎる鼻で困っている善智内供のところに蘆屋道満が来て治してくれると言う。折しも琵琶の名器牧場がなぜか鳴らなくなっており博雅が演奏することになった。
    (Ⅲ)桜が咲く頃に読んだらさらに心地よくなるかもしれまへんね。

    ================================

    ■安倍晴明と源博雅についての簡単な単語集

    【蘆屋道満/あしやどうまん】法師陰陽師。安倍晴明のライバル的存在ではある。敵対することはあるが当人たちは特に敵視してないと思われる。
    【安倍晴明/あべのせいめい】主人公の陰陽師。
    【ガネーシャ】シヴァ神(大黒天)とパールヴァティー(烏摩妃:うまひ)の間に生まれた。
    【賀茂忠行/かものただゆき】陰陽師。安倍晴明の師。
    【玄象/げんじょう】琵琶の名器。羅城門の鬼に盗まれたのを晴明と博雅が取り戻したことがある。
    【善智内供/ぜんちないぐ】妙法寺の鼻の長い上人。前は神護寺(じんごじ)にいた。芥川龍之介の「鼻」の主人公と同一人物かな。
    【秘曲】琵琶の秘曲に「流泉」「啄木」「楊真操」などがある。
    【藤原兼家/ふじわらのかねいえ】摂政。
    【藤原貞敏/ふじわらのさだとし】遣唐使。琵琶の玄象、青山(せいざん)とともに幾つもの秘曲を持ち帰った。
    【藤原妙瑞/ふじわらのみょうずい】雅楽寮のトップ雅楽頭(うたのかみ)。楽器の名手。
    【牧場/ぼくば】玄象と並ぶ琵琶の名器。牧場が描かれているのでこの名がついた。
    【帝】この国のトップ。安倍晴明と賀茂忠行と蘆屋道満の三人は「あの男」呼ばわりして他者を慌てさせることがある。
    【右姫/みぎひめ】蘆屋道満が連れていた女童。人間ではなさそうだ…平将門の右手で今は道満が式として使っているらしい。
    【密虫/みつむし】安倍晴明の式。
    【蜜魚/みつを】安倍晴明の式。
    【源博雅/みなもとのひろまさ】もう一人の主人公。善人で懐の深い大人物だと思う。ある意味晴明よりも。
    【無子訶/むしか】妖魔。鼠の姿。琵琶の牧場に憑いていた。ガネーシャ(象鼻天:ぞうびてん)の乗り物。
    【楊真操/ようしんそう】藤原貞敏が唐から持ち帰った琵琶の秘曲。今弾けるのは博雅か蝉丸法師くらい。

  •  『陰陽師』シリーズ特別編。100話目に当たる。

     『今昔物語』や『宇治拾遺物語』で登場する池尾の善智(善珍とも)内供に絡めて夢枕氏が創作した話。と言っても芥川の『鼻』とは違い、中心になるのは道満と晴明。歓喜天や法要等をうまく使ったストーリー展開はさすがのひとことだ。

     ただ、心情的には善智内供をもう少し動かして欲しかったと思う。ページ数の関係で仕方ない面もあるのだろうが、芥川ファンとしてはやや物足りない気がした。

  • インパクトのある話ではない、と思いました

  • 絵本の陰陽師シリーズ。鼻から出てきた虫は99匹。聖天も象だから鼻が長い。鼻ずくし。聖典の絵がかわいくていい感じ。

  • 村上豊さんの絵がほっこりできる『陰陽師』の絵物語シリーズ第4弾。

    芥川龍之介さんも『鼻』で取り上げた今昔物語および宇治拾遺物語の鼻の長い宇治の内供さんのネタと、降三世明王さんに年中踏まれているシヴァ神さんとその奥さんを憐れんだ息子のガネーシャさんのお話が繰り広げられていました。

    とってもシンプルで読みやすいお話だったよ。
    こういうシンプルさも夢枕版『陰陽師』の良いところだよね!

    ちなみにこの作品が『陰陽師』シリーズの記念すべき百作品めなんだそうです。

    しかし、夢枕陰陽師の世界は桜の季節が似合うなぁ♪

  • 夢枕貘の「陰陽師」シリーズの100本目の作品。

    宇治の妙法寺の僧、善智の鼻が長くて困っている。薬や陰陽師に頼んでも短くならなくて諦めていた。そんな時、ぼろぼろの衣服を纏った法師陰陽師の蘆屋道満が女童を伴ってやってくる。そして女童が善智の鼻を吸うと、99の虫のようなものが出てきて、鼻は短くなった。

    一方、安倍清明と源博雅は、帝に呼ばれていた。牧馬と言う琵琶の名器が鳴らないので呼ばれたのだ。

    一見、無関係な様に見える、二つの話が百で繋がって行く。
    シリーズ1本目の、玄象という琵琶ーと呼応している。
    文章は読み易く、絵も美しい。長文が苦手な中学生に、もちろん大人にもオススメ。

  • 2017.05.24.読了

    久しぶりに読んだ陰陽師。
    晴明はもちろん好きだけど
    博雅が好き。
    息子だったら 博雅 と名付けたかったなぁ

    桜の花の描写が本当に良い。
    私もこの人たちと共に桜の下
    蜜虫にお酌してもらいながら
    過ごしたい

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著者プロフィール

1951年、神奈川県出身。第10回日本SF大賞、第21回星雲賞(日本長編部門)、第11回柴田錬三郎賞、第46回吉川英治賞など格調高い文芸賞を多数受賞。主な著作として『陰陽師』『闇狩り師』『餓狼伝』などのシリーズがあり、圧倒的人気を博す。

「2016年 『陰陽師―瀧夜叉姫― ⑧』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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