超一流になるのは才能か努力か?

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163904955

感想・レビュー・書評

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  • 才能は生まれ持ったものであり、努力しても到達できない領域である。という考え方はかなり広く深く浸透している。
    しかし著者の研究では、スポーツや芸術をはじめ様々な世界で活躍している人を調査した結果下記2点から、生まれ持った才能(傑出した能力を持つ人というのは生まれつきの才能に恵まれた一部の人間の特権)と言うのはなく「人間の脳と身体に備わる適応性」を利用した限界的練習と定義したトレーニングの成果だと結論を出している。
    第一に、傑出した能力を創り出す才能は実はほとんどすべての人間が持っていること。
    第二に、その才能を適切な方法で引き出せば誰もが傑出した能力を身につけられること。

    限界的練習の特徴
    ・既にほかの人にとびとによって正しいやり方が明らかにされ、効果的な訓練方法が確立された技能を伸ばすためのもの。練習のカリキュラムはえきすぱーとの能力とその開発方法に通じた教師あるいはコーチが設計し監督する
    ・学習のコンフォートゾーンの外側で、常に現在の能力をわずかに上回る課題に挑戦し続けることを求める。このために限界に近い努力が求められ、一般的に楽しくはない
    ・明確に定義された具体的な目標がある。通常は対象とする技能のいくつかの側面を向上させることを目標とし
     漫然と技能全体の向上を目指すものではない。まず全体的な目標を決めてから、教師もしくはコーチがいずれ大きな変化に繋がるような小さな変化をいつづつ達成していく計画を作成する。
    ・意識的に行う。(指示に従うだけではなく、意識的に活動に取り組むことが求められる)
    ・フィードバックと、そのフィードバックに対応した取り組み方の修正が求められる。
    ・有効な心的イメージを生み出すと同時に、それに影響を受ける。
    ・すでに習得した技能の特的の側面に集中し、それを向上させることでさらなる改善や修正を加えていく事が多い。

    つまり、限界的練習とは
    ・コンフォートゾーン(=限界)よりもすこしだけきついところまで頑張る。
    ・過去の成功者の練習技法を取り入れ、効率を上げる。
    ・何かをしようと努力し、失敗し、やり方を見直し、再度挑戦する作業を繰り返す。
    ・迅速なフィードバックを受ける

    先生がいなくても効果的に技能を高める3つのF
    ・Focus(フォーカス、集中)
    ・Feedback(フィードバック、評価)
    ・Fix(フィックス、問題を直す)

    これを聞くと「頑張れば出来る」と言う事を証明しているようで心強い気持ちになる。

    気に入った言葉
    NBAのスーパースター、レイ・アレンは、高校時代は特別目立つ選手ではなかったが、主体的に練習に取り組みやがて努力とひたむきさによって自らのジャンプシュートを生まれつき特別な才能を持ち合わせたと誰もが思うほど優雅で自然なものに磨き上げた。(P20)

    人間の潜在能力は生まれつき容量が決まっているという考え方は成り立たなくなった。
    そうではなく、潜在能力と言う水瓶は我々が人生を通じて何をするかによって形が変わり、いくらでも容量を増していく事が出来る。
    学習は自らの潜在能力を引き出す手段ではなく、むしろ新たに作り出す手段なのだ(P21)

    ただ努力するだけでは能力は向上しない。(正しい訓練を十分な期間にわたって継続する事が向上に繋がる)

    目的にある練習の4つのポイント
    ・目的のある練習には、はっきりと定義された具体的目標がある
    ・目的のある練習は集中してい行う
    ・目的のある練習にはフィードバックが不可決
    ・目的のある練習には、コンフォートゾーン(居心地の良い領域)から飛び出ることが必要

    まずは1つの分野のエキスパートになろう

    我々が子供世代に与えられる一番大切な贈り物は、自分は何度でもやり直せるという自信、そしてそれを成し遂げるためのツールである。
    若者たちは絶対に手が届かないと思っていた能力を手に入れる経験を通じて、自分の能力は自らの意のままに伸ばす事が出来る事、
    生まれつきの才能などと言う古臭い考えにとらわれる必要がない事を身をもって学ばされる必要がある。
    そして好きな道で能力を伸ばしていけるように知識とサポートを与えよう。(P335)

    鉄則1:自分の能力を少しだけ超える負荷をかけつづける
    鉄則2:「これで十分」の範囲にとどまっていると、一度身につけたスキルは落ちていく
    鉄則3:グループではなく、一人で没頭する時間を確保する
    鉄則4:自分の弱点を特定し、それを克服するための課題を徹底的に繰り返す
    鉄則5:練習を「楽しい」と感じていては、トッププレーヤーにはなれない
    鉄則6:これ以上集中できないと思った時点で練習や勉強はうちきる
    鉄則7:上達が頭打ちになったときは、取り組むメニューを少しだけ変えてみる
    鉄則8:即座にフィードバックを得ることで、学習の速度は劇的に上がる
    鉄則9:オンの時間とオフの時間をはっきり分け、一日のスケジュールを組む
    鉄則10:どんな能力も生まれつきの才能ではなく、学習の質と量で決まる

  • どう努力すればいいのか、才能か、努力か、いろんなケースを上げて書かれてあり、示唆に富む内容となっている。
    すべてのことに当てはめていけそうな気がする。
    ☆限界的練習
    1.目的のある練習には、はっきりと定義された具体的目標がある。
    2.目的のある練習は集中して行う。
    3.目的のある練習にはフィードバックが不可欠。
    4.目的のある練習には、既に楽にできることを超えて努力することが必要。

  • 非常に刺激的でおもしろい。
    適切で負荷をかけた練習は、才能を超えるという内容だが、
    まず話がとても具体的。
    さまざまな事例を交えながら、どのような練習が「適切か」ということまで触れている。
    そして、スポーツや音楽だけでなく
    ビジネスマンなどにも参考になる事例を挙げていたり、
    つらい練習を続ける意識の持ち方にまで触れていたりと、
    本当にかゆいところまで手が届く内容。

    日常の仕事でも趣味でも、ただこなすのではなく、
    「これは何の練習か」「どのような技術を磨くものか」ということを意識し、
    自らの限界値を超えるよう負荷をかけていくと、
    その後の成長度合いがかなり違ってくるかもしれない。
    モチベーションが上がり、勇気が湧いてくるすばらしい本。

  • グラッドウェルの「一万時間の法則」で有名になったエリクソンらによるエキスパートの教育論。

    「一万時間」はあまりに単純化しすぎ、とやや批判的にコメントしているが、一流になるためにはそのぐらいの練習が必須であるという点ではかわらない。
    特定の資質(チェスであればIQなど)を持ち合わせている人は学び始めのころは有利かもしれないが、時間がたつにつれてその影響は小さくなり、最終的には練習の量と質によって決まる。

    芸術や運動など、天賦の才と考えられていることのほとんどは限界的練習という目的を持った練習によって身につけられる

    マラソンの記録が100年で30%短くなったのは、長距離走の才能を持った人が多くなったためではなく、練習に費やす時間が伸び、訓練技術も向上したことによる。

    絶対音感を持つ者は一万人に一人とされており、これまでの調査が示すところによると、ほぼ例外なく3−5歳の時に音楽教育を受けている。また、声調言語を放す人の間では絶対音感の出現率が高くなる。これらの結果からはもともと才能のある子どもにこれらの条件が加わることで絶対音感の才能が芽生えると考えられてきた。しかし、心理学者の榊原彩子が2−6歳の子ども24人にトレーニングを施したところ、最長で一年半かかったものの全員が絶対音感を身につけた。

    一般的には練習によってスキルが上達し、何かが「許容できる」パフォーマンスレベルに達して自然にできるようになってしまうと、そこから「練習」を続けても向上にはつながらない。コンフォートゾーンを出て、新しいことに新しい角度から挑戦する必要がある。教師やコーチの存在意義はここにある。

    限界的練習では常に現在の能力をわずかに上回る課題に挑戦し続ける必要があり、限界に近い努力が求められるために楽しくはない。それは明確に定義された具体的目標があり、小さな変化を1つずつ達成していく。フィードバックと、そのフィードバックに対応して取り組み方を修正することが必要になる。フィードバックの大半は教師やコーチが提供する。

  • 【自分の能力より少し負荷をかける。それが、秘訣。】チェスプレイヤー、バイオリニスト、数学者、テニスプレイヤー。30年以上にわたる著者の研究から見えてきた「超一流」への条件。

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