AI経営で会社は甦る

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163906249

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  • 「GとL」という形でグローバリゼーションとローカライゼーションを、競争ルールや戦い方が全く異なる社会であるということを明示して見せた著者が、AI・IoT・ビッグデータ時代における日本の競争戦略についての考えを示した一冊。

    私なりに要約すると、著者の主張は以下のようになっていると思われる。

    ・これまでのデジタル革命(Digitalization)は、垂直統合から水平分業への産業構造のシフトにより、顧客フロントを握ったPFer(Google、Apple等)や、標準化/デファクト化されたキーコンポーネントを持つ企業(Intel、Qualcomm)といった一部の水平レイヤーに大きな収益が集中する格差を生み出した。具体的には「第1期:コンピュータ業界(IBMからウィンテル)」や「第2期:BtoCのエレクトロニクス/情報通信・メディア業界」が該当する
    ・来るべきデジタル革命の第3期は、これまでとは異なり、「リアル」で「シリアス」な世界、つまり自動車や医療、重電のような業界が対象となる。これらの業界の特徴は人々の生命や安全に直結する業界が多く、かつソフトとハードをすり合わせる必要があり、ハードの運用保守も必要になるなど、第2期におけるtoC事業を主体するweb系企業がそのままでは参入しにくい特徴を持つ
    ・むしろtoC主体の第2期では負けたものの、自動車・製造業など「リアル」で「シリアス」な世界に強い日本にとって、第3期は十分主役に躍り出れるポテンシャルを有している。そのためには、グローバルで活躍する天才技術者を特別な人事設計の元で囲い込み、大学との産学連携で技術や人を育てるなど、これまでとは異なる競争戦略を急ぎ取るべきである

    第2期と第3期でプレーヤーの様相が変わるはず、という指摘は私としても非常に強く同意するところである。例えば、バーチャルかつtoCが主体の第2期の世界で戦ってきたDeNAは、第3期を代表する自動車産業に自動運転技術の開発という形で参入しているものの、個人的に上手くいくとは思えない。「welq」の騒動を思い起こすまでもなく、webの世界とリアルな世界ではそこで求められる安全性や信頼性が桁2つ・3つは違うという点を、彼らはどこまで真摯に考えていることか。

    最後に、タイトルは編集者が決めたのではないかと思うが、偏差値40レベルの頭の悪いタイトルであり、本書の内容と完全にずれている点が残念。

  • 後半は人材論になったが、日本企業にチャンスがあることが分かり、勇気付けられた。

  • 170403〜170416

  • 編集協力しました。

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著者プロフィール

冨山 和彦(トヤマ カズヒコ)
株式会社経営共創基盤(IGPI)グループ会長
1960年東京都生まれ。東京大学法学部卒業、スタンフォード大学経営学修士(MBA)、司法試験合格。ボストン コンサルティング グループ、コーポレイト ディレクション代表取締役を経て、2003年に産業再生機構設立時に参画し、COOに就任。2007 年の解散後、IGPIを設立。2020年10月より現職。日本共創プラットフォーム(JPiX)代表取締役社長、パナソニック社外取締役、経済同友会政策審議委員会委員長。財務省財政制度等審議会委員、内閣府税制調査会特別委員、内閣官房まち・ひと・しごと創生会議有識者、国土交通省インフラメンテナンス国民会議議長、金融庁スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議委員、経済産業省産業構造審議会新産業構造部会委員などを務める。主な著書に『なぜローカル経済から日本は甦るのか』(PHP新書)、『コロナショック・サバイバル』『コーポレート・トランスフォーメーション』(いずれも文藝春秋)などがある。

「2022年 『両利きの経営(増補改訂版)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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