跳ぶ男

著者 :
  • 文藝春秋
3.60
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163909509

作品紹介・あらすじ

藩の命運をかけ、少年は舞った。荒涼たる土地に生まれた十五歳が、芸によって摑んだ一筋の光。土地も金も水も米もない、ないない尽くしの藤戸藩に、道具役(能役者)の長男として生まれた屋島剛は、幼くして母を亡くし、嫡子としての居場処も失った。以来、三つ齢上の友・岩船保の手を借りながら独修で能に励んできたが、保が切腹を命じられた。さらに、藩主が急死し、剛が身代わりとして立てられることに、そこには、保の言葉と、藩のある事情があった――。直木賞作家の新たなる代表作!

感想・レビュー・書評

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  • 能というものを詳しくは知りません。ですが、その悠遠な世界が、一人の少年を通して迫ってくるようでした。
    怖いが、惹きつけられる。悲しいけれど、美しい話だった。
    能も観てみたいな!

  • 大名家の「能」を舞台とした時代小説。

    始めは戸惑う。とにかく能について延々と語られる。
    しかも舞う姿/謡う姿のような外見上のものでは無く、その精神世界・内面を言葉で表現しようとする。少し北方謙三に似た強く厳しい文体を使い、"軸""変われる者""能を能にしているもの"など、様々な表現で「能とは」を突き詰めて行くのだが、概念であるために(特に能に全く無知な私には)言いたい事が理解できているのか不安になる。
    先日読んだ『蜜蜂と遠雷』で恩田陸さんが音楽を言葉で表現しようとした試みを思い出す。

    主人公だけでなく端役に至るまで全ての登場人物が張り詰めている。それぞれが目指すことに真摯であり一点の緩みも無く突き進む。偏執的とさえ言える。そんな中、物語がどこに進むのか戸惑いながら読んだ最後の数10ページ、主人公が出す結論は圧巻。
    そんな真摯な人間ばかりなんて事は有り得ない。だからリアリティに欠けると言うことも出来る。しかし、そんな批判を超えて見事に物語は完成する。

    かつて葉室麟さんが作品の多くに和歌を持ち込んだことを思い出し、読みながらちょっと気になったのです。葉室麟さんの和歌は最初は特徴と言えたのですが、多作に走ってからはむしろ安易なマンネリ感の方が強かった。
    しかし、この作品の能はそれとは違うようです。執筆に2年、苦しみながら精緻に仕上げられた作品です。

  • 大名と能、能とはみたいな話、殿様の身代わりが簡単に出来ることにびっくり!また屋島剛の記憶力、体感能力にびっくり!

  • カテゴリー的には時代小説なんだろうけど
    ファンタジー的な要素もある。
    (決して否定的な意味ではなく)

    賽の河原のような野宮と
    後半の江戸城中の対比、
    能のテキストの解釈など非常に
    興味深い。
    (能を観たこともない人には理解し難い気もするけど)

    ラストは鮮やか。

    重要登場人物の名前が
    全部、能の曲名なので重要度が最初に
    分かってしまう難点もあり(笑)

  • ちゃんとした墓参りができる国を作るために、転ぶ。私にはこれくらいしか理解できなかった。難読の極みである。

  • 跳べなかった

  • 素晴らしい! 
    心情を細やかに、独特の文体で書いておきながら最後までぐいぐい持っていく力強い構成。
    前半は、貧しく頼りない剛がとんでもないことに巻き込まれて、どうなるんだろうというハラハラ感で持っていく。
    後半、能舞台に立つようになってからがとくに面白い。
    能をここまでしっかり味わえるようになりたいと真剣に思う。
    同時に、小説のストーリーと出てくる能の曲がぴちっと合っていてため息が出るほど見事。

    読んでよかった。
    青山さんの作品、もっと読みたい。

  • 「ちゃんと墓参りができる国にしたい」との思いで
    藩主の身代わりを務める剛。

    内容が能なので、わかりにくかった。

  • 題材がシブい。
    男の友情に殉じる藩主の生き様。
    ラストもまた格好いい。

  • 何かの書評で絶賛されてたのに、まったく内容に関して忘れて読み始めたら、まさかの時代物。そしてまさかの能の話。そして、まさかの涙。退屈だと思ってた能を改めて見たくなりました。

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著者プロフィール

作家

「2022年 『ベスト・エッセイ2022』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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