- Amazon.co.jp ・本 (469ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163915180
作品紹介・あらすじ
戦後ハリウッドの映画界でもがき、爪痕を残そうと奮闘した特殊造形師・マチルダ。
脚光を浴びながら、自身の才能を信じ切れず葛藤する、現代ロンドンのCGクリエイター・ヴィヴィアン。
CGの嵐が吹き荒れるなか、映画に魅せられた2人の魂が、時を越えて共鳴する。
特殊効果の“魔法”によって、“夢”を生み出すことに人生を賭した2人の女性クリエイター。その愛と真実の物語。
感想・レビュー・書評
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特殊効果を思考錯誤しながら開発していた時代からCGへ。アナログからデジタルへと発展していった映画の世界を舞台に80年代の特殊造形師のマチルダとその30年後のCGアニメーター、ヴィヴィアンの活躍がそれぞれ描かれる。現実の映画や監督達の名が次々挙がっていて嬉しい。幼い頃に見た黒い犬の怪物に魅せられ、女だてらにハリウッドでの特殊造形師の道に進んだマチルダ。アニメーターとして天性の目を持ち、ロンドンのスタジオで仲間達と日々充実した日々を送るヴィヴ。二人が生き生きと描かれているので腕は評価されているのに個人名が出ない悔しさや、高評価に萎縮したりといった苦悩、新しい技術に慄いたり、新しい技術が世間に貶されたりといった感情のうねりが真に迫ってくる。マチルダ章が時代とはいえ色々じめじめしていたのでヴィヴ章になり二人が怪物“X”が橋渡しとなって交錯していく展開のスピード感や、素敵なラストはとても心地良かった。
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面白かった。初読作家。結構読みやすかった。ざっくり言うと特撮とCGの映画世界で活躍する2人の女性のバイオ風話。つながりのある二部構成で、前半が特殊造形、後半がCG、実在人物のバイオ小説風に実在作品も詳しく描かれていて、本当にメイン人物たちが実在するような楽しい錯覚を抱かせてくれる。前半の造形師マチルダは私の親世代、後半のCGアニメーターヴィヴは私の子世代で、登場する映画はほとんどがリアタイで鑑賞しているが、実際に映画館での公開時に見て、虜になっていたのがスターウォーズ、道との遭遇、ET。邦画だとゴジラのメカゴジラぐらいから記憶があるり、非常に興味のある分野なので、ある程度の基礎知識があることで、さくっと読めたが、SFX映画に興味のない、蘊蓄型の小説が苦手な人には少々しんどい作品でもあんではないかとは思う。無駄な恋愛沙汰とかしょうもないドラマはほぼないのが、非常に読みやすい(主観)。が、主役のマチルダとヴィヴのナイーブさが、天才的な”女性”のクリエイター的というか、ステレオタイプぽくてちょっと、まあ、めんどくさい感じ。あと、ファンがかなりエキセントリックというか、偏った感じに描かれている。私自身はどんなんでも良質SFXは全て好物なので、そこまで意固地になるかな?的なゴリゴリのファンにはいまいち共感できないが、そう言う人ほど、やたらとSNSで大騒ぎするからねぇ。まあ、どこの世界も偏った人というのは居るものだとは思うし、小説にしたらそういうのも入れたほうがええんかとは思う。まあ、色々と突っ込みどころはあったが、軽くて面白い、後味のいい作品。
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文藝春秋|雑誌|別冊文藝春秋_1609
https://www.bunshun.co.jp/mag/bessatsu/bessatsu325.htm
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スタッフロール 深緑 野分(著/文) - 文藝春秋 | 版元ドットコム
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784163915180-
『スタッフロール』深緑野分著(文芸春秋) 1870円 : 読売新聞オンライン
https://www.yomiuri.co.jp/cultu...『スタッフロール』深緑野分著(文芸春秋) 1870円 : 読売新聞オンライン
https://www.yomiuri.co.jp/culture/book/review/20220607-OYT8T50021/2022/06/10 -
【書評】『スタッフロール』深緑野分(ふかみどり・のわき)著 映画をつくる魔法と科学 - 産経ニュース
https://www.sankei....【書評】『スタッフロール』深緑野分(ふかみどり・のわき)著 映画をつくる魔法と科学 - 産経ニュース
https://www.sankei.com/article/20220612-FDYBFCADK5PIRND4DECCDREFS4/2022/06/13 -
「スタッフロール」書評 映画愛する者たちの哀歓が暴発|好書好日
https://book.asahi.com/article/1464225...「スタッフロール」書評 映画愛する者たちの哀歓が暴発|好書好日
https://book.asahi.com/article/146422552023/03/09
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書くお話がいつも海外文芸のようで、映画の様な深緑さんがついに映画の話を書いたのか…と言うのが第一印象。
自分は単純に映画が好きだから、凄いCGとかを見ると別に深いことも考えず素直に凄い!!
となるけど、映画への愛が深ければ深いほどCGに対する評価は色々とひねくれていくのだな…と思ってしまった。
一から手作りしているジオラマやクリーチャーの方が意味があった。CGはマッドサイエンティストだなどなど…
映画が好きで愛していると言う根底は同じなのにぶつかり合う。
色々な沢山の人の思いがぶつかり合うことで映画も作品として奥が深くなっていくのかも。
この本を読むと、いつも何気なく見ていた映画のスタッフロールがなんだか愛しくなってくる。 -
全470頁。それぞれが長編と言っても良さそうな2部構成の作品です。
1986年以前を描く前編は映画の特殊造形師を、2017年以降を描いた後編は3DCGのアニメーター(動きをつける人)の二人の女性が主人公。どちらもかなりの能力を持っているものの自信がなく、制作陣の一員です。そうした現場でもがく主人公達の視点から垣間見られる映画製造の世界や、過去の名作/名監督の評価はなかなか面白く。後半に出てくるミステリー要素は、なかなか良いキャラが引っ掻き回して期待したのですが、竜頭蛇尾というか大山鳴動して鼠一匹の感があります。
特に後半ですが、仲間内のやり取りを専門用語で説明している所が沢山あって、読み飛ばすしかなく、それが冗長感につながっているように思います。例えば主人公の傍に業界外部の人を配置し、そこに説明する形でも取ればもう少し読みやすかったのかな~と思います。とはいえ、なかなか読み応えのある作品でした。さらに映画好きなら堪らない作品でしょうね。 -
リーダビリティの高い良作。著者の新境地では? ミステリではない。
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妥協は死くらいの覚悟で自分が信じるものや愛するものに取り組む人々の物語。
映画に限らず、音楽や文学、芸術作品を受け取る側としてこれからは製作者側の覚悟や意気込み、作品への愛情なども受け止めようと思わされました。