私たちの世代は

著者 :
  • 文藝春秋
4.27
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本棚登録 : 5535
感想 : 443
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163917276

作品紹介・あらすじ

『そして、バトンは渡された』『夜明けのすべて』の著者の書下ろし長編いまを生きる私たちの道標となる物語の誕生!「明日が怖いものではなく楽しみになったのは、あの日からだよ」今でもふと思う。あの数年はなんだったのだろうかと。不自由で息苦しかった毎日。家で過ごすことが最善だとされていたあの期間。多くの人から当たり前にあるはずのものを奪っていったであろう時代。それでも、あの日々が連れてきてくれたもの、与えてくれたものが確かにあった――。【著者より】何かと制限され思いどおりに過ごせない毎日を、大人も子どもも、誰しもが困難を抱えながら進んできたと思います。そして、これから、また違う日々に向かわないといけない中で、ほんの少しでも明るいものを差し出せる物語になれれば。そう思っています。

感想・レビュー・書評

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  • ブクログでのこの本のレビューとラムネの写真の表紙が気になり、手にとったこの作品。澄みきった2本のラムネのように、爽やかな読了感を味わうことができた。読みながら、胸に込み上げるものがあり、作品の世界に入り込んでいた。瀬尾まいこさんの作品の温もりを存分に味わえることができた。

    中心人物は、岸間冴と江崎心春、小学校3年生への進級から物語が始まる。その時代は感染症の流行が生じていた。私たちが経験した令和の時代とつながる。身近に起こった出来事なので、登場人物の世界と今の状況がつながっていった。それが、私の中で想像する物語の世界を鮮明にしていったのだろうな。物語の中で、起こっているオンライン授業や分散登校、マスクの生活、ソーシャルディスタンスは、現実の世界と重なる。その時代をどんな世代で経験したかによって、感じ方や考え方は異なるところもあるだろう。子供にとっては、どうだったのだろう。当たり前の日常が当たり前ではなかったことを味わった日々。それでも、日々を過ごしていた。

    冴と心春の置かれた状況は異なっていたが、それぞれに悩みを抱え、生活ていた。その支えは、家族であり、身近な大人であり、同級生であり、ネットでつながっている人であった。それぞれの状況は異なっているけれど、それまでとは違う日常を過ごしていた。日常の変化は、その家庭や状況によって変わっていく。そんな冴も心春も、小学校、中学校、高校、大学、就職といった時を経過していく。

    冴には、母親や街の人々、そして同級生の清塚蒼葉が大きな心の支えとなっていく。蒼葉は、過酷な家庭環境の中で生活していた。そんな蒼葉に対して、冴の母親は関わり続けていく。その関わり方は、なかなかできることではないなと思いながらも、冴の母親の抱えている体の状態が明らかになるにつれ、また胸が熱くなっていった。母親の言動から心の強さと温もりを感じた。冴にとって、身近な存在でかけがえのない存在である母親のすべてが、冴の中に生きている、そんなことを想像していた。そんな冴と蒼葉は、小学生から、ずっと互いを思い合うよい関係を続けていく。それが微笑ましく、そして、爽やかさを感じ続けて読み進めた。

    心春の支えは、家族とSNSでつながる同級生カナカナと家庭教師の樋口だった。しかし、最も身近な家族とはなかなか意思疎通が図れず、苦しい思いを抱えていた。だから、カナカナや樋口の存在は大きくなっていったのだろうな。それでも、誰かとつながっている、自分の存在を認めることができる状況は、その状況に置かれたらありがたいことだろうな。心春は、感染症による分散登校になった中で名前も分からない同級生とメモ書きをやりとりした。名前もわからないその同級生は、心春の大切な存在として、ずっと心の中に在り続けた。その同級生のことも、ラストに向かって明らかになっていく。

    それぞれの生き方で、困難な時代を過ごしてきた冴と心春は、就職の面接会場で偶然に出会う。困難な時を過ごしてきた2人は、それぞれの境遇を知らない。それでも、通じるものがあった。出会いは数多くあるだろうけど、互いにとってよい刺激となるものって、どれくらいあるのだろうかな。それは、その出会いを受け止める当事者の気持ちにも影響はあるのかもしれないな。そこからラストに向かっての展開は明るく前向きなものであり、読んでいて気持ちがよかった。そして、晴れやかで清々しい気持ちになっていった。冴と心春にとって互いの存在と、それぞれに大切な存在の人たちが、温かくかかわっていく。冴も心春も、心が晴れやかになっていってよかったな、そんな思いが膨らみながら読み終えた。

    読了後に始めのページを改めて開くと、なるほどと、このページに描かれている出来事が鮮明になった。そして改めて温かい気持ちになった。他の瀬尾まいこさんの作品を読みたくなる読了感を得た作品となった。

    • yhyby940さん
      いつも「いいね」をいただき、ありがとうございます。おもしろそうな作品ですね。読みたいと思います。
      いつも「いいね」をいただき、ありがとうございます。おもしろそうな作品ですね。読みたいと思います。
      2023/11/25
    • ヤンジュさん
      こちらこそ、ありがとうございます
      よい本に出会えたなあと思います
      こちらこそ、ありがとうございます
      よい本に出会えたなあと思います
      2023/11/25
    • yhyby940さん
      おっしゃる通りです。良い本に出会いたいものですね。本棚、参考にさせていただきます。ありがとうございます。
      おっしゃる通りです。良い本に出会いたいものですね。本棚、参考にさせていただきます。ありがとうございます。
      2023/11/25
  • 『今でもふと思う。あの数年はなんだったのだろうかと。不自由で息苦しかった毎日。多くの人から当たり前にあるはずのものを奪っていったであろう時代』。

    2020年に突如世界を襲ったコロナ禍。『レジ前は並ぶ時に距離が近くならないよう線が引かれ』、『建物に入る時には熱を測りアルコールスプレーをしなくてはいけない』、そして『マスクなしで、外に出るなんてとんでもない話』という、今まで誰も経験したことのない状況に私たちは追い込まれました。『接触を避けなくてはいけないという』日々の中に、私たちのコミュニケーションのあり方は大きな変化を余儀なくされました。

    しかし、そんなコロナ禍にあっても時間は等しく流れていきます。二度と訪れることのない日々が、外出もままならない中に無情にも過ぎ去っていく。改めて思い返しても異常としか言いようのない日常を私たちは生きていたのだと思います。

    そんなコロナ禍も2023年5月8日に感染症の扱いが見直されたことによって、私たちはようやく新たなステージへと歩み出しました。とは言え、二度と訪れることのない日々、そんな中に私たちが奪われたものが戻ってくるわけではありません。また、そんな先に始まった新しい日常はまだまだ試行錯誤を続けながらの日々であるとも言えます。それだけコロナ禍というものが私たちの生活に残した爪痕の大きさを改めて思いもします。

    さてここに、『私が小学生のころ、新しいウイルスによる感染症が大流行し、直後二、三年間は人との距離をとることや外出時はマスクをつけることが徹底された』と語る二十三歳の女性が主人公を務める物語があります。そんな女性がコロナ禍を生きた小学校三年生の時代を描くことから始まるこの作品。そんな起点から始まった物語がまさかの未来世界を描いていくこの作品。そしてそれは、『ディスタンス世代、マスク世代、家庭教育世代』と揶揄されるようになったコロナ禍に青春を生きた主人公たちが、そんな時代の中に失ったものと手にしたものの存在を感じる物語です。

    『夜の仕事って何?』という問いに『そのまんまの意味だよ…夜にしてる仕事ってこと。ビルの警備員さんとか、夜間救急病院のお医者さんとか… ママは飲食店で夜に働いてるから…れっきとした夜の仕事だね』とママに返されたのは小学校三年生の冴(さえ)。『今年の三月終わりくらいから、今までになかった感染症が流行り出し』休校となった学校でしたが、『五月の連休明けから、週に二度月曜日と木曜日だけ、クラスを半分に分けて』の登校が始まった冴は、友だちから『冴ちゃんのお家って夜の仕事だから、今たいへんよねーって』と親が話していたことを教えられます。『夜の仕事って悪いことじゃないの?』、『かっこいい仕事なの?』とママに訊く冴に『夜の仕事って、お給料がいいんだよね』、でも『感染症でここのところ、ずっと散々だけどね。お金もとほほだよ』とため息をつきます。そんなママは『もう暗くて人もいないだろうし』、『夜の散歩に行こうよ』と冴を誘いました。
    場面は変わり、『明日からこれだって』と『学校から配られたタブレットをお母さんに見せた』のは小学生三年生の心晴(こはる)。『感染症が収まるまでは授業はオンラインで登校はありません』と先生に言われて始まった新しい毎日。そして、『二週間ほど経ったころ』、『すっごくいいもの見つけた』と言うお母さんは『オンライン・イングリッシュスクール』を心晴に紹介します。『外国の人とおしゃべりできるんだよ』と言われ戸惑いながらも週二日のオンライン英会話をスタートした心晴。
    場面は再び変わり、『わたしは一年で辞めさせていただきたいと思っていますが、でも、その一年間、誰よりも働きます』と『隣の席の女』が話した内容に『やべえやつじゃん』と思うのは二十三歳の江崎。『就職面接で一年で辞める宣言をするなんて、まぬけが過ぎる』と思う中に面接官にそんな女の考え方をどう思うか尋ねられてしまいます。『いろいろな考えがあると思うので…』とライバルをフォローしてしまった江崎。『小学生のころ、新しいウイルスによる感染症が大流行し』たことで、『マスク世代』と言われる江崎は、自分たちの年代の人間が『人との距離の取りかたが下手だと』言われていることに辟易しています。面接終了後、話しかけてきた女を振り切って場を後にした江崎。
    場面は三度変わり、『お疲れ…』とハイボールを掲げる蒼葉に『ありがとう』と礼を言うのは二十三歳の岸間。『面接の手ごたえは』と訊かれ『一年で辞めるって言っちゃったから、それがどう思われるかだけど』、『採用人数は十人って多めだし、いけそうな気もする』と面接の様子を説明し、『蒼葉は?新しい仕事とか、探さないの?』と逆に問いかけます。それに、『無理でしょ。俺、中卒だしさ』と返す蒼葉を見て、『俺は大事なものも未来も何にもないから、何でもできるよ』と語った中学時代の蒼葉のことを思い出します。『今となっては』『昔のこととなった』感染症が猛威を振るった過去を思い出す岸間(きしま)。
    小学校三年生の時に突如始まったコロナ禍の先の青春を駆け抜けていく冴と心晴の十五年の物語が描かれていきます。

    “2023年7月24日に刊行された瀬尾まいこさんの最新作であるこの作品。”発売日に新作を一気読みして長文レビューを書こう!キャンペーン”を勝手に展開している私は、凪良ゆうさん、辻村深月さん、そして寺地はるなさん…と、私に深い感動を与えてくださる作家さんの新作を発売日に一気読みするということを積極的に行ってきました。そんなキャンペーンの強化月間(笑)として、今月は、津村記久子さん「うどん陣営の受難」、藤岡陽子さん「リラの花咲くけものみち」とすでに二つの作品を発売日に一気読みしてきました。そして、私が自らの読書&レビューの最初期から愛読してきた瀬尾まいこさんの新作が刊行される情報を得て、今回、発売日早々にそんな物語を手にし、今月三作目の一気読みとなりました。

    そんなこの作品の内容紹介には、少し抽象的な書き方でこんなことが記されています。

    “今でもふと思う。あの数年はなんだったのだろうかと。不自由で息苦しかった毎日。家で過ごすことが最善だとされていたあの期間。多くの人から当たり前にあるはずのものを奪っていったであろう時代。それでも、あの日々が連れてきてくれたもの、与えてくれたものが確かにあった ー”。

    “あの数年はなんだったのだろうか”と問いかけるそんな言葉にあなたは何を思い浮かべるでしょう?はい、そうです。この作品は2020年に突如この国をも襲ったコロナ禍を描いていきます。(※ 本文中には”コロナ禍”、”covid-19”といった表記は一切登場しません)。私たちの日々の生活のあり方を大きく変え、人によっては生活の糧をも奪ったコロナ禍は小説家のみなさんからしても注目すべきテーマなのだと思います。彩瀬まるさん「新しい星」、窪美澄さん「夜に星を放つ」、そして寺地はるなさん「川のほとりに立つ者は」など、近年発売になった話題作の数々はコロナ禍を作品の背景に描いています。しかし、それらの作品と瀬尾さんのこの作品は考え方が根本的に異なります。それは、上記で例に挙げた作品がコロナ禍の今を描く内容なのに対して、この瀬尾さんの作品はコロナ禍の今を描くだけでなく、次のような記述から始まる物語が並行して描かれているからです。

    『私が小学生のころ、新しいウイルスによる感染症が大流行し、直後二、三年間は人との距離をとることや外出時はマスクをつけることが徹底された』。

    えっ?と思われた方、そうです。この作品はコロナ禍を『私が小学生のころ…』と過去に見るアフターコロナの未来が描かれた物語、”SF!”な未来が描かれていく物語なのです!瀬尾さんの”SF!”という衝撃に目が点になられた方、落ち着いてください(笑)。確かに上記文面からこの作品が未来をも描いた作品であることに間違いはありませんが、そこに描かれるのは、いわゆる”SF!”ではありません。瀬尾さんが描かれようとされるのは、コロナ禍の時代を振り返る中に、コロナ禍とは何だったのだろうか、それによって何が変化したのだろうか、そんな物語が描かれていくのです。これは、とても新鮮です。”コロナ禍”を描いた物語も流石に飽きがきつつある中に、この作品の視点はとても新鮮です。

    では、まずはコロナ禍を描いた箇所から見ていきたいと思います。コロナ禍の描写と言えば『マスク』ははずせません(笑)が、この作品が描くのは、単に『マスク』が必須の日常ではなく、その視点は瀬尾さんらしさに満ち溢れたものです。それこそが小学校三年生の主人公の目に映るコロナ禍です。

    『三年生に進級したとたん学校は休校になった。それが、五月の連休明けから、週に二度月曜日と木曜日だけ、クラスを半分に分けて、午前か午後かの一時間マスクをつけて登校している』。
    →政府の方針により2020年春に突如学校が一斉に休校になったのは衝撃的でした。『クラスを半分に分けて…』という展開も今となってはそんなこともあったなあという感じですが、瀬尾さんは小学校三年生の主人公視点でこの国の混乱した状況を描いていきます。

    『学校に行っても、席は間隔をとられ、両隣や前後は誰も座っていないし、おしゃべりは禁止』

    『そもそも、わたしたち子どもが一日中何もしゃべらずにいられるわけがない。登下校の時もマスクをしてお友達と一メートル以上離れて歩きなさいと言われているのに、最近は大きな声でしゃべる子たちもいる。わたしも友達と一メートル空けてなんて歩いていない』。
    → 当初は正体不明の感染症というコロナ禍の始まりでしたが、やがて『亡くなるのはほとんどが高齢者』という情報が多くなるにつれ、子どもたちの『恐怖心は薄れはじめていた』という変化が描かれていきます。コロナ禍なんて辟易という方にも、この瀬尾さんならではの子ども視点での描写はとても新鮮なものがあると思います。その極みが『オンライン授業』を描いた場面です。

    ・『先生やクラスのみんなの顔が、小さくてはっきりとはわからないけどたまに映って、画面越しでも見えるとわくわくした』

    ・『普段の教室とは違って、怒られることはないし、授業はスムーズだ。映るのはほぼ黒板でおもしろみはないけど、こっそり水を飲んだりあくびをしたりもできる』。

    『最初は早く学校に行きたいとうずうずしていたけど、一週間も経たないうちに、これが今の私にとっての学校なんだなと諦められるようにもなってきた』。
    → 会社員の方にはリモートワークを経験された方も多いと思います。大学でも『オンライン授業』が盛んに行われていました。しかし、小学生がそんな『オンライン授業』をどう見ていたのか、どう見えていたのかというこの作品の描写はとても新鮮です。子どもたちの目から見たコロナ禍を感じることができるこの作品、コロナ禍のあの時代の大切な記録として、そんな時代を子どもたちがどんな風に見ていたのかを振り返る意味でも一読する価値のある作品だと思いました。

    そして、この作品の最大の特徴が、上記もした通り、コロナ禍の先の未来を生きる主人公の姿が描かれているところです。上記した通り、『私が小学生のころ、新しいウイルスによる感染症が大流行し…』と、そこには、2020年から始まったコロナ禍を生き、止まることなく大人の階段を上がっていく主人公の姿が描かれていきます。物語は、小学校三年生から成長していく主人公たちの姿と、大人の今を生きる主人公たちの姿が交互に描かれていきます。小学校三年生、つまり8歳の時にコロナ禍がスタートし、アフターコロナの23歳の大人になった二人を見る未来世界は2035年になっています。これは改めてすごいです。瀬尾さんが描く”SF!”、想像するだけで興奮する気持ちを抑えられなくなります(笑)が、残念ながら?そこにはスマホの未来の形が描かれているわけでも、山手線がリニアモーターカーになっているわけでも、そして人類が火星を歩いている姿が描かれるわけでもなく、今と何も変わらない日常が描かれていきます。そうです。この作品は、内容紹介後半にある通り、”あの日々が連れてきてくれたもの、与えてくれたものが確かにあった”というコロナ禍を経たことによって私たちが手にしたものを見る視点です。しかし、2035年の未来から過去を振り返ることのできる物語の設定は、とても興味深い考え方を見せてくれます。

    『特にウイルスが何かわからなかった最初のころはひどいもので、学校へも通えず、不要不急の外出は禁止だった。その後、少しずつ緩んでは来たが、完全にマスクなしの生活になるのに五年以上かかったし、学校の活動や行事はなくなったり簡素化されたりした』。

    こんな風にコロナ禍を振り返る記述を読むのはとても新鮮です。このレビューを書いている2023年7月時点では、街中でマスクをされている方をまだまだ数多く見かけます。瀬尾さんは『完全にマスクなしの生活になるのに五年以上かかった』と、この状況がまだまだ継続することを”予言”されているとも言えます。そして、『今となっては、感染症は昔のこととなった』というこの未来視点の物語では、コロナ禍に育った子どもたちがこんな風に見られているということにも触れられます。

    『ディスタンス世代、マスク世代、家庭教育世代』。
    → 『人との距離の取りかたが下手だとか、積極的に人とかかわろうとしないだとか評される』

    コロナ禍を生きた子どもたちが大人になってこんな風に言われるようになるのか?これ以上詳細に触れることは避けたいと思いますが、これから読まれる方には、このアフターコロナの結果論を描く物語に、是非期待いただきたいと思います。

    そんな物語の主人公は、冴と心晴という二人の小学校三年生です。『ついこの前まで、みんなで騒いで、教室の中でだって走り回っていたのに、突然こんなことになるなんて驚きだった』と『がらりと変わった日常に』戸惑う冴と心晴は、コロナ禍の中に小学校、中学校と大人への階段を上がっていきます。私たちはまだそんなコロナ禍をリアルに記憶していると思います。

    『今までになかった感染症が流行り出した。とんでもない感染力の上に治療法がないとかで、人と接したり話したりするのはなるべく避けないといけないらしい』。

    2020年4月には街から人が消え…と何かとんでもなく恐ろしいものが襲いかかってくるような、そんな思いの中に家に閉じこもっていた日々。外出することが憚られ、人と面と向かって話をすること自体が危険な行為と擦り込まれていったあの時代に感じた恐怖感は今までの人生で誰も経験したことがなかったものだと思います。しかし、私たち大人がそんな風に思うのであれば、大人を見る子どもたちの戸惑いはそんな次元をはるかに超えたものだったはずです。コロナ禍を描いた作品は上記した通り他にも多々あります。しかし、この作品の特徴は、小学校三年生という幼き視点に目を移して描かれたものであるということです。しかも、元教師としての経験もおありで、子ども目線で物語を描くことに定評のある瀬尾さんが描くその視点はコロナ禍によって子どもたちがどのような体験をしたのか、どのような苦難を味わったのか、そして何をそこに見たのか、そういったコロナ禍ならではの側面を鮮やかに描いていきます。

    『家で過ごすことが最善とされていたあの期間が私に与えたものは何だろう。私から奪ったものは何だろう』。

    物語では、冴と心晴がコロナ禍で被った事ごと、コロナ禍がなければこのようには展開しなかったであろう、コロナ禍によって捻じ曲げられた結果論の人生が描かれていきます。

    『私には希望も夢もない。将来の展望もない。なりたいものどころか、やってみたいことすらない。大学を出て大人と言われる年になった自分を想像しても、どこもわくわくしなかった』。

    そんな物語の中で、瀬尾さんが注目されるのが、変化してしまった未来の中に、一方で主人公たちが得たものです。『小学校三年生からの十五年間』、思いもしなかった人生の変化の中で、だからこそ、そこに出会えた人がいる。あたたかく見守り、手を差し伸べてくれた人たちがいる。そして、そんな先にも確かに続いていく未来がある。そう、この作品には苦難の時代にこそ感じる人の優しさと、人と人とのかけがえのない繋がりに光を当てる物語が描かれていたのだと思いました。

    『今でもふと思う。あの数年はなんだったのだろうかと。不自由で息苦しかった毎日。多くの人から当たり前にあるはずのものを奪っていったであろう時代』。

    『今までになかった感染症が流行り出した』という先に主人公二人の十五年の青春が描かれたこの作品。そこには、『がらりと変わった日常』に戸惑いつつも、新しい日常の中で悩み苦しみながらも一日一日を大切に生きていく二人の姿が描かれていました。いつもの”瀬尾まいこワールド”な物語とは一味違う新鮮さに満ち溢れたこの作品。小学生視点で描かれるコロナ禍の丁寧な描写の中に、アフターコロナを歩み出した私たちがこの先大切にすべきことを教えてもくれるこの作品。

    コロナ禍を真正面から見据えて描かれた物語の中に、さまざまな気づきを与えてくれる素晴らしい作品でした。

    • みきっちさん
      私も読んでみたいです^^
      私も読んでみたいです^^
      2023/07/29
    • さてさてさん
      みきっちさん、こんにちは!
      この作品とってもおすすめです。是非、新鮮なうちに手にしていただければと思います。
      今後ともよろしくお願いします!
      みきっちさん、こんにちは!
      この作品とってもおすすめです。是非、新鮮なうちに手にしていただければと思います。
      今後ともよろしくお願いします!
      2023/07/29
  • 相変わらず瀬尾さんの文章は温かい。その上、内容に重みもあるため、読み終えたときにしっかりとしたものが残り、不思議な感覚になる。
    心に響いたのは、蒼葉が冴をかばうシーン。ひどい境遇にも関わらず、ひとの為に気持ちを爆発させる蒼葉の行動に、なんとも言えない気持ちになった。ほかにも、皆でチョコレートを食べるところなど、心に残るシーンは多くあった。
    これまで、あまり本文引用することはなかったが、
    P158「子どもって自分が育ちたいように育って、必ず親を超えていくんだね」
    という冴の母親の台詞に、子を持つ親として、育児真っ最中の親として、深さを感じる。
    いつまでも手を差し伸べたくなるが、親の想像以上に子どもはたくましく育っていくもの。
    そんなことを教えられた気がする。

  • これは⭐︎5ですよ!素晴らしかったです!個人的には今年度イチ!
    様々な繋がりによる、喜怒哀楽、痛み、苦しみをふんだんに作品に詰め込んで、最後には気持ちよく解放してくれる。アフターコロナストーリーはありきたりかなと思いながら読み進めていたが、中盤からの空気の変わりようにはちょっとビックリしてしまった。涙腺の弱い私は、ちょっと思い返しただけでも泣けてきちゃう。
    手元に置いておいて、また読み返したい、オススメしたいと思える本です。

    • スツールで読む本さん
      ずっと買うか迷っていたので、感想を読んで決めました。買います。そして読みます。
      ずっと買うか迷っていたので、感想を読んで決めました。買います。そして読みます。
      2023/11/19
    • にゃごさんさん
      スツールで読む本さん
      コメントありがとうございます!
      是非、読んでみて下さい!感想を楽しみにしてます♪
      スツールで読む本さん
      コメントありがとうございます!
      是非、読んでみて下さい!感想を楽しみにしてます♪
      2023/11/19
  • 緊急事態宣言、一斉休校…ありましたね。
    我が子もずーっと家にいましたよ。
    あまりにも運動量が少なすぎて、ちょっと遠いお店まで一緒に歩いて買い物に行ったりしたものです。
    そして、あまりにもやることが無さすぎて、「本を読め!」と半ば強制的に図書館から本をどっさり借りてきて読ませていたな。そのうち図書館も閉鎖になってしまい、ブック○フで大量にネット注文したな。「どうせなら感想を書け!」とブクログに感想を書かせ、ついでに私も…と私の方がブクログにハマっていったあの日々…

    そんなことを思い出しながらの読書になりました。
    瀬尾さんの描く親子愛にはいつもほっこりします。今作の冴と母のやり取り、ステキです。本来なら深刻になりそうな話を冴の母の言葉選びで、何とも楽しそうな話にすり替わります。それを素直に受け止める冴もまたステキです。それがみんなに「育ちがいい感じ」がすると言われる所以でしょうね。

    冴と小晴。
    一斉休校の時の出来事で、その後の生活や考え方に大きな影響を受けた二人。小学生だった二人がどんな大人になっていくのか、という物語でした。
    制限された学生生活の中では本来経験できることが未経験のまま終わるということが実際にたくさんありました。本当に本当に気の毒だな、と思います。
    でもその中で、失うものばかりではなく手に入れたものもある、と本作は教えてくれます。
    明るく爽やかな作品でした。
    瀬尾まいこさんの本は笑顔になれます(о´∀`о)

    • ちゃたさん
      こっとんさん、こんばんは。

      ちゃたと申します。いつもレビュー楽しく拝見させていただきます。瀬尾さんの手にかかると一斉休校の日々さえ明るさを...
      こっとんさん、こんばんは。

      ちゃたと申します。いつもレビュー楽しく拝見させていただきます。瀬尾さんの手にかかると一斉休校の日々さえ明るさを感じさせてくれますね。
      我が家でも娘がめちゃくちゃ読書に浸ってました。また、田舎ですので、川や海いろいろ行ってました。そんなことを思い出しました(^o^)
      2023/12/06
    • こっとんさん
      ちゃたさん、こんばんは♪
      こちらこそいつもありがとうございます(*^_^*)
      本当に、ちゃたさんのおっしゃる通り、瀬尾さんの手にかかると、ど...
      ちゃたさん、こんばんは♪
      こちらこそいつもありがとうございます(*^_^*)
      本当に、ちゃたさんのおっしゃる通り、瀬尾さんの手にかかると、どんなことでも明るく感じられますよね!
      やっぱり楽しかったな、と思える読書がいいですよね。
      改めてちゃたさんのレビューを読ませていただいたのですが、私も我慢の連続のコロナ禍だったけれど、その中で家族との関わりも増えて、悪いことばかりではなかったことをこの作品で思い出させてもらいました。
      2023/12/06
  • /_/ 感想 _/_/_/_/_/_/ 
     
    すごい、よかったな…
    いい感じで展開していったので、とても嬉しくなりながら読み進めることができました。
    主人公の冴ちゃんが、いい子に育っていくんですよね。

    過去と未来が行き来するんですが、一方は苗字で、一方は名前なので、繋がりがわからないんですよね、それが、とてももどかしくて、そこだけ、推理小説みたいな感じでした。


    私も子どもが小学生だったので、毎日、家にこもってる子どもを連れ出して、夕方、一緒に走ってました。懐かしいです。そのとき、子どもは小4だったんですが、やはり、学校始まった時に、不登校という子がいました。それまで、普通にしていた子だったので、いろいろ考えさせられました。

    私は、仕事でほぼ毎日職場に通っていたので、あまり、生活に変化はなかったんですよね。コロナに感染することもなく、ほんと、変わったのは、子どもの学校の対応ぐらいでした。

    この作品からも、やっぱり、やりたいことを見つけて、それを仕事にして生きていかないとダメだなと、感じました。もう少し先ですが、55歳でサラリーマン辞めて、なにか、好きなことやりたいな〜と、ほんと、思ってます。


    /_/ あらすじ _/_/_/_/_/_/

    コロナが流行り出した2020年ぐらいから、2035年ぐらいまでの物語でした。コロナの時の影響を受けた子どもたちの成長のお話。






    /_/ 主な登場人物 _/_/_/_/_/_/

    ■過去
    【冴】
    岸間冴 さえ、小3〜、父死別
    岸間冴母、夜のお仕事
    石崎 ファミリーサポート、60歳くらい
    清塚蒼葉 あおば、男性、冴同級生、親はネグレクト、清塚→中田→本居と、苗字が変更

    笹森 同級生、嫌な女
    平野 

    【心晴】
    江崎心晴 こはる、父単身赴任、手紙のやり取り、小3〜
    江崎京子 心晴母、幼児教室の先生
    樋口 家庭教師、大学1年、男性
    手紙の相手 ?


    ■未来
    【冴】
    岸間冴 女性、面接で1年で辞める発言
    清塚蒼葉 あおば、男性、中卒
    吉川 ばぁちゃん

    【心晴】
    江崎心晴 女性、美人、ハル
    カナカナ

    • ゆっきーさん
      Manideさん、こんにちは!
      なんとなく気になっていた一冊でしたが、Manideさんの感想を読んで、読みたい欲が増しました(^○^)
      心動...
      Manideさん、こんにちは!
      なんとなく気になっていた一冊でしたが、Manideさんの感想を読んで、読みたい欲が増しました(^○^)
      心動かされそうな内容、楽しみです♪
      2024/02/15
    • Manideさん
      かなさん、こんにちは〜

      あったかくなってきましたね。

      そうなんですよね、下の子が小学生で、毎日、仕事から帰ってきて、夜は走ってました。ゆ...
      かなさん、こんにちは〜

      あったかくなってきましたね。

      そうなんですよね、下の子が小学生で、毎日、仕事から帰ってきて、夜は走ってました。ゆっくりなので、散歩みたいな感じで。ほんと、今となっては、よい想い出ですね。


      大きな影響を受けた子どもや、家族はいるでしょうから、ほんと、コロナを強く憎んでいる人はいますよね、きっと…
      どう捉えていくかなんですかね。
      2024/02/15
    • Manideさん
      ゆっきーさん、こんにちは。

      ちょっと、苦しい展開が続いていくシーンがありますが、その苦しさを味わいながらも、物語にひきこまれていきました。...
      ゆっきーさん、こんにちは。

      ちょっと、苦しい展開が続いていくシーンがありますが、その苦しさを味わいながらも、物語にひきこまれていきました。さっと読み終わるボリュームだったのもよかったです!!
      2024/02/15
  • コロナの影響により小学校3年生2人の少女の生き方が変わってしまいました。
    それでも、それぞれが不登校になっても、学校でいじめられても、懸命に愛情を受けながら成長していきます。
    とても素敵な物語でした。
    感動しました。読んで良かったです。
    電車の中で涙が出てしまいました。

  •  『私たちの世代は』‥助詞で終わる本書のタイトル。主語に付く助詞なので、本来その後に続く言葉に特別な意味付けをしたり、方向性をもたせたりするのでしょうが、著者の意図するところは何でしょうか。ん、『掬えば手には』もあったかー。

     物語は、ある若い女性が仕事への出がけに、ふとコロナ禍を振り返る場面から始まります。5章構成で各章の中で語り部と時間が切り替わります。小3からの女の子二人の学校生活・成長が描かれ、不思議なつながりを見せてくれます。

     ウイルスの完全終息とは言えないまでも、コロナ禍をタラレバで語ったり、いつの時代も様々な人がいるのに、「コロナ世代」だとか「Z世代」だとかの限定・断定表現したりはアホらしいですね。
     学校行事や部活の大会中止は、間違いなく若い子が失ったことの筆頭でしょう。
     ただ、忘れてならないのは、子どもたちが自分にはどうにもならないことで、忍耐や辛抱を強いられた、という事実だと思います。

     本書で瀬尾さんは、見事にこうした子どもの心情を掬い取って、丁寧に描き切っています。特筆したいのは、コロナ禍以上にその後の生活に重点を置いて描かれていることです。
     そして、子どもたちには「せっかく待ってる明日、その次、もっと先を見捨てないで!」。大人には「明日が怖いものでなく楽しみになるように、全ての子どもを取りこぼさないで!」というメッセージを、さりげなく伝えてくれている気がしました。
     私たちの未来を光で照らし、そっと背中を押してくれる温かな物語でした。

     『私たちの世代は』の後には、未来を切り拓いていく若者の得意なこと(SNSが武器、多様な想像・アイディアを膨らませる、それを共有し拡散など)をイメージしたいです。究極は、世代を超えた協働が、より良い未来を創るっていくものと信じます。

     並んだ2本のラムネ(冴と心晴だね)のビー玉がポトリと落ち、シュワーッと炭酸が陽光に弾ける涼やかな表紙写真が、爽やかな読後感にピッタリです。

  • 文句なしの星5つ


    読む手が止まらず
    あっという間に読了

    なんならすぐに
    読み返してしまうほどよかった

    いい本との出会いは
    やっぱり嬉しいですね(^^)



    コロナ禍によって影響を受けた子たちの
    その後の生き様が描かれています


    最初は色んな人の視点で描かれていて
    なかなか掴めず、
    読みにくかったところもあったんですが
    だんだん全貌が明らかになってくると
    ああこうやって繋がってくのか!と
    もう止まらなくなりました



    コロナでいろんなことを制限され
    奪われたものも多くて

    コロナがなければ…と
    タラレバ言って、後悔することもあるだろうけど
    事実は変わらない。

    それにコロナがなくても
    苦しいことや辛いことはあっただろうし

    逆にコロナがなければ
    出会えなかったもの、
    経験できなかったこともあったはず。

    そう言う気持ちにさせてくれます。




    それにしても
    瀬尾さんの話に出てくる大人は
    本当に素敵だなといつも思います!!!

    お母さんの言葉、すごく好きだなー
    母になった今、見習いたいことが
    たくさんありました


    そして大人になった彼女たちも
    とても素敵でした(^^)


    瀬尾さんは自身の経験からか
    学校の先生の話がよく出てきますよね。


    先生って激務で、その割に見返りが少ない。
    親からはクレームを言われて
    子供からは軽く見られたりして
    SNSが発展してからは
    余計に働きにくそうだな、とか

    だから今の先生は惰性で無難に
    働いているんじゃないかという
    私の勝手なイメージがあるんですが、
    (教師の皆さんごめんなさい)


    瀬尾さんの話を読むと
    先生って楽しそうだな
    大変だろうけど、
    こんなふうに子どもをかわいく思ってくれてるんだ
    こんなふうに大切に考えてくれてるんだ
    という気持ちになれます



    ああいい本と出会えてよかったです。
    図書館の予約の関係で
    辻村さんの新作とこちらと、
    コロナ禍での子供の話を続けて読みました。
    どちらも違ったテイストで
    でもどちらもとてもよかったです(^^)


    この作品がよかったなあって人は
    是非もう一回サラッとでもいいので
    読み返してほしい!
    面白さ2倍です!

  • 今年、何年ぶりかの地元の花火大会が復活しました。見ていて胸に込み上げてくるものがありました思えばみんなコロナでたくさんの苦労や我慢があったなと会場はそんな一体感がありました。
    いつかある年代は「コロナ世代」とかひとくくりの扱いになるのかもしれない。そんな中、本書は今まさに読みたい、お薦めしたい作品です。

    これはコロナ禍を経て、アフターコロナの中で自分の人生をつかんでいく冴(さえ)と心晴(こはる)の物語です。
    コロナ禍にあっては、私たち大人だけでなく子どもをめぐる様々な行事や体験が一切停止してしまいました。
    近いところで言うと、私の職場に新卒で来た子は、大学生活でとうとう学校に行く機会のないまま配属になったと言います。
    また、少なからぬ子どもたちが学校に適応できず苦労するに至りました。休みがちな子どもの中にはそのまま不登校になってしまった子もいます。
    学校にせっかく行っても、椅子から動いてはいけない。友だちとも話してはいけない。そんな毎日を子どもたちは強いられました。
    そんな中でも得られるものがある、自分の夢や目標に進むできるよと瀬尾さんが語り書けてくるようでした。瀬尾さんは小中学校のことをよくご存じで、学校のリアリティーかすごいです。我が子を思い浮かべつつドキドキしながら読み進めました。
    冴のお母さんがとにかく愛情深い人で感動したのだけれど、『私よりもっと大切なものに必ず出会える』という言葉にジーンと来ました。わが子の顔が浮かんできました。

    コロナ禍でどこもいけなかったので私は通信で習字に取り組みました。また、田舎なので蛍を見に行ったり、川遊びをしたり、海で貝殻を拾ったりと、家族の絆が深まったと思います。得られたものはこれっぽっちかもしれない。
    子どもの失われた数年はとても大きい。でも子どもってすごいから可塑性があるから、どんどん取り返していくことができるそんなことも感じます。
    まさに本作の冴と心晴のように。
    本作を読んで、そうだよそうだよ、こんな苦労があったねとかいろんな情報に一喜一憂したねとかたくさん思い出しました。でも、瀬尾さんというフィルターを通して見るととても前向きな気持ちになりました。未来はそんなに悪くないとも思えたから不思議です。この夏一番の作品でした。


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著者プロフィール

1974年大阪府生まれ。大谷女子大学文学部国文学科卒業。2001年『卵の緒』で「坊っちゃん文学賞大賞」を受賞。翌年、単行本『卵の緒』で作家デビューする。05年『幸福な食卓』で「吉川英治文学新人賞」、08年『戸村飯店 青春100連発』で「坪田譲治文学賞」、19年『そして、バトンは渡された』で「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『あと少し、もう少し』『春、戻る』『傑作はまだ』『夜明けのすべて』『その扉をたたく音』『夏の体温』等がある。

瀬尾まいこの作品

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