- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163918082
感想・レビュー・書評
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前作的な空気感を期待して読んだが、作者が違うのか?と思うほど、作風が違う。また、現代のお仕事小説的なノリでいつ、盛り上がるのか?と待っているうちに、終わってしまった。正直今作は全く響かず、良さが見つけられなかった。
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麻布競馬場さんが書く「就活」、そしてその後の人生。
前作のような展開を期待して絶対におもしろいだろうと思って読んだのだけど、文体や作風もがらっと異なるように感じられた。
平成28年、平成31年、令和4年、令和5年、時系列で綴られる四つの連作短篇から成っているのだけれど、語り手(主人公)が毎話ちがうので人生ゲーム要素を感じられなかった。
意識高い大学生集団をシニカルに描いた第一話は良かったのだけど、その後に続くだろうと思われる主題が曖昧なまま終わってしまった。ビジネスシーンのディティールばかりやたら細かく、情景描写や起承転結が圧倒的に物足りなかった……。
沼田、という癖のある男性がキーパーソンらしく共通して姿を現しているのだけど、彼の人物造形もいまいちピンとこず、ただ不気味なだけの印象に終始したのが残念。
令和の時代では、沼田のようにほどよく&要領よく手を抜きながら働くのが正解な働き方ということだろうか。それはきっとその通りなのだろうけれど。 -
元ネタがわかる露骨な描写、揶揄するために単純化された人物設定、モブの記号的な出番。
SNSで氾濫する今日的なキラキラした「正解」と、それを斜めに受け取るどちらも風刺する暗さ。 -
タイトルにひかれて購入。気付けば全部読んでしまっていました。
こういう人たち居るよねって思うところもあれば、自分はどうなんだろうって色々考えさせられました。 -
組織で「仕事」に取り組むとき。
例えば、組織に新たなメンバーを加える際。
意思決定者に承認を得ることは必須であり、その承認がどのような原則に基づくのか。
データやロジックのみで語れるものなら、承認者は不要とも言える。
そこの原則に、政治的正義、politically correctness、つまりデータでもロジックでも、本当の、正義でもないものが採用されるとき、世界は狂う。
誰か、ときの権力を掴んだもの、もの達の政治的な意図に、最大限阿ったもの、もの達が世の経済的利得、名声を獲得する。
つまり「正しさ」や「美しさ」は、政治に押し潰される。
そうして、阿り、結果して、押し潰す側となった人たちは、ただ目端が効いているだけで、阿り、世を偏らせ、住みづらいものにしていることには、無頓着だが、なかには途中から気持ち悪さに居心地の悪い思いを抱えるものも後をたたない。
「平和」や「平等」を80年以上謳歌し、混乱少なく過ごしてきた日本社会が、それゆえの歪みを抱え、軋んでいることを感じた。
沼田氏の描写は、太宰治さんの作品の登場人物を想い起こさせるものだった。
「結局そうして今も、就活で人事部に喜ばれそうな、意識の高い仲間たちと一緒に、チームワークを大事にしながら、ビジネスごっこをしているだけなんじゃないか?」
p28
「人生に対して真面目な人のほうが道徳的に優れているとか、経済的に成功に近いとか、そんなことは関係ないのだろう。むしろ自分の意思とは関係なく誰か賢い人の意見に全ベットするとか、思ってもないことを言うとか、そういうことができる器用な人のほうが、人生をうまく進められるんじゃないか。」
p40 -
沼田くんの物語。他者の視点から描かれる連作。「桐島」的?だが、個人的に「成瀬」。男性で都会的で、時は流れているが、飛んだ時間(時期)の物語も読んでみたい。震災やコロナの年に、沼田氏がどのように独創的で孤高であったか。
学生時代が一番とんがっていて、エセ社会との距離感がいい。沼田氏が時を経て、だんだん自分の主張が薄れるし、何か大きな転機もあったようだが、今作では描かれない。タイトルも不明。想起させる過去の小説タイトルはあるが、連作に「元年」はないし。
続きがありそう。タイトルが変わるかも。 -
Z世代というかもうちょい上じゃない?
それはさておき、沼田がイタいけどちょっと自分に重なる面も見えてツラい。w -
年代、環境が合いすぎてて、今読むのがベストと思いつつ自分にぐさぐさきた。