幕末下級武士のリストラ戦記 (文春新書 679)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166606795

感想・レビュー・書評

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  • 武士って大変苦しい職業だったんだなって

  • 最近は大河ドラマも幕末のものが多く、本も幕末にかなりスポットが
    あたっていてなかなか面白い物が多いが、これもそんなタイトルに
    引かれて買った一冊。
    確かにある日突然幕府が無くなったら、今で言う会社が倒産と
    言うことと同じで、かなりの多くの人々が路頭に迷ったであろう。
    そんな中でも懸命に生きて家族を支えた名もない下級武士の
    日記から普通の人達の生活がうかがえて、かなり興味深いもの
    だった。
    絵日記だったようでに本人直筆の絵も面白い!

  • 幕末から明治にかけての御家人の生きざまを御徒だった山本政恒の自分史を基にして綴る。彼の生活ぶりはよく描かれている。
    「幕臣たちの明治維新」の方がより広く対象をとらえており優れている。

  • 幕末と終戦直後は掛け値なしの激動である。その激動な世の中に翻弄される武士の一代記なんですけど。オモチロイ。
    ある日突然、失職しながらも、公務員になってみたり、商売したり、内職したりと生きる為に試行錯誤しながらも、何だか水遊びやキノコ狩りを楽しんじゃうそののんびりさ加減がとてもいい。江戸時代に一週間が位行きたいなあと思ってる僕のツボにはまりました。
    ちょっと息抜きにいい本です。この本に興味を持たれたら磯田道史著「武士の家計簿」も合わせてどうぞ。

  • 幕府御家人たる御徒として、幕府の終焉と明治維新を迎えた一人の武士の日記をもとに、その生涯を描いた一書。まさに「教科書に載らない歴史」であり、面白かった。

    とはいえ、過去の人間の生き様を、「リストラ」というような現代的な語彙を用いて現代にひきつけて考えるのにはちょっと抵抗がある。

    史料を読むとき、その読む僕らの「眼」は「現代的なバイアス」がかかってしまうことは避けえないことである。つまり、幕府が崩壊して俸給を失った武士を、「リストラ」と読み取ってしまうのは、「現代的なバイアス」である。

    しかし「現代的なバイアス」を出来る限りかけないようにして、その時代とはどのような社会だったのかということを読み取ることも、史料に対峙する際に必要なのではないだろうか。

    「現代的バイアス」で歴史を読み取ることは、過去を現代に引き寄せて理解する営みである。これはこれで必要なことだろう。ただし一方で、史料を読むということは、「現代的バイアス」から自らを解き放とうとする営みでもなければらないと思う。すなわち、ベタの視点とメタの視点の両方を、歴史は僕達に提供してくれるはずだからである。そのことを考えておかないと、歴史学は単なる懐古主義として、片付けられてしまいかねないのではないだろうか。

    ついでに言うと、扱われている史料は「日記」というより、後年の「回顧談」といったほうがよさそうなものである。後年に書いたものを、同時代的に扱っている印象は拭えない。また、「勝者の歴史」「敗者の歴史」という言い方をしたうえで、さも「勝者の歴史」によって「敗者の歴史」は「隠蔽・消去させられてしまったかのように書いているが、「敗者の歴史」もまた歴史的事実の隠蔽や消去の可能性を持っているはずである。史料として使われている「日記」が、家族や知人に向けて書かれたという意図があるなら、なおさらだろう。

    もちろん、筆者もそんなことは百も承知だろうと思うので、そのあたりの説明がもう少しあってもよかったなあ、という印象は残ってしまった。

  • ●No.27
    ●「週刊ダイヤモンド」(2009.03.07号)■ブックレビュー P.98
    〜家族のためなら何でもやるぞ。将軍の影武者・山本政恒の珍奇な生涯。巻末に「山本政恒関係年表」あり(p.193〜200)
    (幕末下級武士:山本政恒(やまもと・まさひろ)の自分史◎「幕末下級武士の生涯」(時事通信社/1985)(本書p.34参照)をもとに、  幕末から明治までの知られざる歴史を紹介。自著による挿絵あり。農業・内職(「器用貧乏」と自己分析)・役人・商人と職を
     変えながら江戸幕府瓦崩壊から明治時代を生き抜く。子供11人)
    p.17 ◎「武士道と日本型能力主義」(笠谷和比古/新潮選書)〜関連書
    p.24〜25 御家人は5年前の古々米が常食。〜関連書↓
         ◎「江戸の女の底力」(氏家幹人/世界文化社)
         ◎「御徒士物語」(最上等の米は奥女中に。以下、要職者、ずっと下がって御家人、
                  最下等は能役者(四座(観世・宝生・金春・金剛)
    p.48 ◎「幕末の毒舌家」(野口武彦/中央公論新社)〜関連書。江戸城の食事の悪さについて
                (場内の御台所:「四の間の御料理」(下級武士用)は薪代のピンハネにより調理が短時間で火が通っていない             ため美味いとは言えず、「吉田屋」(仕出し屋)から弁当をとっていた。)

    p.62 ◎「よしの冊子」(随筆百花苑 9/中央公論社)〜関連書。水練について:「御徒士」は将軍の警護職の為、水泳稽古は重視され、                              たとえ水死しても絶家にはならなかった。             
    p.65 【御無理御尤】(ごむりごもっとも)〜武家社会は先例重視。無事に勤めを果たすには、何事も古参の者の言う事を聞き、
                   万事敬うのが肝要。そうしないと職務の仕切りを教えて貰えず、とても勤めを果たす事は出来なかった)
    p.146 「鳩麦の根」:漢方薬。煎じて服すれば肺病の妙薬との記述あり。(山本政恒が肺病の次男・文次郎に飲ませている。
               一時病状好転するも全治ならず、4年後に死去)

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著者プロフィール

歴史家。1965年、千葉県生まれ。早稲田大学教育学部卒業、同大学院文学研究科博士後期課程満期退学(文学博士)。JR東日本「大人の休日倶楽部」など生涯学習講座の講師を務める。おもな著書に『江戸の間取り』『大名格差』『徳川幕府の資金繰り』『維新直後の日本』『大名廃業』(彩図社)、『15の街道からよむ日本史』(日本ビジネス文庫)、『東京・横浜 激動の幕末明治』(有隣新書)、『徳川時代の古都』(潮新書)などがある。

「2024年 『江戸時代はアンダーグラウンド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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