日本人の誇り (文春新書)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166608041

作品紹介・あらすじ

「個より公、金より徳、競争より和」を重んじる日本国民の精神性は、文明史上、世界に冠たる尊きものだった。しかし戦後日本は、その自信をなぜ失ったのか?幕末の開国から昭和の敗戦に至る歴史を徹底検証し、国難の時代を生きる日本人に誇りと自信を与える、現代人必読の書。

感想・レビュー・書評

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  • 「国家の品格」に続き、素晴らしい本を書いてくれました。全8章の内容は、前半4章を中学2年の課題図書に、後半4章を中学3年の課題図書と指定して欲しいくらいですが、きっと日教組は嫌がるだろうな。
    本書は、近代日本の歴史がコンパクトにまとめられており、歴史を俯瞰する1つの見方や立場を多感な年齢で考えることに意義がある。例えば、最近流行りの国際交流の場で反日教育を受けた連中から一方的に攻撃されて、日本人として何も言い返せないのでは困る。そうした公平で正しい基本知識を身につけて欲しいという願いを込めて。
    以下、本書のエッセンスを書き記す。
    ・「中国は美人を見たら自分の妻だと平気で主張する国」李登輝
    ・アメリカの年次改革要望書は露骨な日本への内政干渉
    ・戦後、社会や国家に尽くすという美徳は、公を否定し個を称揚しようとするGHQと日教組が育てたものですが、これを変えようとする者はマスコミから軍国主義者のレッテルを貼られる
    ・物理や数学の公式は、美しい=正しい。「真、善、美は同じ一つのものの3つの側面にすぎない」マイケル・ワイル
    ・古来より日本は他国の新しい文明を日本人の持つ美意識をベースに取捨選択し、自分達の文明と融合させながら進化と洗練を繰り返してきた
    ・中国、韓国、北朝鮮のみが戦後ケジメのついた戦争を蒸し返し謝罪を要求し、おバカでお人好しの日本人リーダーがそれを受け入れ、それ以後毎回謝罪させられるも友好どころか外交カードとして無限に利用されるハメに
    ・米国のWGIP(罪意識扶植計画)は、原爆や無差別爆撃などの戦争犯罪を、日本の軍国主義者の責任に転嫁するために行われた。またその協力者には就職口を世話し出世させて、その結果日本の中枢から保守層が見事に消えた
    ・日本がポツダム宣言を受け入れないために米国が原爆投下を決断したことになっているが、ポツダム宣言発表以前にトルーマン大統領が投下命令を出していたのが歴史的事実
    ・さらに、大統領の周りから「日本はすでに敗北しており原爆は不必要」という進言には耳を貸さず、当初ポツダム宣言草案にあった「国体維持」の言葉を削除させて日本がすぐ受諾しないよう時間を稼ぐ
    ・真珠湾攻撃を宣戦布告の無い恥ずべき行為と糾弾し続けるアメリカは、ベトナム戦争やアフガニスタン戦争、イラク戦争でも宣戦布告をしていない
    ・日本の愛国心が英語ではナショナリズム(国家主義)と訳されるが、パトリオティズム(祖国愛)と訂正すべき
    ・東京裁判が戦勝国の欺瞞なのは、日本の民間人虐殺した原爆や無差別爆撃は不問にふされ、ソ連が日ソ不可侵条約を無視し満洲に侵入し民間人を虐殺、降伏後も60万人以上の日本人をシベリアで強制労働させたことも不問
    ・さらに、禁じ手である事後法を使ってまで「人道に対する罪」を過去に遡って適用、ブレイニー弁護人の「原爆投下という空前の残虐行為を犯した国の人間に、この法廷の被告を裁く資格があるのか」は発言と同時に同時通訳が中止されたため日本人は知ることが出来なかった
    ・敗戦国の悲劇は日本だけではなく、ソ連がポーランド人4,400名をカチンの森で銃殺したのを長らくナチスドイツの仕業だと喧伝
    ・中国への日本人の萎縮はでっち上げられた「南京大虐殺」にあるので、事実に基づききちんと白黒つけるべき
    ◇◇◇ここまでが第4章までの内容◇◇◇
    ・「韓国併合は合法。当時の韓国は文明の成熟度を有さなかったため、国際法上違法とはならない」ジェームズ・クロフォード
    ・16世紀以後の世界史の半分は、恥ずべき人種差別に基づく残虐非道な侵略史だったのにもかかわらず、自存自衛のために帝国主義に遅れて参加した日本だけが、批難された。日本が侵略国なら欧米列強も間違いなく侵略の大先輩国家です。ここで大切なのは、現代の価値観だけで過去を判断してはいけない、ということ。人間も国家もその時代の価値観で生きるしかないからです。
    ・1919年のパリ講和会議で、日本は人種差別撤廃を提案し、賛成11対反対5で可決されそうになったが、議長のウィルソン大統領が全会一致を主張して廃案に
    ・日露戦争の勝利は、欧米列強に植民地化され抑圧され有色人種の民族自決への希望の光だった
    ・世界恐慌で、列強のブロック経済化という排他的政策により日本の輸出が締め出され、食糧不足で貧農では娘の身売りが横行した状況では、日本人が生きるために満洲に新しい市場を求めざるを得なかった。そして、コミンテルンの謀略により日中戦争となり、アメリカの謀略により日米対戦へと泥沼の道へと突き進む。
    ・戦争による大破滅を経験した日本だが、歴史家クリストファー・ソーンは「日本は敗北したとはいえ、アジアにおける西欧帝国の終焉を早めた」の言葉通り、結果的には白人のアジア侵略を止め、帝国主義、植民地主義さらには人種差別にも終止符を打つという偉業を成し遂げた。
    こうしたことは学校では誰も教えてくれませんが…

    今も米国にNoと言えない日本、さらに中国に対しても譲歩の連続。一方では国を守るべき官僚や国会議員が自己保身と利益誘導の権化となっている状況を見れば戦後日本人が失ったものはとてつもなく大きく、将来日本を背負う若者に一刻も早く正しい歴史を学び独立気概と愛国心(祖国愛)を醸成してもらうべき緊急事態です。
    冒頭あえて2学年に分けて課題図書としたのは、早いうちに学ぶべきとはいえ、中学生にとっては覚える大事な事柄が多いためです。

  • あくまでも私見ですが、教育を変えるしかないのではないだろうか。
    日本が凋落するであろう、あるいは凋落途中であることを感じている文化人は多い。

    ですが、一般人は知らないのです。
    今の日本がGHQによるWGIP「罪意識扶植計画(日本愚民化計画)」で欧米の「利己主義」を植え付けられた結果の衰退であることを。
    その昔から「和をもって貴しとなす」の文明であったこと。
    黒船来航から日本が欧米に蝕まれたこと。
    いまだにWGIPの汚染が続いていることを。

    それを「教え」なければならないのです。
    そして「かつての日本」、「素晴らしかった日本」を再興できて初めて誇りを持てるのだと思います。

    今の日本は「愚民の、愚民による、愚民のための教育」が行われている。
    その愚国民に「誇りを持て!」なんてどうして言えるのか。

  • 日本に植え付けられた「敗戦国観」を拭い去り、本来の日本人の誇りを取り戻せ、といったところ。
    これを読んで、
    「でも戦時中の日本人は…」とか「やっぱり真摯に反省すべきでは」とか思っちゃう人は戦後日教組の歴史観にのまれちゃってるのか…。悩ましいところだけど、でも大東亜戦争(あえて使う)開戦に至る米英の思惑や東京裁判の欺瞞もよく分かった。やはり日本人として知っておくべきこと。日本人だけが素晴らしいわけは決してないけれど、今のままでいいはずはないんだ、やっぱり。

  • 太平洋戦争の評価について、詳しい見解が述べられていますが、総括では今の日本人が改めて認識すべき事が書かれていました

  • 感動!! ★100ですね。 最後の2ページは涙を禁じえなかった。
    明治維新以降の歴史を概観し、日本人論を述べたものは色々読んできたけど、適度な冗談(嫌味)も交えつつ、的確な表現で分かりやすいし、素直に納得できる。正に日本人論の総括である。

    戦後、日本の國體は保持されたが、東京裁判史観やWGIPにより、それまでの「公」ではなく「個」の意識を刷り込まれ、確実に国民性の弱体が図られてきた。それほど欧米列強は極東の島嶼部に住む、日本人の国民性を恐れたのだ。
    だがそれも当然のこと、1492年のコロンブスの新大陸発見以来、日本人以外の有色人種の誰も、白人の帝国主義、人種差別、植民地政策に抵抗出来なかったにも関わらず、約450年後に日本はそれを単独で成し遂げてしまったのだ。
    本書でも言及されているとおり、世界史の10大ニュースに、否、3大ニュースに挙がられて当然だろう。

    戦争には負けたが、独立は勝ち取った。局所的・戦術的には負けを喫したが、大局的・戦略的には大勝利を収めたのだ。
    2000年に及ぶキリスト教的世界観、白人至上主義という呪縛・呪詛を完全に打ち破ったのだ。これを、ウェストファリア体制の確立を遥かに凌駕する、人類史における完全人類平等主義思想の歴史的大勝利と言わずして、何と呼ぶのか。ただ、少々戦後日本人の崇高な国民性の毀損という負債は負ってしまったのだが...

    素晴らしい先祖を持ったことを誇りに思うとともに、現在の自分がそれに恥じない生き方が出来ているか、襟を正される思いである。

  • 素晴らしい。

    と言うと、右よりって思われそうですが、至って普通の日本大好きな日本人です。

    中国の挑発や反日デモ、韓国の無礼なツゲグチ外交やオリンピック妨害、あまりにも外国に配慮し過ぎたマスコミの報道、そろそろ温和な日本人も堪忍袋の緒が切れますよね。

    まー、中韓への投資や旅行も減ってるようで、スグに日本の怖さを思い知るでしょうが…

    あと、ハイブリッド技術を寄こせとか、年次改革要望書とか、平気で言ってくるアメリカ。

    争いを嫌い、自分を律することが出来る日本人の美徳をいいように利用されてることを、そろそろ気付くべきでしょうね。

    でも、度量のデカイ日本人は身を引いちゃうんですよね〜。
    それ位乗り越えられると思っているし、その実力もあるから。

    なので、この位の言い方をしないと覚醒しないということでしょう。

    日本の誇りを保つためにも、こういう本を読んだほうがいいと思います。

    是非!

  • この本がきっかけで近現代史に興味が持てるようになりました。

  • 改めて歴史というものは戦勝国が作るということを意識させられました。

    出版・放送・教育・法律を徹底的にコントロールしプロバガンダを浸透させていく。怖いやり方です。

    ただし、あくまでもこの本も一つの考え方。大事なことは与えられた情報を自分の中で咀嚼し、自分なりの理解をすること。

    いやー面白かった。

  • 読みかけで放置していたが、8/15に合わせて完読。
    「個より公、金より徳、競争するより和、主張するより察する」が今の日本人には必要との意見。海外ではこれが常識とか、グローバルなんて考えよりか、こっちの方があっているかもな〜自分には。
    歴史に関する本は多面的に見た方が、デリケートな問題であるが故にすっきりする。加藤陽子の「それでも日本人は戦争を選んだ」と一緒に読めたことで理解が深まった。

  •  相変わらずだなぁ。戦後の日本はたるんでる,昔の日本人はどこへいったのか?GHQに植えつけられた国民自己崩壊システムが今なお機能しているのだ,みたいな話が蜿蜒と続く。
     各章のタイトルを見ると,内容がだいたいわかる。
    「政治もモラルもなぜ崩壊したか」
    「すばらしき日本文明」
    「祖国への誇り」
    「対中戦争の真実」
    「『昭和史』ではわからない」
    「日米戦争の語られざる本質」
    「大敗北と大殊勲と」
    「日本をとり戻すために」
    というか,本のタイトルで内容だいたいわかるかw
     どうもテンプレ的で,少なくとも,数学者が書く文章って感じではないね。高田純氏の文章が物理学者の書く文章って感じでないのと同様。高田氏の方がより右だけど。
     でも思えば,この人の信念は『若き数学者のアメリカ』から変わってないのね…。

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著者プロフィール

お茶の水女子大学名誉教授

「2020年 『本屋を守れ 読書とは国力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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