インターネット・ゲーム依存症 ネトゲからスマホまで (文春新書 995)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 38
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  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166609956

作品紹介・あらすじ

「負け組の麻薬」に、足を取られないために。衝撃的な事実が明らかになった――最新の画像解析により、インターネット依存者の脳内で、覚醒剤など麻薬依存者と同様の神経ネットワークの乱れが見られたのだ。スマホの普及で、年齢制限無し、二十四時間営業のカジノ、ゲームセンター、ストリップ劇場さえ掌の上に出現する時代になった。デジタル・ヘロインがその本性を表すのは、学業や社会適応に躓いたときだ。足をすべらせたら最後、依存の泥沼にはまる。オンラインゲーム(ネトゲ)だけでなく、軽いスマホアプリでさえ、脳には十分な麻薬効果がある。国内推定患者五百万人の脳を蝕む「現代の阿片」。あなたとあなたの大切な存在を守るための、有効な対策と、チェックリスト付き。

感想・レビュー・書評

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  • ネットやスマホ、ゲームが頭で考えることに悪影響なのはその通りだと思うし、制限をしながら子供に使わせるのが理想的なのもその通りと思う。しかし、現実的に歯止めを効かせるのは難しく、もっとメーカー側でも効果的な制限ができるような機能づくりをすべきと思う。

  • 精神科医で実際にさまざまな患者の治療にもあたっている著者による、インターネット・ゲーム依存の危険性を説いた書。

    日本人によってこのトピックについて書かれた本は少ない。この本では日本に関連する色々な情報を得られて参考になった。諸外国に比べ、政府によるスクリーンタイムの規制が少ないのはどうにかした方がいいような。この本は8年前の本だけど、状況は変わってなくて残念。

    自分がインターネット依存ではないかと不安になっている人は、まずこの新書を読んでみるといいのではないか。もしくはお子さまがインターネット・ゲーム依存ではないかと思う親御さんにも。このトピック関連の本で、実際の治療に基づいた知見から対策、治療、克服までの道筋を示してくれる本は貴重だと思う。

    私はインターネット依存ではないかと思ってしまうほど一日中スマホを眺めてしまうこともあるし、もし子どもを教育する立場になったら、しっかりとデジタルデバイスとの距離を管理せねばならないと考えている。
    なので、この本はしっかりメモして折りに触れて読み返したい。

    星-1は、やや強引と思われる議論がいくつかあったため。より緻密な論証がほしかった部分がある。まあ新書だから仕方ないか。

  • ゲーム・インターネットの病的な依存者が我が国に500万人もいるといいます。ゲーム・インターネットに依存しすぎると、脳が萎縮し、無気力や抑うつの症状が見られ、学校や職場にいけなくなってしまう人が後を絶たないとあります。覚醒剤に匹敵する「現代の阿片」とも例えられるほどです。「オンライン脳(2022年)」の筆者である川島隆太(東北大)の最新の研究よると脳の成長が止まるとの記述もありました。。
    私の実感としては、たかがインターネット・ゲーム、大したことないだろう、でした。確かに昔と比べたらかなり暮らしの雑事は楽になりました。スイッチを押すだけで家事の大体は事足りるし、昔よりは脳を使ってないかもしれない。でも脳の障害などの病気になる人なんかいないじゃないか、と。
    もちろん私もゲームにハマったことはあります。ファイナルファンタジーや信長の野望は非常によくできていました。ただ、長時間やった後空しく寂しい気持ちになりました。時間を無駄にしてるのではと後悔しか残りませんでした。オンライン・ソーシャルゲームに至ってもすぐ飽きました。それよりもバイクで旅する、釣りをするなど、リアルな体験の方が間違いなく素晴らしく感じていました。
    だけど事実として、バーチャルのもたらす虚構の肥大が社会問題化しています。
    インターネット・ゲームの依存度は覚醒剤と変わらないほどです。早急な規制が必要なレベルであることは厳然たる事実であることを認めざるえません。
    依存する要因としてゲームの中の人物になりきることで、ゲームの中で自己実現が出来てしまうと本書にありました。また、現実の世界では得られない称賛や絆を得ることが出来るともあります。だから、現実の世界に居場所のない人、生きづらさを抱える人が陥りやすい面があります。
    自分にあった学校や職場など環境を整えると依存がやわらぐとあります。また、本人が安心して生活できる場、安全基地があることが立ち直りに大切なです。幼い頃の愛着は一生もの。人の強さの根元とも言えることをしみじみ感じました。
    ゲーム・インターネットに依存する人々の背後にかくれた孤独や生きづらさに気づき、寄り添い安心や居場所があることを感じられる社会にしていかなければならないと思いました。

  • そうかー、2014だから8年前だ。コロナの前だ。この後処方箋は変わっているのかなあ。家族第一主義みたいのがなんかしんどい。家族以外で何とかしたいとしたら、どうしたらいいんだろう。

  • インターネット依存症は現代の“感染症“と言っても
    いい位になっている.
    この本では、依存症の症状、依存の理由、予防や
    克服の仕方まである.
    ぜひ見てほしい

  • 情報が古いことを認識して読む必要があるけど、現在、さらに状況は悪化していることが、はっきりわかる。

  •   

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/704773

  • 結構昔に読んだ本なので内容がどうだったのか細かく覚えていないのですが、依存症ビジネスの本は基本的なパターンは同じですよね。
    脳のドーパミンが出て、それを求めて依存症になる。

  • ゲームは瞬発的に強い興奮や快感をもたらし、繰り返すうちに報酬系を崩壊させてしまったり、二次性発達障害を引き起こすという恐ろしい話。画面内のキャラを操作できるという没入感がこれほど人の感情に強い影響を与えるのか、ゲームはやっぱり唯一無二の強い力があるなぁ…ゲームを作る側としてはと都合の良いようにひっくり返してしまいそうだったけど、読んでいくうちに「ああぁこれはヤバイ」となった。ゲーム依存症者の扁桃体、海馬、前帯状皮質の萎縮症状は戦争帰りで硬直した兵士と同じレベルだったり、麻薬とギャンブル依存症と依存する経緯が大差なかったり(何なら制限されていない分ゲームの方が…)、これいいの?と焦る。オンラインゲーム大国の韓国と中国が自国民にゲームを制限してから、ゲーム会社がまだ規制していない日本に輸出しようとしているのを「逆阿片」とうまいこと書いたのも笑えないね。

    ふとゲーム開発系本で「大事なのは持続的にテンポ良くプレイヤーに報酬を与えること」と書いてあったのを思い出した(こわ)。

    第6章で「魅力的な新しいテクノロジーは危険を伴うものだという前提で対策するべき」と、結構大事そうなことをサラッと書いている。これは今回のテーマの「インターネット・ゲーム」だけを指摘しているのではなく、依存症専門家として「新しいからって楽観的なのやめなよ」ともっと広い意味で訴えている。筆者の言う通り1つの依存症が認められるまで20年以上かかる中で、新しいテクノロジーが登場するたびに随伴する依存症を1から検証していくのでは到底追い付かない。ゲーム依存症者が殺人を起こしてから調査するとすでに何千万人の依存症者がいたように、「悪い理由が解明されてから言わないとやめないよ、根拠は?」精神は超危険。ギャンブル運営会社が、ギャンブル依存症者防止策とか発症者カウンセリングを徹底的にする姿勢を見せないと国から運営を認められないように、「ゲーム=人を楽しませる=良いこと」とだけ考えるのはやめて、ゲーム会社ももう少し世間から厳しく監視されるべきなのではと思う。これからどんどん新しくて面白いものが発明されていくんだろうけど、それはスマホ、オンラインゲームよりも強力と思うと、確かに楽観的じゃいられない…。

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著者プロフィール

岡田尊司(おかだ・たかし)
1960年香川県生まれ。精神科医、作家。東京大学文学部哲学科中退。京都大学医学部卒業。同大学院医学研究科修了。医学博士。京都医療少年院勤務などを経て、2013年より岡田クリニック(大阪府枚方市)院長。日本心理教育センター顧問。パーソナリティ障害、発達障害、愛着障害を専門とし、治療とケアの最前線で現代人の心の問題に向き合う。著書『悲しみの子どもたち』(集英社新書)、『愛着障害』『愛着障害の克服』(いずれも光文社新書)、『愛着アプローチ』(角川選書)、『母という病』(ポプラ新書)、『母親を失うということ』(光文社)など多数。

「2022年 『病める母親とその子どもたち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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