- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784166610839
作品紹介・あらすじ
10万人を動かした中国最大の民主化勢力幹部 逃亡2万キロの全記録
巨額の贈収賄や不正ビジネスが横行する中国共産党、資産隠匿に手を染める高級幹部たち……。
腐り切った現体制に業を煮やした共産党若手エリート顔伯鈞らは、社会問題を考える人々の食事会に参加したのをきっかけに、次第に体制改革運動に身を投じてゆく。
顔伯鈞らを待ち受けていたのは、国内安全保安局(いわゆる秘密警察、中国におけるゲシュタポ的機関)による監視、尾行、盗聴だった。そして逮捕、監禁、拷問すれすれの非人道的な取り調べ……エスカレートする弾圧から逃れるため、彼らは家族も捨てて逃亡を開始する。
中国国内には当局の厳重な監視をかいくぐって民主化シンパたちの地下ネットワークが張り巡らされている。か細い糸をたどって潜伏先を探すが、すぐに当局の包囲網が彼らを追い込む。
逮捕された後、当局の取り調べは熾烈を極める。自白しない顔伯鈞の目の前に、妻まで連れてこられる。
運良く獄から出られても、監視の目はつきまとう。
息詰まるようなサスペンスが次から次へとやってくる中、それでも彼らは逃げ続ける。チベット、香港、ミャンマー、タイ……。拠点を移しながら活動を続け、ときおり北京にもこっそり戻り、体制改革へのアピールを続けてゆく。
再び捕まったら一巻の終わり。ボロ雑巾のようになるまで人間性を破壊され、闇に葬られる。
祖国の民主化のため、凄まじい人権侵害と闘い続ける英雄豪傑たちの群像は、まるで現代の『水滸伝』だ。
感想・レビュー・書評
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第22回OBPビブリオバトル「逃げる」で発表された本です。
2018.2.28詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
これは序の口
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面白かった。
今の中国政府が反体制派と見做した人間にどのような行動をとるのかがよくわかる。そして何より彼がさすらう中国全土のそれぞれの土地の様子もとても面白い。
ミャンマー軍閥割拠地域やメコン川沿いの黄金三角地帯、チベットから雲南の冬の山越えなど、旅行記としての価値も高くて最高。 -
公民運動を行って当局から迫害されタイに亡命することになった顔伯鈞のルポ こちらの常識からするととんでもない人権侵害が行われているのだが、思ったほどめちゃくちゃではないと思った。線引きはものすごく低いところにあるがそれなりの法の抑制が効いている印象。 山塞携帯の時も思ったが中国人は水滸伝が好き。これは一度読まなければいけない。
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東2法経図・6F指定 312.22A/Y51a/Nakai
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”公民運動”を指導したために当局からマークされ、妻子と別れて中国全土を逃亡し、タイに亡命した元大学教員の手記。電話やメールを傍受して国を挙げて追いかけてくるってオーウェルのビッグブラザー以上だわ。一党独裁の暗部だわ。
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https://flying-bookjunkie.blogspot.jp/2018/03/blog-post_9.html -
中国人の友人に言わせると同作の著者:顔伯鈞氏はそれほど有名な方ではないらしい。それでも執拗に国家に追い回されて逃げ回り、最後はなんとかタイに落ち着いたという。ある意味,色々なところで伝え聞いた逃避行動であり、おそらく有名・無名に関わらず似たような話が本当に多く存在するのだろうと推測される。
せっかくタイに落ち着く事ができたようだが、香港の禁書書店・銅鑼湾書店の筆頭株主・桂民海氏がスウェーデン国籍にも関わらず、タイから拘束されたりしている事を考慮すると決して安全ではないのかもしれない。
昨今の路上における顔認識等の技術がさらに高性能に、広範囲になったらこのような人が逃げ切ることはほぼ不可能になるのかもしれない。
本の中にも書かれているが、学生が彼らの活動にあまり興味を示さなかったという。こうなってくるとこういった民主化活動の人たちも活動のやり方を変える必要があるのかもしれない。
モチベーションは違うかもしれず、誰にでもできる方法論ではないが、郭文貴氏のようなやり方がどのように揺さ振る事になるのか気になるところだ。
文中で興味深かったのは、近衛兵達が文化大革命前後にミャンマーに移り住み、そこである種の軍事政権を持っている地域があるとのこと。機会があったらこの辺りの事も調べてみたい。 -
新公民運動の現在、
党官僚の財産公開
ミャンマー東北部の軍閥の概況
四軍区が割拠
文化大革命の 時、雲南省に下放された紅衛兵出身者が革命戦争を行う場所に憧れ、自らが祖国を後にした、 -
筆者は1974年生まれ。中国共産党のエリート養成校出身だが、公民権運動の中心人物となったため、習近平政権後の弾圧により苦難の後に2015年2月にタイに出国するまでの手記。2016年6月第一刷。中国共産党による独裁体制の歪みをインサイダーの視点から書いていることが本書のリアリティを増している。
著者プロフィール
安田峰俊の作品





