江戸のいちばん長い日 彰義隊始末記 (文春新書 1166)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166611669

作品紹介・あらすじ

わずか半日の戦争が、日本の近代史を変えた!今年は明治維新から150年。ということは江戸城の無血開城から150年。すなわち、1868年の旧暦5月15日、江戸で行われた最初で最後の戦争、彰義隊の戦い(上野戦争)から150年ということなのです。「勝海舟と西郷隆盛の頂上会談により江戸城総攻撃が回避された」明治維新といえば巷間、そう伝えられています。しかし実際は江戸城が炎上しても不思議ではありませんでした。くすぶる幕臣の不満、深まる新政府と幕府側の対立、勝海舟と息づまる西郷の駆け引き……。幕臣の不満分子が、それぞれの思惑を抱きつつ彰義隊を結成。江戸っ子も彼らを支持しました。そして東京・上野の寛永寺で、彰義隊と新政府が激突。戦場はじつに悲惨なものでした。わずか半日で勝負はつきましたが、ここで新政府が武力を見せつけたことで、徳川家の静岡移封が実現するなど、その影響は多大なものでした。慶喜が大阪から逃げ返ったときから始まり、敗れた隊士の後半生までを、資料や同時代を生きた渋沢栄一や高村光雲などの目を通して、生き生きと描きます。

感想・レビュー・書評

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  • 東2法経図・6F開架:210.61A/A47e//K

  • 著者は、上野・寛永寺での彰義隊の戦いは、勝海舟と西郷隆盛の頂上会談による江戸城無血開城の陰に隠れてしまっているが、歴史上如何に意義のある戦いであったかを述べている。

    だが時代は既に回転し、徳川慶喜は水戸に蟄居し、江戸城は無血開城した後での、わずか半日の戦い、しかもそれほど組織的な抵抗でもない戦いの歴史的意義は、著者が強調するほどは重要とは思いにくい。

    一方、著者が言うように、徳川家を70万石に減じて駿府移封という処分については、不満分子が一掃されたので、新政府としてはやりやすかった面は否定できない。

    別途、興味を引く箇所はいくつかあり、それなりに面白いものであった。
    例えば、新政府は江戸市中の取り締まりは徳川家に委託していたとか、勝海州は、無血開城の後も、新政府との条件抗争を粘り強く行っていた。また、西郷隆盛は徳川家の処理については、穏健派で、新政府内では孤立していたなど興味を引いた。

  • 【百五十年前、江戸・上野は戦場になった】新政府が徳川家を屈服させられたのは武力で鎮圧したからだった。「無血開城」神話に隠された江戸最後の戦争の意味を掘り起こす。

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著者プロフィール

歴史家。1965年、千葉県生まれ。早稲田大学教育学部卒業、同大学院文学研究科博士後期課程満期退学(文学博士)。JR東日本「大人の休日倶楽部」など生涯学習講座の講師を務める。おもな著書に『江戸の間取り』『大名格差』『徳川幕府の資金繰り』『維新直後の日本』『大名廃業』(彩図社)、『15の街道からよむ日本史』(日本ビジネス文庫)、『東京・横浜 激動の幕末明治』(有隣新書)、『徳川時代の古都』(潮新書)などがある。

「2024年 『江戸時代はアンダーグラウンド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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