日本史を疑え (文春新書 1360)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166613601

作品紹介・あらすじ

「定説」も「最新学説」も一から見直そう!
45のクエスチョンで日本史を総ざらい。

人事、経済、組織、リーダー、国際環境――
古代から近世まで「時代を動かす力」がわかる!

【目次より】
日本史は何の役に立つのか
歴史用語を疑え
史実とは何か 史料の使い方、疑い方
流れを押さえる四つの視点
世襲のメリット実力のメリット
史料が少ない古代史を読み解くには
ヤマト王権のフランチャイズ戦略
「日本」をつくった警戒レベルMAXの外圧
律令体制を税金問題として考えてみよう
朝廷は全国を支配できていたか 「面」の支配と「点」の支配 
貴族の地方放置が武士を育てた 平将門の乱を再評価する
実はもろかった摂関政治
東国の武士たちはなぜ流人の頼朝を担いだのか?
どうして源氏将軍が絶えたのに鎌倉幕府は続いたのか
元寇は本当は避けられた?
「銭」に負けた得宗専制
鎌倉幕府を倒したのは後醍醐天皇ではない
応仁の乱は尊氏派vs直義派の最終決戦だった
信長最大のライバルは一向宗だった
江戸時代 近代から見るか、中世から見るか
徳川幕府の名君と暗君
「鎖国はなかった」説を外圧理論で考える
江戸幕府を滅ぼした「働かないおじさん」問題 ほか

感想・レビュー・書評

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  • 日本史の学び方、古文書の読み方の基本、定説や最新学説、
    史実の確かめ方、歴史の流れ、世襲と実力等をレクチャーし、
    各時代の定説や史実への視点を、疑問から切り込んでゆく。
    第一章 日本史を疑ってみよう
    第二章 古代  第三章 平安時代  第四章 鎌倉時代
    第五章 室町時代第六章 戦国時代  第七章 江戸時代

    教科書での日本史は定説化した基本のようなものだから、
    内容を暗記主体で学んできたような感じだった。
    でも、様々な観点から日本史に興味を持ってみれば、
    様々な疑問が湧いてくる。それが知りたくなって、
    多くの研究書を読むと、多くの知識を豊富に得られ、
    取捨選択しつつ、思考が磨かれる。
    “疑う”は強い語句だけど“疑問”と捉えれば解る。
    律令体制のその後は?
    遣唐使はなぜ廃止されたか?
    御成敗式目が制定された訳は?
    南北朝は何なぜ五十年以上続いたのか?
    守護大名と戦国大名の違いと存続は?
    なぜ江戸幕府は滅びたのか?
    地理、対外、国内の「面」と「線」での支配の違い、東と西、
    法律や税の問題、家族制度の変化、そして人の、時代の変化等を
    鑑みてみれば、歴史用語から更に理解が深まってくる。
    そんな感じで読み、改めて日本史って面白いなぁと思いました。
    定説だって隙があるし、新説が将来に定説になるかもしれない。
    実際、鎌倉幕府の成立は新史料により、1192年から1185年に
    なっていますし、更に変わる可能性もありそう・・・とか?
    それに最近、不思議な形の銅鐸や剣が発見されたりして、
    まだまだ疑えることが出てきそうな感じがしました。

  • 「日本史」は何の役に立つのか? 年号や人名、歴史用語の暗記を強いてきた日本の歴史教育を脱却し、「時代の変化は何故起きたのか?」を考え、「定説」を疑ってかかる歴史ガイドブック。▷遣唐使はなぜ廃止されたか、武者の世が到来した理由(平安時代)▷「幕府」をどう捉えるかで成立年が変わる、源氏将軍が絶えたのに鎌倉幕府が続いた理由(鎌倉時代)▷鎌倉幕府を倒したのは後醍醐天皇ではない、南北朝はなぜ50年余りも続いたのか(室町時代)▷信長最大のライバルは一向宗だった、秀吉はなぜ家康を潰さなかったのか(戦国時代)・・・等々。

  • 簡潔で勉強になって良い本

  • 『日本史を疑え』という題は「如何いうこと?」と思ってしまう。そう思いながら紐解き始めると少し夢中になるような内容だ。
    「疑え」とでも言われても、「日本史」というような「伝えられる過去の出来事等」というのは「既に変わらない、変えようのない過去」なので「疑う」という余地が少ないような気もしないではない。が、「これが“意味すること”は“如何いうことか?”」というように「熟考する余地」は十分に在る。その「熟考する余地」に想いを巡らせ、考え、論じてみるというようなことを「疑え」と称しているのだと思う。
    本書はその「熟考する余地」を見出して行くという「疑え」を提起する総論の後、古代、平安時代、鎌倉時代、室町時代、戦国時代、江戸時代というように、「時期毎のテーマ」を取上げている。
    「既に変わらない、変えようのない過去」なので「疑う」という余地が少ないような気もしないではない「日本史」ではあるが、それでも考えてみると「判っていない」という事柄の方が「判っている」という事柄よりも多い筈である。その「判っていない」を「判ろう」と研究が積上げられている。
    積上げられたモノが定説と化し、「学校で教えるような内容」になって行っている。が、この「定説」も変わり続けているという面が在る。端的に言えば、例えば現在50歳代の人達が学校で教えられた事柄と、現在20歳代の人達が学校で教えられた事柄とを比べる場合、「ディーテールの差異」が存外に多い。その「ディーテールの差異」が「定説の変遷」に他ならないのだ。
    本書では、その「ディーテールの差異」である「定説の変遷」に通じるようなことに言及もしながら、歴史の諸相を「疑え」と「考える」ような内容を問い掛けている。実に興味深い!

  • 多分、新聞か何かの広告を見て買ったような気がするが、タイトルや目次は辛辣だったが、中身は残念ながら退屈でした。。

    日記みたいなものをベースに歴史を紐解くのが一般的だが、自分達に都合の良い内容になっていることが多いので、割り引いて考えないといけない。

    幕府の成立とか、〇〇時代!なんていうのは、本人たちはそれほど意識していなかった。

  • <目次>
    第1章  日本史を疑ってみよう
    第2章  古代
    第3章  平安時代
    第4章  鎌倉時代
    第5章  室町時代
    第6章  戦国時代
    第7章  江戸時代

    <内容>
    われわれが至極当たり前と思っている日本史の常識を、単純な疑問から解き明かしていく。「変だな?」「不思議だな?」の感覚は大事である。それを大人はスルーしていることが多い。授業の後の「振り返りシート」でも、予想外の質問がくることが多く、「確かにな」とつぶやきながら、調べて返答することが多い。それの根幹の部分を論じている本だと思う。本郷氏はやや粗製乱造の感もあるが、この視点は大事だろう・

  • 2022/12/14 amazon p880-440

  • 聞きやすく、何より日本史の学び方の勉強となった。

  • ●貴族とは?三位以上が貴、4〜5位迄が殿上人。六位以下は地下人。平氏源氏は元々これ。
    ●鎌倉幕府と江戸幕府では、成り立ちも構造もまるで違うのですが、同じ幕府とくくられることで、その違いが見えにくくなっている。
    ●中世においては、日記とは人に読ませるためのもの。読者は書き手の子孫。貴族の日記とは、その家の知的財産だった。だから、それはどういう意図で記されたのかを考えながら読んで行かなければならない。●朝廷による正史ではありませんが、平安時代から室町時代にかけて「4鏡」と数えられる史書が作られています。大鏡、今鏡、水鏡、増鏡。鎌倉幕府によって編まれたのが吾妻鏡。

  • 東大の本郷先生の本。
    WEB掲載等の他の記事と同様の語り掛けるような文体で書かれている。

    各時代の事例をあげながら、定説を疑う「考え方」について説く。

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著者プロフィール

1960年、東京都生まれ。1983年、東京大学文学部卒業。1988年、同大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。同年、東京大学史料編纂所に入所、『大日本史料』第5編の編纂にあたる。東京大学大学院情報学環准教授を経て、東京大学史料編纂所教授。専門は中世政治史。著書に『東大教授がおしえる やばい日本史』『新・中世王権論』『壬申の乱と関ヶ原の戦い』『上皇の日本史』『承久の乱』『世襲の日本史』『権力の日本史』『空白の日本史』など。

「2020年 『日本史でたどるニッポン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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