IT (1) (文春文庫)

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167148072

作品紹介・あらすじ

少年の日に体験したあの恐怖の正体は何だったのか? 二十七年後、薄れた記憶の彼方に引き寄せられるように故郷の町に戻り、IT(それ)と対決せんとする七人を待ち受けるものは?

感想・レビュー・書評

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  • 昔は、遊園地で見るピエロが怖かった。鼻は赤くて口が裂けているように見えたから、その時の自分にはピエロが気違いだと思っていたのかも‥。
    だから、子供たちが恐れた「IT」がピエロなのも、分からなくはなかった。でも、この本を読んで、子供だけではなく、大人でもピエロが怖いと思う人は、いると気づいた。だから、マクドナルドのピエロのカッコしたおじさんの像も見かけることが減ったのかな…。

  • 普通のホラー小説とは全然違う
    人間の弱さとか子供ならではの敏感な恐怖心が描かれている

  • あらすじから。
    閑静な田舎町デリーでは27年周期で必ず大きな災厄が起こっていました。その場に必ず居合わせていたのはピエロの姿をしたペニー・ワイズこと「It」。
    1958年、主人公の一人である11歳のビル・デンブロウは、ある日川遊びに出かけた弟のジョージを「It」に殺されてしまいます。さらにビルとその仲間たちの周囲で起きる奇妙な現象、少年少女たちの相次ぐ失踪。そう、彼らもまた災厄の真っただ中にいたのでした。
    時は流れて1985年、デリーで図書館司書の職に就いているのはかつてビルの仲間の一人だったマイク・ハンロン。彼はデリーに再び災厄が近づいていることを察知し、何かに導かれるようにかつての仲間たちへ電話をかけ始めます。しかし・・・

    時間がかかりましたがようやく読み終えました。
    一言でいうと傑作です。
    特に少年少女のパートが素晴らしく、色んなところで書かれていますがキングのもう一つの『スタンドバイミー』といっていいでしょう。
    実は読んでいて細かいところで色々と思うところもあったりしたのですが(ITとの最後の対決シーンの盛り上げ方とか、さらりと出ただけの脇役の扱いとか)、全体的なスケールの大きさとキングの神がかり的なストーリーテラーっぷりを堪能すべき作品と考え、些細な点には目をつぶって読みました。
    全4巻、一見すると怯みそうなくらいのボリュームですが(しかも文字が小さめ)、この物語を表現するにはこれだけの分量は必要だったと思いますし、無駄なところはありません。ただ登場人物が非常に多いので、自分のように記憶に自信がない方は人物相関図を書きながら読んだほうがいいと思います。
    本作では1958年のパートと、それから27年後にあたる1985年のパートが交互に登場する構成になっています。映画では少年少女パートを第一部に、大人パートを第二部にして切り離しているようですが、時間軸を重ねることで壮大さと凄みがより増していると思うので、この点は小説版でしか味わえない醍醐味のひとつといえるでしょう。

  • 映画版の『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』を封切日に観に行きました。映画の上映中に停電という、ホラー顔負けの体験をしましたが(笑)、『スタンド・バイ・ミー』を思わせる良作。で、長年積んであった原作をようやく読み始める。

    映画版が子ども時代の話に特化しているのに対し、原作は大人になった彼らが昔を回想するつくり。話が行ったり来たりするうえに、住民フルネームで総出演みたいな感じだからややこしい。しかも映画版は切なくも幸せなエンディングだったのに、原作で大人になっている彼らが全然幸せそうじゃない(泣)。480頁超の1巻を読み終えても、映画の半分にもたどり着いとらん。2巻へ行くのはしばらくパス決定。

    私同様に原作にのめり込めなかった人は、公開中の映画版をご覧になることをお勧めします。

    若干余談ですが、P411に「じゃあ、アリゲーター」「またな、クロコダイル」という会話があります。これって何のこっちゃわからんことないですか。私は映画『ウィズ・ユー』(1997)で知りました。青年と少女が別れるときの挨拶が“See you later, alligator”。いわゆる韻を踏むというやつです。こう言われたら“In a while, crocodile”と答えるものだそうで。字幕は「さよなら、ワニさん」。いきなり「ワニさん」て言われても困るがな。日本語に訳すとすれば、「さよオナラ」ぐらいでどうでしょう(笑)。

    映画の感想はこちら→http://blog.goo.ne.jp/minoes3128/e/7b65a5338c706c46a3905fced1131512

  •  饒舌なキングの作品はだいたい長いがこれも厚い文庫本4冊の大作。前に読んだドリームキャッチャーの解説にこれとの関連が言及されていたので読んでみた。順序としてはこちらが先の刊行だが、たしかに似ている。少年たち7人の魔物をめぐる過去の冒険譚と、それぞれが成長して独立した後に、過去の約束によって故郷の町に呼び戻され、最後の対決に向かうという話だ。はみ出しクラブという7人の仲間の中に、鍵となるどもりのビルがいるところもドリームキャッチャーでのダディッツを思わせる。長い物語の大半は過去のエピソードであり、主筋展開に比してそこが長すぎると思う向きもあるかもしれない。しかし、そんな少しずつ細切れに語られるエピソードを読み進みにつれ、読み手はそのうちはみ出しクラブの一員になって物語にはいりこむ。隣にはビルがいる、エディもリッチーもベブもベンもスタンもいる、そしてしんがりにマイクが登場する。みんな仲間だ。こういう少年物語のうまさはキング作品の大きな魅力のひとつなので、それを楽しむべきものだろう。

  • 2021.7.9
    映画は古いのも新しいのもどっちも好きだけど、
    そういや原作読んでないなと思って今更だけど読み始めた。

    ダムのシーンが本当に大好き。

    自分は日本人だし、こんなデリーほどの田舎で過ごしてきたわけじゃないけど、不思議とルーザーズクラブのみんなとずっと友達のような気がしてきちゃう。
    この年齢の夏休みって、本当に何もかもが特別で宝物だよなあ〜。
    ホラー要素はまあ次巻以降に期待ってことで。。

  • キングと言えばホラーと、全部ホラーの棚に放り込んでしまったけれど、厳密に言うとホラーとは言いがたい作品もけっこう多い。この『It』も、最初と最後は正統派ホラーで怖いんだけど、途中のあたりはいつものキングの「ティーンエイジャーの青春小説」風な挿話が多くて、そこが楽しい。
    この『It』はアメリカではテレビドラマで映像化されていて、それもそれなりに楽しいのだけど、ドラマとして面白いのは圧倒的に主人公達の子ども時代だと思う。
    とにかく盛り込まれたプロットが物凄く多くて、文春文庫で4冊というボリュームだけれど、実際、普通の小説の4、5倍の物語が含まれていると思っていいくらい。
    この『It』以降のキング作品は、ちょっと私の好みからはずれていってしまうので、そういう意味でも惜別の感のある一冊でもある。それにしても、何度読み返しても面白いし怖い。

  • 人生小説
    少年たちの絆と冒険大好き

  • 第10回ビブリオバトル全国大会inいこま予選会で紹介された本です。ハイブリッド開催。
    2024.12.28

  • わたくし、今、46歳です。どオッサンです。初老と自称してよい気もする。アラフィフだし。人生の残りタイマーも着々とチャクチャクと減ってきております。

    そんな人生の夕暮れ時、黄昏時、誰そ彼?な時刻に足を踏み入れようとしている俺だ。生きてるうちに、あと、どれほどの、名作と評されるものと、巡り合う事が出来るだろうか?という疑問が湧きました。

    なので、スティーヴン・キングの小説を読もう!と思いました。なにが、というわけで、なんだろう?分からぬ。分からぬよ俺には。

    でもとりあえずスティーヴン・キング。そらもうなにしろスティーヴン・キング。その名も高きスティーヴン・キング。名声は四海および斯界に轟く存在です。なんせもうスティーヴン・キングですからね。ホラーの帝王、或いはモダンホラーの帝王。現代アメリカ文学界を代表する、まさに屹立する巨人。

    というかアレですね。俺、超、小説大好き男なのに、46歳になるまでスティーヴン・キング、手を付けてなかったんかい!という自己ツッコミができるものであります。実は全然知らないんですよスティーヴン・キング。ほとんど知らないんですよスティーヴン・キング。

    その作品、一冊も読んでいない、わけではない。のですけどね。何冊かは読んだことあります。あと、スティーヴン・キング的小ネタ?みたいなものとして。

    わたし、宮部みゆき、ウルトラ好きなんですよ。日本の小説家で多分一番好き。宮部さんの数々の作品を心から愛しております。その宮部さんが、スティーヴン・キング氏の作品を心から愛している、ということは、知っているのです。でも何故か、、、心から宮部作品を愛するわたくし、「宮部さんが大好きなスティーヴン・キング氏の作品をガッツリ読んでみるぜ!」とは、今まで、全くねえ、、、ならなかったんだよねえ、、、人生って不思議だよねえ、、、

    わたくし、高見広春さんの小説「バトル・ロワイアル」、ウルトラ好きなんですよ。あれはもうねえ、大学時代に読んで、それはもう途轍もない「ガッツーン!!!」の衝撃を受けましたねえ。未だに僕の心の中の衝撃度ランキングでは、超トップクラスの存在です。で、そのバトロワ作者の高見さんが、これまたスティーヴン・キング氏が大好きだという事も知っている。作中の城岩中学が「キャッスル(城)ロック(岩)」のもじり、ということも知っている。

    かように、ここまで色々若干のイロイロのニアミスがありながら!46歳になるまで、スティーヴン・キングの作品にガッツリと手を出すことのなかったこれまでのマイライフ!それはいったい、なんだったのか?ということを自省する事も有り。わたくし、数日前から、スティーヴン・キングの作品に、がっぷり四つで組みあおうと決心したわけですね!

    そして、泣く子も黙るであろう、スティーヴン・キング、問答無用の代表作!「IT(イット)」を読み始めたのですな!ちょいと、お知り合いのキング好きのかたから、お借りしました。

    この「IT」は、勝手にまあまあ最近の作品だとばっかり思っておりましたが、スティーヴン・キングの作品史で言いますと、かーなり古いんですね。なんと発表、1986年だそうでして。ええ!?2024年現在からすると、38年前!?ビックリですよ。俺、8歳の時かいな。ビビっちゃう。

    「IT(イット)」とは。「それ」ってこと、ですよね。「ソレはソレ」?「コレはコレ」?ソレって、いったい、なんなんだ?読み進めていったら、分かるのでしょう。きっと。

    で、まずは1巻、読み終えました。感想としては。

    物語の本題以外の部分と思われる個所が、どえらく長い。いやもうめちゃんこ細かいですね。キング、人物造形というか物語の世界の造形にこれほどまでにこだわるのか。スゲエな。という驚き。

    これは、このエピソードは、枝葉末節ではないのか?とか思っちゃったりもするんですが、、、きっとキングにとっては、決して外すことのできない部分なんだろう。そうなんだろう。と思いながら読んでおりました。もし、キングが映画監督だったら、撮る作品撮る作品、全てが3時間越えは当然なのでは?編集とか、ちゃんとできるのか?とか思ってしまった。全てを書き込みたい全てを語り尽くしたいタイプの人なんだろうなあ、とか思った次第。

    で、「IT」はホラー小説らしいぞ、ということは、ホワッとしってるんですよ。前知識で。なんとなく。でもこの第1巻、全然ホラー小説っぽくないぞ。どっちかゆうたら青春小説って感じだぞ。映画「スタンド・バイ・ミー」とほぼ一緒じゃん。とか思いました。ちなみに小説のスタンドバイミーも読んだはずなのですが、ほぼ全く覚えていない、、、罰当たりですみません、、、

    IT ビル・デンブロウ(弟のジョージ・デンブロウが死んでしまって家族崩壊)
    スタンドバイミー ゴードン・ラチャンス(兄のデニー・ラチャンスが死んでしまって家族崩壊)
    この二人はほぼ一緒だぞ、作品越えてキングの精神的根っこだぞ、ってことですよね?

    学校の超人気者ではない的な面々が友達グループになる超エエ感じの友情の雰囲気とか、バンバンに不良グループにケチョンケチョンにされたりするところとか、まんまスタンドバイミーやんか。とか思いながら読んでおりました、この「IT」第1巻。全然ホラーちゃうぞ?という。

    ピエロみたいな悪「IT(それ)」が、きっと魔物であり怪物であり悪魔であり最大の敵であるんでしょうが、アレも、、、なんつーか。いわゆるリアルな実体をもった「怪物。モンスター」人知を超えたリアルな生き物の存在ではなくて、「人間の精神的な意識の象徴としての実態をもたない悪」という印象です。

    神や悪魔って、単体として存在するものではなくて、「人間」の意識が集まってその存在ができあがる、と僕は理解しましたね。

    で、デリーという町そのものに悪(悪魔的なもの)が憑りついている。という考え方はめちゃメカラウロコでした。町そのものの意識(その町に住む人々全員の意識と歴史)が、悪魔的な存在を、生んだのだ、と理解しました。

    27年という周期に何の意味があるのかは分かりませんが。そのピエロ的悪意の飢餓の周期が27年なんだろうなあ。「悪意の餌場」がデリーという町そのものなんだろうなあ。と。それはもう、どうしようもなく「人間」が存在する以上、避けられることができないものなんだろうなあ、と。

    あと、ピエロって、なんというか。「悪」の象徴。「怪物」の象徴。そんなイメージがつきやすいのも、なんというか、人間全体の深層心理に関係しているのでしょうかね?

    「バットマン」の「ジョーカー」もピエロだし。TVゲーム「ウィザードリィ」に「フラック」という超手ごわいモンスターが登場するんですが、そのフラックも「道化師」のイラストで描かれているし。ここら辺、なんか、人間としての意識として「ピエロ = 悪、悪魔の象徴」というなんらかの深層心理、あるんじゃねえの?とか考えたりもした。

    とりあえず、2巻以降も、ジワジワと読み進めていきます。楽しみです!

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著者プロフィール

1947年メイン州生まれ。高校教師、ボイラーマンといった仕事のかたわら、執筆を続ける。74年に「キャリー」でデビューし、好評を博した。その後、『呪われた町』『デッド・ゾーン』など、次々とベストセラーを叩き出し、「モダン・ホラーの帝王」と呼ばれる。代表作に『シャイニング』『IT』『グリーン・マイル』など。「ダーク・タワー」シリーズは、これまでのキング作品の登場人物が縦断して出てきたりと、著者の集大成といえる大作である。全米図書賞特別功労賞、O・ヘンリ賞、世界幻想文学大賞、ブラム・ストーカー賞など受賞多数。

「2017年 『ダークタワー VII 暗黒の塔 下 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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