刑 (文春文庫 つ 2-14)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167157142

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  • 再読。首斬浅右衛門こと山田浅右衛門もの「刑」(六代吉昌)「讐」「咲」(九代吉亮)、桜田門外の変と坂下門外の変にまつわる「嗾」「憤」、文化年間に択捉島で起こったロシア人との紛争に巻き込まれた南部藩士の悲哀「怯」、そして元会津藩士・永岡久茂の思案橋事件を、永岡の後妻「せん」の目線で描いた「妍」の、漢字一文字シリーズ幕末もの短編集。

    斬首のプロ首斬浅右衛門の職人技とその仕事にかけるプライドの高さも大変気持ち良いですが、この中では唯一女性目線ということもあり、やはり会津藩おたくとしては「妍」が印象に残る。これは小説だから、芸者=愛人から後妻になりあがった「せん」に対して好意的な解釈になっているけれど、例えば全く正反対の見方・・・そもそも長年連れ添った会津の妻を離縁したその同じ日に15才年下の愛人と入籍する永岡は現代ならゲス男認定だろうし、永岡の死後、永岡の書生でありながら永岡らの計画を事前に警察に密告をした男の妾になった「せん」は、もしかして最初からその書生とグルだったのかも、という筋書きもありかなと想像してしまった。本作では、せんは復讐のためにあえて裏切った書生に近づいたのではないかとされており、それはそれで面白い解釈。

    ※収録作品
    刑/怯/嗾/憤/妍/讐/咲

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