- Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167209056
作品紹介・あらすじ
ノンフィクション作家として真摯に方法論を模索しつづけてきた著者が、何故書くのかについて語るとともに、体験的な取材論、ニュージャーナリズム等について率直に綴る。(黒川創)
感想・レビュー・書評
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著者紹介によると、沢木耕太郎は“ノンフィクション作家”らしい。が、本作を読み進めると“ルポライター”なのだろうと感じる。
細かい違いは不明なので、感覚的にということなのだが。
ボクサー、詐欺師、政治家、歌手、様々な人間と彼らの暮らす場所、生き様。それをどうやって理解し、どう描くか。本当に《嘘》ではないルポルタージュが書けているのか。“わかったような解釈”を振りかざしているだけではないのか。
徹底取材を元にしたリアルなエピソード、切り詰められ過不足のない筆致、読者を引き込むレポートの裏で、沢木がいかに苦悩しているかが垣間見えた。
これからはもう少し筆者の《視点》を意識しながらノンフィクションを読みたいと思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2013/02/28 読了
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ここまで書くとはどういうことかを丹念に追求し、そしてその思考プロセスをまた鮮やかに纏め上げた書き物を初めて読んだ。軽々と読むことなんてできずに、夜中に背筋を正して読んでしまう。
ニュージャーナリズムとは何か、記者性とはなにか、ルポタージュとはなにか。リアルタイムな関心ごとの追求なしでの写実的な文学とはなにか。饒舌な文学とリアリティを隔てるものは、どっちがより後に残るのか。
無数の問いを筆者は立て、自分なりの回答や考えを示していく。
書くことへの方法論、取材対象への距離感覚。
ノンフィクション的ななにか、いや、書くという表現方法に少しでも興味がある人に文句なしで勧めてみたい一作。 -
『かっこいい文章ってのはこういうものか』
子供の頃に初めて読んで以来、私の中での一番。
上手いひとや感動させるひとの文章は他にも思い付くけど、背筋が伸びるような気持ちになるのは沢木氏だけ。 -
2005.10.5
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「要するに戻りたいんです。もう戻れないことは知っているけれど、四十年前の同じ仲間と同じ河に行く。行ったからといって決してどうなるというわけじゃないけど、メンバー全員にとって、戻る場所といったら、やはり、あの時の、あの場所なんでしょうね。…幸せといえば、そういう場所をひとつでも持てたことが、生涯の幸せなのかも知れません。」
「センチメンタル・ジャーニー 取材ノートから?」(pp.168-169)
昔読んだ『紙のライオン』を改めて読み返してみたところ、この一節に、黄色の蛍光ペンでくっきりと線が引いてありました。 -
半分程よんで読むの中止。
あんまりオイラには必要ないので。
作家志望の人達にはいいのかもね。 -
自分の読んだ作品の舞台裏が見られ、沢木耕太郎をよく読んでいるならおもしろいかも。しかし、作品の生い立ちや背景が詳しく書いてあっても、作者本人のことはなにも分からない感じがします。
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沢木氏の本。1987年。ノンフィクションという形式について、考えている様子。事実はオモシロいが、活字にした瞬間に事実ではなくなるパラドクス。