- Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167224295
感想・レビュー・書評
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平安初期、偏見ではありますがどうも埋もれがちなこの時代だけど見事に埋められた杉本先生、やっぱり素晴らしいなと…読んでいて本当に飽きない。
藤原淑子という1人の女性を「天皇の養母」の肩書きを持つまでにしたのは、彼女を取り巻く宮廷や権力はもちろんのこと、彼女に流れる藤原の血が疼くからなのだと。初心な女童が「女官 藤原淑子」に覚醒する瞬間が印象的でした。読み応えがすごい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
下巻では陽成帝〜醍醐帝時代の人生の終わりまでを描いています。陽成帝や周りの人物設定など、今まで読んだ中でこのお話が一番しっくりきました。いきなり高齢の光孝帝に遡ったのには、主人公の関わりがあった解釈があったのですね。上巻に比べ下巻はドラマチックさがなく、歴史書的な感じではありましたが、政変の移り変わりがとてもわかりやすかった。主人公は概ね幸せな人生を送ったと思いますが、悔いはないと言いつつ最後は何を思ったのか気になりました。上下巻の長編でとても読み応えはありました。
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藤原淑子は藤原冬嗣の長男長良の妾腹の子、藤原良房も人格を認める親に愛される淑子は、聡明に育ち道康皇太子の妃である明子に仕える。異腹の兄基経と二人三脚で藤原北家のかじ取りをするが、文徳帝の毒殺で目的を達成する。基経は良房死後に「少し良い人」になりかけるが、現実の厳しさに挫折(?)して再び権力を行使する事にまい進する。
班子内親王を妻として一親王としてひっそり暮らす時康親王が皇統を得ると、基経の次の候補に遠慮して皇子たちを臣籍降下させる下りも面白い。
応天門の変における伴大納言の思惑と期待はずれが、歴史の謎になっていたんですね
中だるみはあるものの、平安時代・・・知っているようで知らない時代の「穴」が少し埋まりました
勉強していてよかった、さもないとこの小説の人間関係は複雑すぎます! -
上巻に記載
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女官の淑子さんが養子の定省を天皇に仕立てるあたりはやり手さがうかがえる。
仕事のできる人だったんだな。